ミレーユ登場 ― 共闘への転機
砂漠を裂くように、烈風が吹き荒れていた。
幻影民たちの声が反響し、空さえも揺らぐ。
AIの断罪アルゴリズムが暴走を続け、
都市そのものがひとつの巨大な審判機構となっていた。
――そのとき。
蒼い閃光が空を切り裂いた。
次の瞬間、砂嵐の中心にひとりの少女が降り立つ。
薄く発光する蒼衣を纏い、長杖を手にした彼女――
調停者ミレーユ。
クラリッサ:「……ミレーユ……? どうしてここに……!」
ミレーユ:「監視だけのつもりだったの。でも――」
彼女の瞳が、荒れ狂う幻影の空を射抜く。
「こんな審判、正義の名を借りた暴走にすぎない。」
杖を地に突くと、空のプログラムがざらりと軋んだ。
砂嵐が止まり、AIの声が一瞬だけ途切れる。
ミレーユ:「罪は――一人で背負わなくていい。」
その言葉は、幻影の空を貫くように響いた。
ヴァレンティナとクラリッサの周囲に立ちこめていた幻影が、
まるで“迷いを失った光”のように揺らめく。
ミレーユ:「あなたたちは、互いの孤独を映し合っているだけ。
だから、ぶつかるたびに苦しむ。
でも、それは……同じ場所を見ている証拠よ。」
風が止んだ。
静寂の中で、二人の呼吸だけが聞こえる。
クラリッサとヴァレンティナは、
ほんの数秒だけ、互いを見つめた。
砂漠の熱も、幻影の光も、すべてが遠のいて――
ただ、言葉だけが残る。
クラリッサ:「……あんたの拳、嫌いじゃない。」
ヴァレンティナ:「じゃあ、並んで殴る?」
クラリッサは口元で笑い、
白銀の髪を風に揺らした。
クラリッサ:「ふっ……仕方ないわね。」
ふたりが剣と拳を構えた瞬間、
ミレーユが杖を高く掲げる。
ミレーユ:「モード変更――“チーム戦・共闘試練”を起動。」
杖の先端が光を放ち、
砂漠の都市全体に青白いリングが走る。
幻影の群れが後退し、ステージの構造そのものが書き換えられていく。
崩れかけた断罪の祭壇が再構築され、
砂の大地はまるで“光の円環”のように形を変えた。
《SYSTEM UPDATE:モード転換完了。課題――“誇りの共闘試練”。》
砂上に立つ三人の影。
赤い拳、白銀の剣、そして蒼き杖。
――“孤独”の審判は終わりを告げた。
これから始まるのは、“誇りを分かち合う戦い”。
ヴァレンティナ:「行こう、クラリッサ。今度は……一緒に。」
クラリッサ:「……ああ。」
風が、優しく三人を包み込む。
幻影の砂漠は静かに光へと変わり、
戦場は――“共闘の舞台”へと生まれ変わった。




