「初戦発表」
ミカエルが、ラッパ型マイクをくるくると回転させながら天使の羽ペンを掲げた。
瞬間、空中に巨大な光のスクリーンが出現する。
天界文字が渦を巻くように流れ、黄金のフレームに収束していく。
ミカエル:「さぁ、第一戦を発表しようッ!!
――舞台名、《舞踏会ホール・傲慢のステップ》!!!」
宣言と同時に、天界全体が震えた。
オーケストラの調べが轟く。
その旋律は、荘厳でありながらどこか不穏――ゴシック・ワルツのリズムが観客の心を揺さぶる。
アリーナの床が、ゆっくりと亀裂を描きながら開いていった。
そこから現れたのは、赤い絨毯、無数のシャンデリア、輝く鏡の壁。
まるで“あの夜”をそのまま再現したかのような、豪奢すぎる舞踏会ホールの幻影。
クラリッサの瞳が、かすかに光を失う。
そして観客席からは、熱狂的な歓声が降り注いだ。
観客:「フゥーー!!」「#婚約破棄リターンズ!!」「#傲慢の再演!!」
コメントホログラムが弾ける。
その中でミカエルが両手を広げ、いつもの天使スマイルで叫ぶ。
ミカエル:「華と毒のステップショー、いざ開演〜〜〜!!」
光が渦を巻き、舞踏会の幻影が現実のステージへと形を変えていく。
“傲慢”と“色欲”――ふたつの罪が、再び交差する夜が始まろうとしていた。
「転送演出」
天上から鳴り響く鐘の音が、トーナメントの幕開けを告げた。
ミカエルが羽根を揺らし、マイクを高々と掲げる。
「――罪のステップを、もう一度踊れ!!
断罪再演――第一幕、開廷ッ!!!」
その宣言と同時に、悪役令嬢たちの足元に魔法陣が浮かび上がる。
光の輪は幾重にも重なり、聖句のような紋章が彼女たちを囲い込む。
空気が震え、重力が反転する。
「なっ――!」
クラリッサがドレスの裾を掴む間もなく、床が崩れ落ちた。
断罪の具――かつて彼女たちを縛った象徴たち(鎖、火刑台、剣、茨の冠、鏡、羽根)が光の奔流となって彼女たちの身体を包み込む。
ミレーユの周囲では、紅い羽根が花弁のように舞い、
マルガレーテの瞳には、金貨のような六芒星が映り込む。
天井が遠ざかり、視界が一瞬にして反転した。
世界が――ひっくり返る。
上空カメラの俯瞰視点。
六色の光の柱が、地底の円環ステージへと落下していく。
それぞれの光は“罪”を象徴する色を帯びていた。
傲慢は紫、嫉妬は緑、憤怒は赤、怠惰は青、暴食は金、そして――虚飾は白銀。
六本の光が交差する瞬間、世界が音を立てて裏返り、
その中央に、第一戦《舞踏会ホール・傲慢のステップ》が形成される。
天使たちの観客席からは、歓声とも悲鳴ともつかない声が沸き起こる。
「踊れ、悪役令嬢たちよ――!」
羽根の粒子が舞う中、再演の幕が、静かに、確かに上がった。
「フェードアウト & 次回予告」
光の柱が消え、世界が暗転する。
ただ、耳の奥に残るのは――静かに鳴り響くワルツの調べ。
BGM:「Judgment Waltz(罪過の踊り子 Ver.)」
旋律は、まるで罪を踊る者たちの心拍のように、静かに、しかし確かに脈打っていた。
闇の中に、金糸で縫われた文字が一つずつ浮かび上がる。
淡い光のラインが、タイトルを形づくる。
《Next Episode: 傲慢のステップ ― 婚約破棄舞踏会再演》
――あの夜。
煌めくシャンデリアの下で、断罪の声が響いた瞬間。
すべてが崩れ、すべてが終わったはずだった。
クラリッサのモノローグが静かに重なる。
「あの夜の足音が、まだ胸に残っている。
けれど、今度は逃げない。――この罪を、踊りきるために。」
彼女の言葉に呼応するように、最後のピアノの音がひとつ、
ゆっくりと闇の中に沈んでいく。
「次回予告&オチ」
光の魔方陣が完全に輝きを増し、クラリッサの足元がふわりと浮いた。
ドレスの裾が翻り、彼女は慌てて叫ぶ。
「せめて――着替える時間くらい──きゃあああっ!?」
そのまま、きらめく羽の粒子に飲み込まれ、彼女の姿は光の渦へ。
残されたのは、舞踏会ホールへと通じる巨大な転送陣だけ。
その上で、ミカエルがにっこりと笑い、マイクを掲げた。
ミカエル:「次回ッ! 断罪のステップにご期待くださぁぁい!!」
観客席から一斉に歓声とコメントの嵐が飛ぶ。
『#断罪再演トーナメント開幕』
『#着替える暇なし令嬢』
『#次回ワルツで婚約破棄!?』
羽の光が降り注ぎ、アリーナ全体が白に包まれる。
そして――
ナレーション:「戦いは美しく、罪は派手に。
悪役令嬢たちの再演、ここに――開幕!」
最後の一拍、ティンパニの重低音が響き、タイトルロゴが再び現れる。
《SIN ARMOR TOURNAMENT ― 第一幕:傲慢のステップ》
闇の中、クラリッサの遠くからの悲鳴がこだまする。
「だからっ、まだ髪が……っ、セット中ぅぅぅぅ!!」
観客:「フォォォォォーー!!」
コメント『#断罪より先にドレス直せ』
――To be continued.




