敗者たち、集う午後
昼下がりの断罪カフェ。
甘い香りと、ほんの少しの後悔の匂いが混ざり合っていた。
BGMはどこか神聖で、どこかズレたオルゴール調のジャズ。
テーブル席では――
敗者たちが、それぞれの「罪スイーツ」を前に沈黙している。
リュシー(第3話・敗北者の狩人)
淡いグリーンのパフェグラスを前に、リュシーはため息をついた。
層の上にはミントクリーム、そして下へ行くほど色が暗くなっていく。
リュシー:「見た目は綺麗だけど、下の層が全部苦いのよね……」
スプーンを入れるたび、ミントの清涼とハーブの渋味が混ざる。
その様子を見て、マルガレーテがウィンクする。
マルガレーテ:「嫉妬は層が深いの♡
甘さの下に、自己嫌悪と後悔が隠れてる。――でも、映えるでしょ?」
リュシー:「味より映えが優先とか……この世界ほんと病んでるわ。」
ミカエル(実況AI):「“嫉妬のミントパフェ”――一口で心が冷える!?
本日も断罪フェス、胃にもメンタルにも効いております!!」
クラリッサ(前回共闘組)
カウンター席の端。
クラリッサは、カップの黒い液面を見つめていた。
カフェの照明が、彼女の金髪をわずかに揺らす。
クラリッサ:「……“孤独ブレンド”。苦み、強すぎるわ。」
彼女の前で、ミレーユが穏やかに笑う。
ミレーユ:「あなた用に淹れたの。特製――“無糖の誇り”。」
クラリッサ:「……余計なお世話。」
スプーンでカップを軽く叩き、クラリッサは小さく息を吐く。
その横顔には、戦いを終えた者特有の静けさがあった。
だけど、その苦味の奥に、微かな安堵が見える。
ミカエル(実況):「無糖の誇り、カフェイン濃度200%ッ!
孤高の味、しかし後味はほんのり温かい……!?」
ヴァレンティナ(店の警備兼試食係)
カウンターの隅。
ヴァレンティナは腕を組み、真剣な顔でケーキを睨んでいた。
ヴァレンティナ:「“怒りのチョコケーキ”って……中が唐辛子入り!?」
ナイフを入れると、中から赤いソースがとろり。
一口食べた瞬間――
ヴァレンティナ:「ッッッ!! かっ、辛ッ!?!?!?」
顔が真っ赤に染まり、髪の先まで熱を帯びる。
ミカエル:「出たぁーッ!! 断罪フェス名物、“激辛ジャスティス”発動!!」
マルガレーテ:「怒りの熱量を、スイーツで可視化♡」
ヴァレンティナ:「可視化しなくていい!! 舌が断罪される!!」
カフェの中に笑いが広がる。
戦場でぶつかり合った者たちが、今は一つのテーブルで笑っている。
その光景を見て、ミレーユは小さくつぶやく。
ミレーユ:「……いいわね。
罪を語りながら、ちゃんと笑えてる。」
天井の照明が少しだけ柔らかくなる。
甘さと罪と赦しが、カフェの空気に溶けていった。




