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悪役令嬢グラフェス ―断罪されたけど元気ですわ!―  作者: 南蛇井


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美戦クライマックス

 紅蓮の炎が、旋律のように空を舞った。

 クラリッサの《傲慢の炎剣》が螺旋を描き、天井の巨大なシャンデリアを包み込む。

 ガラスの粒が燃え、紅の輪となってゆっくりと回転を始める――それはまるで、罪の光輪。

「……まだ、終わってませんわ!」

 クラリッサが剣を振り抜いた瞬間、炎が空気を震わせ、ドレスの裾が揺らめいた。

 その光景を、ミレーユは微笑みながら見上げる。

 彼女の《魅惑の杯》が淡く輝き、そこから溢れた液体が金のリボンに変わった。

「じゃあ、最後の飾りは、わたしがつけてあげる。」

 リボンが炎の輪を包み、瞬間――赤と金の渦が合わさった。

 ホール全体がワルツのリズムで震え、壁も床も天井も、“美”の波動で染まっていく。

 赤と金の光が絡み合い、二人の姿を舞踏の中心に浮かび上がらせる。

 それは、断罪でも決闘でもない。

 まさに、罪と赦しがひとつになった“美戦びせん”だった。

ミレーユ:「美しく負けるのも、悪くないわね……♡」

クラリッサ:「“傲慢”を誇るなら、最後まで堂々と。」

 視線が交わる。

 次の瞬間、二人は同時に――フィニッシュステップ。

 炎と花弁が同時に爆ぜ、光がホールを包み込む。

 幻影の観客たちが一斉に立ち上がり、拍手と歓声が渦を巻いた。

『#断罪フィニッシュ美すぎ』

『#これが罪過のワルツ』

『#審査員全員スタンディングオベーション』

 ミカエルの実況が、光の中で響く。

「決まったぁー!! “傲慢のステップ”、勝者は――クラリッサ・ヴェルクナー!! ただし採点上は、二人とも満点ですぅぅ!!」

 爆光が静まり、クラリッサの髪がふわりと落ち着く。

 ミレーユは微笑みながら手を差し出した。

「また踊りましょう。次は、あなたの炎じゃなくて――笑顔が見たいの。」

 クラリッサは一瞬驚き、そして、照れくさそうにその手を握り返す。

「……気が向いたら、ですわ。」

 拍手の音が遠のき、ワルツの余韻だけがホールを包んでいた。

 赤と金の光はゆっくりと混じり合い、やがて白い羽の粒となって舞い上がる。

 “断罪”の夜は、もう――過去のものではなかった。


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