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2:イシュレン上等

「今度はまた酷くやられたな。ワタシが倒れているキサマを見つけていなければどうなっていたことか。」

怪人「命令無視してまた動いたのは悪かったってば。でも、油断してなかったらイシュール手に入れられてたもん。」

「その状態でよく言うものだ。とにかく邪魔となるイシュールの石を一つでも回収しなくてはならん。次はワタシが出向く、治療が終わるまでしっかり反省していろ。」


暗く禍々しい雰囲気の施設のような場所。そこには前回の怪人と、鎧に身をつつんだ魔獣がいた。

いわゆる謹慎処分を受けて怪人は不機嫌そうにしていたが、自然とその目は腕に巻かれたままの包帯に向かれたのだった。



怪人突撃事件の翌日のこと。私は狛の散歩中に二人組の青年に話しかけられていた。

何故か期待の目で見てくる赤スカーフを腕に巻いている方は、レッドの火崎正ひざきしょう

逆に冷たい視線を向けてくる青い眼鏡をかけた方が、ブルーである氷室守ひむろまもるというらしい。

そう、この二人こそあの時のヒーローさんだったのだ!

見知らぬ男二人が突然人気の無い場所に連れて行こうとするから怪し過ぎて一回逃げてしまったじゃないか。

そりゃあヒーローだなんて人前で言えないだろうけど!

正体を明かされてから、事情を話してくれると言われたので話を聞くことにした。

実をいうとまだ心配だけど、一応狛もいるし大丈夫だろう。


正「まず確認したいんだけど、怪人が持ってた宝石は持ってる?」

ミコト「あ、はい。これですよね?一応、いつでも返せるように持ち歩いてたんですけど。」

「返す必要はないよ。できればキミにずっと持っていて欲しいんだ。」


違う声がしたかと思えば、正さんの鞄から玩具・・・じゃなくて小さなロボットが現われた。

えっ今その子が話したの?やばい欲しい。あ、欲しいって言い方は失礼か。


小型ロボ「ボクはキッド。ボクはこんな見た目だけど、キミが持っているイシュールっていう名前の宝石と意識を共有した同じような存在なんだ。」

正「なるべく簡単に話すね。あの怪人とその仲間のことを俺達は名の無き組織『ノーネーム』って呼んでる。彼らの目的は、力による全人類の支配。」

守「その怪人達を束ねているマスターと呼ばれる奴が、イシュールによって封印されていた邪神を蘇らせてしまったんだそうです。」


キッドは長年の封印によってイシュールの力が完全に目覚めてないから再び封印することができずに逃げてきたらしい。

だけど力が完全復活してないのは向こうも一緒で、一応しばらくは大丈夫なんだそうだ。

マスターの手に入れた邪神の力が完全に復活するまえに、イシュールの力を引き出して戦うことができる人を探していたという。

これまでに集まったのがこの二人で、正義の味方のイシュレンジャーと名乗って活動しているらしい。


正「―という訳なんだ。だから平川さん、イシュピンクとして俺達の仲間になって戦ってくれない?」

ミコト「ぇええええー!?無理ですよ私が戦うなんて!」

守「僕も女性に、しかも怪人の味方をするような人には向いていないと思ってるんですけどね。」

小型ロボ「でもボクはあの時、君ならきっとその力を使うのに相応しいと思ったんだ。お願い、仲間になって!町の人を非難させるだけでもいいから。」


正直、人外のかわいいロボットに頼まれて揺らいだ時だった。横の道を何かが素早く横切るのが見えた。


守「!今のは、怪人?とにかく急いで後を追わないと。君はここにいてください。戦いに巻き込む訳にはいきません。」

ミコト「あっいえ、私も行きます。行かせてください!戦えないとは思うけど、私も誰かを救いたいです!」


そうだ。怪人でも誰であろうと、助けられるなら助けたいって思ったんだんだもの!

この人達はまだ信じられないけど、だからこそイシュレンジャーになりたい。彼らのことをもっと知るためにも!


正「仲間になってくれるの?ありがとう、それじゃあ一緒に行こう!俺達のマネをして。変身、イシュミレーション!」


危ないので悪いけど狛にはここにいてもらうことにして私達は変身して駆け出した。

後をついてきてみれば、たしかにそこには先ほど見かけた人では無い何かが佇んでいた。

って、私の家の前じゃないか。


赤「前の怪人とは違うみたいだな。ここに来たってことは、イシュールを取り戻しに着たのか?」

キッド「たぶんそうだね。彼はシドウ、ノーネームのまとめ役ってところだよ。」

ピンク「あれってもしかして狼さん?鎧の狼男?怪人っていうよりは魔獣って感じ?」

青「君って人はどこに注目してるんですか;危機感を持ってください。まさか、あぁいうのが好みなんですか?」


ギクッとしたのがバレてしまったらしく、仮面ごしに冷たい空気を感じとった。うぅ、怪人より怖い。

魔獣さんはずっと家の前に立ったまま。一体何してるんだろうと思えば


ピンポーン


ごく普通に家のチャイムを押していた。皆がこけた音に気づいた魔獣さんが「何奴!」と叫んで構える。

それを皮切りにレッドさんが飛び出した。変身すると熱血だなぁと思いながらキッドを抱えてブルーさんと一緒にレッドさんに続く。


赤「俺達は、精神戦隊イシュレンジャー!聖なる心で、全ての悪は俺達が正す!」

シドウ「イシュレンジャー・・・そうか、アシストを倒したのは貴様らか。」

青「全く。次はどんな敵かとおもえば、ご丁寧にチャイムを鳴らすような敵とはね。」

シドウ「何を言うか!例の物を返してもらいに来たまで。初対面なら直のこと、頼み事であれば当然の礼儀であろう!」


全くだ!この二人には見習って欲しい。どうやらこの魔獣さんはまさに騎士道のような精神があるらしい。


青「残念でしたね。イシュールは既に僕達が回収済みですよ。」

シドウ「そうか。ならば貴様らから取り戻すまで。渡さぬのであれば戦うのみ。その腕前、見せてもらおう!」


魔獣さんの合図で出てきたのは何体ものスライムのような黒い物体。動揺する私を置いて二人はあっという間に倒していく。

レッドは炎で蒸発させて、ブルーは氷にして砕いて。その光景はあまりにあっさりしたものだけど、私は。


キッド「ミコト戦って!あれはスライズ。一つの固体から生み出された、ただの分身だ。だから倒しても問題は・・・うわ!?」


キッドが親切に説明しようとしてくれたのは良いのだけれど、私は申し訳なく思いながら手に持ったままだったキッドを投げ飛ばした。

何故なら、その身が魔獣に囚われる直前だったからである。


シドウ「敵に情けをかけるとはな、その甘さが命取りになるぞ。さぁイシュールを渡してもらおうか。」


本来であれば魔獣に囚われて絶対絶命の大ピンチなんだけど、当の私は違う意味で困惑していた。

魔獣に抱きしめられている!?いや、だってモフモフが。鎧のない部分のモフモフがっ!!


赤「イシュピンク!?人質を取るなんて卑怯な奴っ。堂々と勝負しろ!」

シドウ「ワタシもこのような手は使いたくない。しかしこれが一番平和かつ、有効な手段であろう?」


たしかに。騒ぎでもう人はいないけどここは住宅街だ、暴れられると困る。ってこの魔獣さんどこまで紳士なの。


シドウ「ワタシ一人に三人で挑む貴様らの方が卑怯者ではないのか?」

ピンク「そ、それは違うんじゃないですか?さっきのスライムさんの数多かったじゃないですか。」

シドウ「ほう、たしかにそうだな。訂正しよう。イシュピンクだったか?捕まりながらも冷静に敵であるワタシに反論をしてくるとは、なかなか見所のありそうな奴だ。」


余裕があると思われたのか抱きしめる力が更に強くなってしまい、私はもう沸騰寸前というか・・・限界だった。


ピンク「ちょ・・・ちょっと離れてぇえええええええ!!」

シドウ「!?」


あまりに動揺していたためか、私は魔獣さんを突き飛ばそうとして思わず突風を直撃させてしまった。

感情のままにやってしまったからだろう。それはあまりに強力だったようで魔獣さんは遥かかなたへと吹き飛ばされていった。


ピンク「あ・・・・ご、ごめんなさーい!」


そして、たぶん聞えないであろう謝罪を叫んでから力を使いすぎたせいなのか私は意識を失って倒れてしまったのだった。

いろんな意味で、散々だ。


赤「ははっ。すっごく良い子が仲間になってくれたみたいだね。俺、彼女が選ばれた理由よくわかったよ。」

青「はぁ?どこが良いんですか。たしかに力は使えそうですけど、あんなのただのお人好しですよ。」

赤「だけどそれって無駄な争いを好まないてことだろ?俺達の誰よりも、平和を望んでるってことだと思うんだ。」

青「無駄な争いを好まない、か。だからといって、異種間恋愛はお断りですがね。」

赤「え?いしゅ・・・れん?え、何それ。」


異種感恋愛上等じゃない。


ふっとばしちゃった狼さんのことも気になるけど。ついに登場、巨大ロボ!

私たちの新しい仲間ってことよねっ。ん?・・・違う?


次回、まさかの展開の第3話「暴走せし巨大ロボ」


えっ私のせい!?


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