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悪役令嬢グラフェス ―断罪されたけど元気ですわ!―  作者: 南蛇井


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同時断罪 ―“虚構”の終幕

光と影がぶつかり合った瞬間――世界が、ひび割れた。

 幻影劇場の天蓋が砕け、観客の幻影が砂塵と共に吹き飛ぶ。

 拍手も断罪も、すべてが虚構だったかのように、音がひとつずつ消えていく。

 最後に残ったのは、ただの砂漠。

 焼けた大地に、二人の少女が倒れていた。

 クラリッサの《観測幻灯メモリーミラー》は、ひび割れた鏡片となって砂に沈む。

 エリシアの《ペナ・レギオス(律の羽ペン)》は、インクを失い、白い羽に戻って風に舞った。

 ――すべてを裁こうとした“断罪”そのものが、崩壊したのだ。

 空にノイズ混じりの声が響く。

 ミカエル(実況AI)だ。だがその声にも、どこか焦りが混じっている。

 「ルール破損確認――勝敗条件、消失ッ!!

  つまりッ、どちらも勝者ではなく敗者でもないッ!

  審判不能により――両者《同時断罪》とするッ!!」

 砂漠の風が強く吹き抜ける。

 だが次の瞬間、空が裂けるようにして三つ目の光柱が立ち上がった。

 ミカエル:「特例発動――決勝進出者、三名ッ!!

  虚構を壊した者たちに、“次なる審判”を許可するッ!!」

 AI観客(視聴プログラム)たちの歓声が爆発する。

 まるで砂漠そのものが拍手しているかのように、砂粒が踊り、光を弾いた。

 クラリッサはうっすらと目を開く。

 その隣で、エリシアがかすかに笑った。

 互いに、もう言葉は要らなかった。

 ――正義も、罪も、勝敗も。

 すべてを演じ尽くした二人が見たのは、“無垢な空”だけ。

 そして、遠くの地平で、三つ目の光が脈打つ。

 そこに、最後の審判者――マルガレーテが待っていた。

(次回、決勝ラウンド「無罪のカリスマ」へ――)


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