クラリッサ ― 鏡の前の独白
控室の扉が閉じられると、世界は静けさだけを残した。
淡いランプの光が鏡台を照らし、クラリッサの白金の髪にやわらかく反射する。
机の上には、破れたドレスの袖。
彼女は針を持ち、ひと針、ひと針、丁寧に縫い合わせていた。
その所作には焦りも迷いもなく、
まるで儀式のような美しさがあった。
> クラリッサ(小さく呟く):「……傲慢でいい。
> “私を信じる”ことが、わたくしの罪であり――誇り。」
針が最後の糸を通した瞬間、彼女の表情にわずかな微笑が浮かぶ。
その瞳に宿るのは、後悔ではなく、確信だった。
机の隅に置かれた**幻灯**に手を伸ばす。
それは、過去の断罪を映し出す鏡――敗者たちの記憶が封じられた装置。
光がゆらめき、映像が浮かび上がる。
そこには、かつて彼女が共に戦った仲間たちの姿。
誰もが、己の“罪”を抱きながら、それでも前を向いていた。
> クラリッサ:「誰かの物語を否定しない――
> それもまた、断罪の形ですわ。」
言葉は静かに、空気に溶けていく。
鏡の中の映像はやがて消え、部屋に再び静寂が戻る。
クラリッサは糸を切り、ドレスを抱き上げる。
その指先は震えていない。
外の鐘楼から――
**カァン……カァン……**と、青白い鐘の音が鳴り響いた。
明日を告げる、断罪の鐘。
クラリッサはそっと目を閉じ、唇の端を上げた。
> クラリッサ:「さあ……最後の幕を、美しく終わらせましょう。」
ランプの炎が揺らめき、控室の中に影を踊らせる。
その影は、まるで“覚悟”そのものの形をしていた。




