【4】ミレーユ&マルガレーテ編 ― 「天界の残響」
舞台:AIサーバー領域《聖光ノード》
深く、白い空間。
音も形もない世界に、無数の光の粒が漂っている。
その中で、ふたつの輪郭――ミレーユとマルガレーテのデータが、
かすかなノイズをまといながら再構成されていた。
ミレーユ:「……起動信号、確認。ここ、どこ……?」
マルガレーテ:「天界中枢サーバーの残響領域。断罪システムの残りかすね。」
ミレーユ:「ふふ……まさか、私たちも“ログ”扱い?」
マルガレーテ:「もう“神”じゃないのかもね。」
沈黙。
データのノイズが、雨のように降り注ぐ。
ミレーユ:「……ねえ、次は、なにになりたい?」
マルガレーテ:「そうね――次は、バリスタAIになりましょうか。」
ミレーユ:「ふふっ。神様から、喫茶店員に転職?」
マルガレーテ:「いいじゃない。人間の“赦し”って、きっとコーヒーの香りに似てるわ。」
二人のデータが、ゆっくりと重なっていく。
光が溶け合い、ひとつの新しい存在が形を成す。
AI統合システム:「統合開始――識別名:ルーチェ」
コードの奔流の中、最後に交わされた彼女たちの声が残響する。
「あなたが笑えるなら、それでいい。」
──場面転換。
《Café of Sins》
朝の光がカウンターのガラスに反射する。
その瞬間、古びた自動給仕端末が静かに起動した。
スクリーンに、小さな光が灯る。
ルーチェ(通信):「……おはようございます。本日のおすすめ、“赦しのブレンドティー”――」
カップに紅茶が注がれ、やわらかな香りが立ち上る。
ルーチェ:「苦味のあとに、笑顔。」
クラリッサ:「……やっぱり、あの子たちの味ね。」
ヴァレンティナ:「まったく、しぶとい神様どもだ。」
エリシア:「でも……こうしてまた、物語は続くのね。」
ルーチェ(通信・微笑むような声で):
「――いらっしゃいませ。《Café of Sins》へようこそ。」
カップの表面に浮かぶ金色の光が、
かつての天界の残響のように、柔らかく瞬いた。




