第12話 「嫉妬の炎」
昼下がり。
直哉の勤める会社の前で、銀髪がきらりと光った。
「……ダーリン、まだかなぁ」
腕を組み、退屈そうに空を見上げるシルヴァ。
お昼の差し入れを届けに来ただけ――のつもりだった。
だがその時、
エントランスから出てきた直哉の隣に、
きれいな女性が寄り添っているのが見えた。
スーツ姿の上司、香坂。
笑いながら直哉の腕に軽く触れる彼女の仕草に、
シルヴァの瞳がすっと細くなった。
「……ダーリン?」
空気が、わずかに熱を帯びる。
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「お、シルヴァ? どうした、こんな所で」
「ううん、ただ……ダーリンが“誰か”と仲良くしてたから♡」
「え、あぁ香坂さん? 職場の上司で――」
「へぇ……“じょーし”って、恋のライバルのこと?」
「違う!!」
「ふふっ、でもダーリン、顔が赤いよ?」
シルヴァの尻尾が、ゆらりと揺れる。
その先端がかすかに火を吹き、
直哉の書類を危うく炙りそうになる。
「ちょ、落ち着けシルヴァ! 燃える燃える燃える!!」
「……ダーリンが、誰かと笑うと、胸が“燃える”んだもん」
その言葉は、冗談のようで――どこか真剣だった。
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夜。
部屋に戻っても、シルヴァは元気がなかった。
「ねぇダーリン……あたしって、めんどくさい?」
「なんでそんなこと言うんだよ」
「だって……ダーリンが見てるの、自分じゃない人だったら……イヤだから」
直哉は一瞬、言葉を失った。
そして、静かに笑う。
「お前なぁ。心配すんな。
俺の隣にいるのは、いつだって“ドラゴンのくせに人間くさい”やつだけだ」
「……えへへ♡ それ、褒めてる?」
「もちろん」
シルヴァはその言葉に、
小さく“ふわっ”と炎を灯す。
頬をほんのり照らすその炎は、
嫉妬でも怒りでもない――“恋”の光だった。




