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悪役令嬢グラフェス ―断罪されたけど元気ですわ!―  作者: 南蛇井


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23/67

崩壊 ― “処刑”の終焉

轟――。

鐘楼が悲鳴を上げるように傾き、紅蓮の光を散らしながら崩れ落ちた。

鉄と石の破片が雨のように降り注ぎ、闘技場の空が裂けていく。

まるで、長い断罪の儀式そのものが、終わりを告げるかのように。

AI実況(半ば叫び):「だ、だだだ大事件――!!

 断罪フェス史上初っ!! 会場っ! 会場が完全崩壊ぁぁああッ!!」

観客席を構成していた幻影の群衆が、風に吹かれる砂のように消えていく。

その中に、怒りも嘲笑ももう存在しなかった。

残ったのは――静寂と、ゆるやかな余韻。

瓦礫の中心に立つのは、ヴァレンティナ。

金色に輝く拳套の光が、淡く夜風に溶けていく。

ヴァレンティナ:「……あんたたちの声、聞こえたよ。」

その声は、もはや怒りではなかった。

決意と、赦しの混じった低い調べ。

拳をゆっくりと下ろすと、砕けた大地の裂け目に、青い光が流れ始めた。

ヴァレンティナ:「でも、私はもう――怯えない。」

風が吹く。

崩れ落ちる瓦礫が静かに散り、そこから小さな光の花が芽吹くように、幻の民衆が姿を変えて舞い上がる。

彼らの表情は、怒りでも嘲りでもない――どこか安堵した、穏やかな微笑。

AI実況(震えた声で):「……怒りを鎮め、断罪の輪を断ち切った……ヴァレンティナ選手、まさかの……完全浄化エンド……!」

BGMが流れる。

――「Crimson Justice Refrain」

切なくも壮麗な旋律が、崩壊した広場を包み込む。

瓦礫の上で風が鳴る。

ヴァレンティナはゆっくりと目を閉じ、手のひらを空へ伸ばした。

そこには、もう“罪”も、“怒り”もなかった。

あるのは――守るための、静かな熱だけだった。

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