表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/28

第25話『約束の果て、ふたりの空』



夜明け。

竜の神殿を包んでいた金色の光が、ゆっくりと淡く溶けていく。

シルヴァは静かに目を開け、隣に眠る直哉の顔を見つめていた。


その表情には、これまでの旅では見せなかった穏やかな微笑みがあった。

けれど――その奥に、ほんのわずかな“迷い”の影が揺れる。


「……ねぇ、ダーリン」

「ん、どうした?」

「この空、どこまで続いてると思う?」

「さぁな。でも、おまえが飛べば――どこまでだって、届くさ」


直哉の答えに、シルヴァは少しだけ泣きそうな笑顔を浮かべた。

「そう言うと思った。……でも、私、知ってるの。

 この空の果てには、“別の世界の境”があるって」


彼女の背の紋章が淡く光る。

その光は、まるで“帰還の刻”を告げる鐘のように脈打っていた。


「……また、帰るのか?」

直哉の声が震える。


「ううん。帰るんじゃない。選ぶの。

 “ドラゴンとしての世界”か、“あなたと生きる世界”か」


風が、ふたりの間を通り抜けた。

静かな、けれど心を締め付ける沈黙。


シルヴァはそっと直哉の頬に触れる。

「ダーリン。私、あのとき約束したよね。

 “たとえ何があっても、一緒に空を見よう”って」

「……ああ」

「なら、もう迷わない。私は“あなたと生きる”」


その瞬間、紋章がまぶしく輝いた。

空が震え、神殿の上空に巨大な光の輪が生まれる。

二人を包むように広がるその光は、まるで新しい“空”の誕生だった。


「これが……新しい世界?」

「うん。あなたと私が選んだ、“ふたりの空”」


シルヴァの銀の髪が風に舞い、直哉の手がその中を優しく撫でる。

炎のような赤い瞳が、愛しげに輝いた。


「ねぇダーリン」

「なんだ?」

「これからも、いっぱいドタバタしていい?」

「……勘弁してくれ」

「ふふっ、でも好きでしょ?」

「……まぁ、な」


ふたりの笑い声が、空へと溶けていった。

その瞬間、光の輪は完全な円を描き――

“ふたりだけの空”が、生まれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ