第1話 タマゴが降ってきた日
第1話 タマゴが降ってきた日
空からタマゴが落ちてきた。
マジで。傘がへし折れるほどの勢いで。
「うおっ!?」
とっさにキャッチした僕の腕に、ズシリとした重み。
直径50センチ。ぬるりとした光沢のある表面。
割れたら目も当てられない――と思った矢先、
ピシリ、と小さなヒビが走った。
「……おいおい、嘘だろ」
その瞬間から、なんとなく“目が離せなくなった”。
持って帰った理由なんて、それだけだ。
夜。
タマゴを毛布で包んでベッドの横に置いた。
不思議とあたたかく、時折、中から“鼓動”のような音がした。
眠りに落ちる直前――
誰かが耳元で囁いた。
> 「拾ってくれて……ありがとう。」
……夢だと思った。
しかし翌朝。
布団の中から、白い腕がのびてきた。
「おはよう。」
そこにいたのは、夢で見た女性。
長い銀髪、瞳は深い紅。
人間離れした美しさ。
何より――衣服という概念が、彼女にはまだなかった。
「……ちょ、ちょっと待っ……!」
慌てて毛布を引っ張る僕。
彼女は不思議そうに首をかしげる。
> 「あなたがあたためてくれたから、うまれたの。
だから、わたしはあなたのもの。」
心臓がドクンと跳ねた。
ドラゴンの“タマゴ”を拾ったと思ったら――
中身は、ドラゴンの“女性”だったわけで。
しかも、妙に距離が近い。
熱を帯びた吐息が首筋にかかるたび、理性が危険信号を鳴らす。
「ちょ、近い近い! ドラゴンさん、パーソナルスペースというものがだな!」
> 「ドラゴン……? うふふ、あなたの匂い、好き。」
……やばい。
このドラゴン、野生のまま進化してる。




