りゅう♂♡クルミル♂の出会い
【あーあー、マイクテスト、マイクテスト。
ここからは語り手を私、如月むつきからクルミル様へと変わります】
それは、二年前のことだった。
お父さんが倒れた。
ミロックの創始者であるお父さんはかなりの時間をミロック王としてすごした。
ほんの数年前に、僕に世代が変わった。
お父さんが倒れたのは初めてではなかった。
僕はつきっきりでお父さんの看病をした。
お母さんは、お父さんがミロック王になることに大反対して、籍は入れたままだが一緒には暮らしていない。
だから僕が看病するしかない。
しかし、その時期はちょうど一年の変わり目で仕事が忙しかった。
僕はいつも1人だった。
手伝おうか、と言ってくれる人はいたが全て断った。
これは僕の仕事だから。
書類を一通り見た後、僕は飲み物を買うため、近くのコンビニに行った。
お菓子売り場を覗くと、ある兄妹がいた。
「ダメだよ、それはお母さんから買っちゃいけないって言われたでしょ零」
「やっぱりダメか…」
零。確かそんな名前だった気がする。
その光景を微笑ましく思いながら、僕はジュースを選んだ。
いつも買っているトロピカルジュース。
運がいい、ラスト一本だ。
僕はそのジュースを手に取りレジに向かおうとした。
…後ろに違和感を感じた。
振り返ると男の子がこっちを見ていた。
黒い髪に鋭い瞳…
「優!!お前も何してるんだよ!早く帰るぞ!」
「ジュースラス1だったのに」
男の子は怒りをあらわにした。
「あのぅ…これ、僕はいいので買ってください…」
「いいんですか!?すみません…」
僕はそう言いトロピカルジュースを手渡した。
優と零と呼ばれた2人はコンビニを出ると走って行ってしまった。
「ほんとにすみません、ありがとうございます」
「いえいえ、お気遣いなく」
帰る方向が一緒だったので、話しながら帰った。
「うち、親父がいないんすよ。
母親1人で子供3人育てて。負担を少しでも減らしたいからこうやってたまに兄妹で散歩するんですけど。外に出る度に何か買わされますw」
嬉しそうに言った。
「あっ、俺、卯月りゅうと言います」
僕はりゅうの瞳をじっと見た。
決意の目。
兄妹を守りたい、大切な家族を守りたい。
そんな、強い目。
「僕は、母親がいないんです。生きていることは生きているのですが遠くにいて。今親父の体調が悪くて、看病しているところです」
言うつもりはなかった。
しかし口が話していた。
「え!?そうなんすか!?大丈夫ですか?もしあれなら俺、手伝いに行きますよ!?」
りゅうはそう言ってくれた。
それは僕の仕事。いつもそう言って断った。
しかし、りゅうに対して頼りたい、そんな感情があった。
そして、僕は覚悟を決めた。
「では聞いてくれますか、ミロックの話」




