戦闘開始 ― 美の採点式バトル
シャンデリアが震えた。
幻影の貴族たちが一斉に席を立ち、手拍子がホールを満たす。
「ではッ! 始まりました――断罪のステップ、本戦ラウンド!」
実況席のミカエルが、まるで運命の審判人のように叫んだ。
「ルール説明ッ! 本戦は“美しく戦う”ことが勝利条件!!」
「戦闘美、構図、そして――反省ポーズ! すべてポイント化されます!!」
観客席の幻影たちは沸き立つ。
幻影SNSのコメント欄が次々と流れた。
『#美的断罪審査』
『#M-1より採点厳しい』
『#優雅に殴り合え』
クラリッサが静かにドレスの裾を払う。
紅蓮の光が手元で煌めき、《傲慢の炎剣》がその姿を現した。
剣先がわずかに揺れ、周囲の空気を焦がす。
「罪を飾る炎など、私は要りませんわ。」
炎の揺らぎに合わせて、彼女の金髪がゆるやかに波打つ。
その姿は――まさしく“断罪”の肖像画。
対するミレーユは、ため息交じりに笑う。
彼女の手に浮かぶのは、液体のように揺れる魔力の杯、《魅惑の杯》。
中の光が溢れ、無数のリボンへと変わって宙を舞った。
「飾らなきゃ、“反省映え”しないのよ♡」
リボンが絡まり、光の蝶となって飛ぶ。
それを切り裂く炎の剣舞。
交錯の瞬間、床一面が光に包まれ――ホールはまるで舞踏ステージそのものへと変貌した。
ワルツのリズムが激しくなる。
魔法と炎、光と美。
二人のステップが重なり、観客の幻影たちが息を呑む。
「採点開始――ッ!」
ミカエルの声とともに、上空の魔法パネルが光を放つ。
そこには美しさを示すスコアが刻まれていく。
『#クラリッサの足さばき10点満点』
『#ミレーユのウインク減点対象(でも好き)』
――これは、戦いであって戦いではない。
“美しさ”を武器に、“罪”を魅せるための舞踏会。
そして、まだ誰も気づいていない。
この採点式バトルの裏で――真の“断罪の意味”が、ゆっくりと姿を現し始めていた。




