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8:化かされた者

まだ人間だった頃、私は機械発明についてを主に学んでいた。

すべては世界平和のために。


そんなある日、私がどの分野においても非常に高い成果を成し遂げているからと、生物学を主に研究している大きなチームに勧誘された。

そこで出会ったのが、イシュールでした。

そう、イシュールは古代の秘宝として彼らに発見されたもの。

大いなる力が秘められていることは判明されたのですが、彼らはどうしてもその封印を解くことができなくて私に声をかけたのです。

私も、そのイシュールに秘められた力の可能性に惹かれて彼らの研究に協力することを決めました。


しかし、彼らは研究対象にあまりにも非道な実験をしていた。

アシストもシドウもそんな彼らと私の研究によって生み出された生物だったのだが、シドウは苦痛を味わい、アシストも目覚める前から生死に関わる実験をさせられていた。

私がイシュールを目覚めさせるために作ったロボットも、彼らは機械のくせに人の命令に従えない危険物だと処分しようとした。

彼らとの溝が深まっていたある日、私は事故に巻き込まれて死にかけた。私は、なんとか自分の力でサイボーグとして復活した。

だが、あれは事故でなかった。チームに背いた私は邪魔者として彼らに始末されようとしていたのだ。

再び襲い掛かってきた彼らは私の姿を見て言ったよ。「この醜い化け物め」とな。

その時に裏切られた憎しみに満ちた私の心に反応して、ついに邪神が目覚めたのだ。



マスター「そして我々は決めたのだよ。彼らの言う通り、化け物になってやろうじゃないかとね!」

ミコト「それで、世界征服を・・・。」

マスター「彼らによってこの研究施設に閉じ込められていましたが、今では立派は私の秘密基地であり本部。世界征服のための準備をしながら機会を密かに待っていたのですよ。」

ミコト「邪神の力を利用して?」

マスター「否。共に願ったことだ。邪神も、私と似た境遇なのですよ。最初はあなた達の持つイシュールと同じように守り神の宿る石としてそなえられていたというのに、悪人に騙されて力を悪事に使わされて封印されたんですよ。」


彼は、良い人だったのに。悪い人に騙されたせいで悪事に手を染めてしまうだなんて。

同じ境遇だからこそ、邪神も彼に協力しようと思ったのは不思議じゃない。


マスター「それで、どうです?あなたも彼らのために私の仲間になってはくださいませんか?できれば私と同じように人の姿を捨てて欲しいところですが、あなたは特別な人間として歓迎しても良いですよ。」

ミコト「は、話が急だしデカすぎてすっごく困惑しますけど。ひとまず・・・ごめんなさい。私、今の仲間を裏切れません。それに悪いことはとてもじゃないけど、できませんよ。」

マスター「あなたが何かをする必要はありませんよ。ここに居てくれるだけでいいんです。イシュールを、渡してね。」


マスターの合図で、一瞬で檻が私を捕らえた。

身の危険を感じた私は変身しようとしたのだけれど、できない。


マスター「イシュールは私が研究したものですよ?変身するための意志疎通はここではできないようにしておきました。」

ミコト「力が復活するのを、ただ待っていただけじゃなかったってことですか。」

マスター「それではあらためて違う交渉をしましょう。イシュールを渡してください。そうすれば、あなたとあの巨大ロボを解放します。もちろん、身の安全も保証しますよ?」


相手は本気だ。でも鵜呑みにして手渡してしまうわけにはいかない。どうすれば、と悩んでいると目の前で何かが素早く動いた。

檻が崩れ、マスターは驚愕する。私を助け出したのは、あの黒野くんだった。




キッド「ここだよ。ここから僕は、イシュールを持ち出して逃げてきたんだ。」

青「なるほど。ここが例の、封鎖された秘密の地下研究施設ですか。封鎖した人達も、まさかまだ生きていて、脱出までしたとは思わなかったんでしょうか。」


キッドから話を聞きながら、やってきたのは敵の本拠地。

乗り込んでみれば、アシストとシドウが待ち伏せていた。


シドウ「来ると思っていた。マスターの邪魔をするなら、全力でいかせてもらおう。ゆえに、少しでも手を緩めれば命は無いと思え。」

赤「待ってくれ!俺たちは、君達の話を聞いたばかりなんだ。だから正直、できれば戦いたくない。」

アシスト「それはボクだって同じだよ。だけど、僕らはマスターのためだけに生きてるんだ。あの子が仲間になるかもしれないんだ。だから、邪魔しないでよ!」


アシストは話に応じる気がないのか、すぐに攻撃をしかけてきた。

それを皮切りに、イシュブルーとシドウ、イシュレッドとアシストの戦いが始まる。

キッドは、そのうちにミコト達を探しに行く。


アシスト「もう訳わかんないよ!どうしてボクらが悪でキミ達が正義なんだよ!なんでミコトはキミ達の仲間なのさ!本当の正義はボク達だ!」

赤「アシスト・・・。辛いならもうやめよう、こんなこと!」

アシスト「うるさい!ボクは戦う!どれだけキミ達が憎くても、逆恨みでも、正義の名のもとにやる行為なら、きっとなんでも許されるよねぇ!?」


シドウ「どうした?以前より腕前はあがっているようだが勢いがないぞ?また負けてもいいのか!」

青「わからなくなってしまったんですよ。キッドの話を聞いてから。いや、彼女と関わってから。悪を倒すというのが本当に正しいのか。あなたは、違うのですか?」

シドウ「・・・私も当初はキッドと同じように悩んでいた。しかし、あのお方は裏切られたからこそ心の闇に飲まれた。キッドの裏切りで完全に飲まれてしまった。だから絶対に、あの方を裏切る訳にはいかないのだ!」


理性が消え失せ、野生のように獰猛な攻撃が繰り出される。シドウの剣がブルーの氷の剣を叩き折り、その首へと伸びた。

レッドもふっとばされ、標準を向けられたのを見てこれで終わりかと思われたが、アシストはシドウの剣を光線で破壊する。

何が起きたのか理解できず、全員が固まるなか、アシストの涙がこぼれた。それを見てシドウも理性を取り戻す。


アシスト「ほんと、訳わかんないよ。こんなことしても、ミコトは悲しむし、マスターだって、本当は喜ばないかもしれないなんて。どうしたらいいのさぁっ。」

青「どういう、ことですか?」

シドウ「言っただろう。飲まれた、と。今のマスターは悪意に満ちた邪神と心が同調したがために、邪神に心が捕らわれているのだよ。」

赤「なんだって!?」


そこまで話したところで、施設が大きく揺れた。




マスター「っはは、そうか。黒のイシュールを盗んだのはお前だったのか。スライズ。」

ミコト「え!?黒野くんが、スライズ?嘘でしょ。あ、でも幽霊騒ぎの時、たしか人になって・・・。」

クロノ「黙っててごめん。でも、どうしてもキミを助けたかった。だけどそのせいで、どっちも裏切った。」

マスター「・・・あぁ、その通りだ。お前は、ウラギッタ。驚いたぞ?まさか、私の昔の姿と捨てた名前を使っていたトハナぁ。」

クロノ「マスター?」

マスター「実験台はナンバーでヨバレタ。ゆえに彼等と共に私も名を捨てた。その名を使ったオマエハ、紛れもない、許されざるウラギリモノだ!」

クロノ「ぐっ!」


クロノの正体を知ってから、マスターの様子が明らかにおかしくなった。

マスターはどこからか宝石を取り出すと、それをくだいた。 瞬間、クロノはその体を崩す。


ミコト「クロノ!?どうしたの?」

マスター「今壊シタノはスライズのコア。それも、【本体】のだ。軸を失ったそれはもはや姿を保てない!」

ミコト「っ!そんな、私のせいで。」

クロノ「ちが、うよ。ミコト。」


ショックを受ける私に、苦しそうにしながらも笑顔でクロノは私を見た。


クロノ「歯向かったのは、心持ったから。心持てたのは、ミコトのおかげ。おかげで、楽しかった。嬉しかった。ありがとう。最後まで・・・守れなくて、ごめん。」

ミコト「クロノっ!!」


クロノが消えてマスターの笑い声が響く中、施設が大きく揺れて倒れて、騒音に耳をふさぎながら身を縮めていた私がいた場所は、気がつけば空の上にあった。奥からは巨大な機械。

すっかり黒く染まったマスターの体の一部には、邪神の石が怪しく輝いていた。



マスター「力は戻った、もう待つものか!今こそ世界を破壊してくれようぞ!」


もうこんなのは嫌。誰かが辛い思いをする結末なんて、私は認めない!

悲劇なんて終らせる!私たちは、そのためならどんなことでもできるよね!?


次回、最終決戦に向けての第9話「魔王城で僕と握手」


本当のあなたは邪神なんかじゃない

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