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望ましい世論形成のために~メディアリテラシーに関する一考察~

作者:

〇はじめに

 昨年の紅白歌合戦に初出場した韓国のグループに対する世論の反応は、ファンからの支持の一方で、過去のSNS投稿に端を発した厳しい批判があり、非常に複雑なものとなった。パフォーマンス自体は高く評価し、欠場したメンバーを案じる声も多い一方、出場に反対するオンライン署名は約14万人に上った。人口の約0.1%の能動的な強い声がアルゴリズムや報道で増幅された。

 望ましい世論形成のためには、多面的な視点に基づく柔軟な論理的思考が必要であり、客観的事実と論理で冷静に判断する姿勢が求められる。


①パフォーマンスに対する肯定的評価

 ステージ自体については高いプロ意識を評価する声も多く見られ、「3人でもクオリティが落ちない」、「実力は本物」という、アーティストとしての純粋な評価がある。メンバーの欠場についても、「やっぱり寂しい」、「早く治して」というファンの声があった。また、カメラワークや構成に対し、そのクールな世界観を活かした点を評価する声も多い。


②オンライン署名「14万人」=「日本の人口の0.1%」

(ただし、オンライン署名の正確性・客観性についてはここでは触れない)

 日本の人口、約1億2,300万人のうち、14万人は 約 0.1%に当たる。この0.1%は非常に高い熱量を持ち、SNSで拡散し、メディアに働きかけた。そこには、「声の大きい少数派」・「特定の方向に集中したエネルギー」が見て取れるが、残りの99.9%のサイレントマジョリティが「賛成」なのか、「無関心」・「反対」なのかは不明だ。


③アルゴリズムによる増幅

 過激な意見ほどインプレッション(閲覧数)を稼ぎやすいWebの世界では、アルゴリズムにより特定のコンテンツを優先表示する傾向もある。受け手には自分の信じたい情報だけが届き、また、エコーチェンバー現象により特定のエネルギーが狭い範囲で凝縮→拡散される。SNSやネットニュースがこれを増幅する。


〇望まれる世論形成の過程

①多面的な視点に基づく批判的思考力の形成

 物事を多面的に捉え、論理的かつ客観的に考察するクリティカル・シンキング(批判的思考法)を持つことが大切だ。「反対」・「賛成」という二項対立・二分法に陥らず、感情的反応をせず、一度立ち止まってよく考える。

②複数のメディアに触れる

先ほども述べたが、Webの世界の思考プロセスは、送り手も受け手も一方向に偏りやすい構造になっている。従って、情報収集先として、Webだけでなくさまざまなメディア・情報に触れることが大切だ。

③「実数」と「割合」を併せた評価

 ある数字が全体に占める割合はどれくらいかというファクト(事実)をセットで考える。

④メディアリテラシー教育の推進

 長期的な方法だが、SNSやメディアの仕組みとそれへの対応を理解するリテラシー教育の更なる推進が求められる。

⑤冷静な意見表明を支える小さな支持…「冷静で客観的な沈黙層」の連帯

 勇気を持って発言している冷静な意見に対し、「いいね」や「同意」という小さな支持をすることで、賛否を超えた「第三の勢力」が可視化される。


〇おわりに

 世界ではいま、力による支配、言葉による暴力が強調・可視化されている。異質な存在と冷静にかかわり、互いの違いを乗り越えることは、努力と苦労が伴う大変困難な作業だ。それをあきらめない粘り強さが、人類には求められている。分断と排除の先に、幸福は待っていない。なぜならそこでは、必ず命が軽視されるからだ。そうして、する者とされる者は、その立場が容易に反転する。人はなぜ歴史から学ばないのだろう。



#メディアリテラシー

#世論

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