贖罪の鐘 ― 夜明けの合図
――カァァン……カァァン……。
青白い鐘楼が、天界の夜を裂くように鳴り響いた。
その音は、祈りでもあり、断罪の宣告でもある。
漆黒の空が少しずつ紅に染まり、光と闇の境界が溶けていく。
天界アリーナの上層、無数の光の階段が空へと伸びていた。
静止していたAI観客たちが一斉に目を覚まし、
淡い光の波となって会場を包み込む。
> AIアナウンス:「告示――《断罪フェス・最終審判》。
> 午前零時より、決勝ラウンドを開始します。」
静かな宣言ののち、会場がざわめいた。
敗者たちは観客席に立ち上がり、
それぞれの胸に、わずかな祈りを込めて拍手を送る。
ミレーユは手を組み、微笑みながら。
リュシーは瞳を閉じ、短く息を吐く。
エリシアは自分の羽ペンの欠片を見つめ、唇に笑みを刻んだ。
そして――
ヴァレンティナがゆっくりと立ち上がり、夜明けの光を見上げる。
その横顔は、すでに戦う者のものではなく、“赦す者”のそれだった。
> ヴァレンティナ:「……行け、クラリッサ。
> 貴女の罪に、光を――。」
静かな声が、風に溶ける。
その言葉を背に、クラリッサが歩き出した。
長い金糸の髪が夜風に揺れ、
その奥の瞳が淡く輝く。
まるで、夜明けの最初の星のように。
歩みは迷いなく、ただひとつの道を目指す。
断罪の舞台――“天界の審判台”へ。
> ナレーション:
> 「罪を贖う鐘は、誰のために鳴るのか。
> ――そして、何を赦すために鳴り響くのか。」
鐘楼が最後の一音を放つ。
空が完全に紅へと染まる。
いま、すべての“断罪”が交わる最終戦が――幕を開けようとしていた。




