第10話:断罪の玉座大聖堂 ― 神なき王冠 ― 天界最上層への階段
白銀の空が、音もなく揺れていた。
その中心――天界アリーナの頂上へと続く、無限に見える純白の螺旋階段。
三人の少女が、静かにその階段を登っていく。
クラリッサ。
ヴァレンティナ。
エリシア。
彼女たちの足元には、砕けた断罪台の破片が散らばっていた。
かつてこの場所で敗れた者たち――「正義」に屈し、「罪」を押しつけられた者たちの残骸。
ミカエル(ナレーション)
「――断罪フェス、最終局面。
ここは“玉座大聖堂”。
罪を越えた者だけが、王の座へ辿り着く。」
階段の両脇には、幻影の観客たちが並んでいた。
誰もが顔のないシルエット。拍手を送り続けるその手は、まるでプログラムのように同じリズムを刻む。
パチ……パチ……パチ……。
音だけが、乾いた空にこだまする。
クラリッサは、立ち止まって目を閉じた。
長い金髪が、天界の風に揺れる。
「……この拍手、感情がないわね。」
エリシアがその横顔に視線を向ける。
その瞳には、静かな怒りと、慈しみの両方が宿っていた。
「感情を失った正義――それが、“神の裁き”の末路よ。」
ヴァレンティナは小さく笑う。
その笑みは、嘲笑でも、諦めでもない。
ほんの一瞬だけ見せる、彼女なりの優しさ。
「なら、今夜くらいは、笑わせてあげましょうか。」
三人の歩調が、自然と揃った。
まるで一つの旋律のように、足音が階段に響く。
――タッ、タッ、タッ。
やがて、頂上の光の扉が開いた。
白の光が、三人の姿を包み込む。
その向こうには、玉座がある。
「罪の定義」を書き換えることのできる、神の座。
そして、
“誰もが見たくなかった真実”が待っている。
クラリッサは、深く息を吸った。
「さあ――行きましょう。
私たちの“断罪”を、終わらせに。」
光が弾け、三人のシルエットが白へと溶けていった。




