夏の終わり
処女作です。好みをつめつめました。
ファンタジーのつもりです。
登場人物の名前は当て字や語感で決めたのが多いです。
物語全体の主人公と章ごとの主人公がいます。今回は全体です。
作者がカップリング厨なので、そうゆう描写があるかもしれません。
ハッピーエンドの予定です。
この物語の世界観は地球に近く、日本に近い別の何処かです。
9月の中盤、残暑と言うにはあまりに残りすぎている暑さは容赦なく僕を襲ってくる。
「日傘、持ってきたら良かったな。」
後悔先に立たずというが、どうしても見通しが甘くなってしまう。
まぁ、とにかく暑い。帰っていいかな。どうしても果たしたい目的があるのだけど暑いものは暑い。でも帰るのは僕が許せない。
こんなとき、前みたいに尽がいたら変わっているのだろうか。
対悪霊無力化及び霊研究連盟 [燐]
二年前、僕が16歳の頃に所属していたところだ。
文字通り、悪霊を無力化して、捕まえた悪霊や協力的な霊を研究している。霊なんて信じられないかもだけど、本当にいた。
悪霊の無力化は主に霊力の高い人間や霊と契約した人間の手によって行われる。
そのなかでも、僕は霊と契約した人間で構成された [ 薊]に入っていた。尽は僕と契約した霊だ。
燐に入ったら、先ず霊と契約出来るかの検査が行われる。基準はわからない。結構バラバラにいた気がするから。
「霊と契約するとね。その人間の霊力を一時的に高く出来るんだ。まぁ、あまりに高いと寿命が縮むけどね。」
そう、やけに楽しげに僕の先輩である彼女はいっていた。
あ、でもすぐその後に
「ま、私には関係ないけどね♪」ともいってたが、結局彼女も消えてしまった。もう過ぎたことだけど。
霊力の高さと能力の高さは比例する。
僕らは契約した霊の霊力を借りて本来使えるはずのない力を使っていた。
驚異的な身体能力、見えざるものが見える目。息が拐われるぐらいの危険な非日常。まるでファンタジー小説のワンシーンのような体験。全てが僕にとって魅力的だった。
あの熱が 、速まる鼓動が、未だ体に残る甘い痺れが、忘れられない。忘れたくないんだ。僕は普通の人間で、普通の人生で、終わりたくない。あの日常を過ぎたことにしたくない。
願わくばあの景色をもう一度だけ。
燐には、設立してから1000年間全ての燐に関わりのある人物、出来事が保管されている記録書庫がある。1000年前から現代まで、つまり僕に関する記録もいうまでもなくあるということだ。
今日僕は、僕に関わる全ての記録を手に入れる。あの記憶が薄れることがないように。いつまでも覚えていられるように。
絶対に失いたくない記憶を記録で補完する。それが僕の目的だ。
家から駅まで徒歩5分、電車の乗り継ぎ二回、そこから歩いて20分。
ようやく着いたのは、燐の本部。相変わらず大きい。間取り、は覚えている……はず。とりあえず、それっぽい扉を全部開ければいいか。
なに食わぬ顔で堂々と建物に入る。中もそれほど変わっていない。人が、前より半分になったくらいか。ここに残っている人間はほとんどがきっと帰る家がない人達だろう。
キョロキョロと建物内を見渡していると、建物の案内図があった。そういえばあったな、こんなの。
「梟の間は……四階か」
場所がわかったなら、すぐ行こう。僕はそこにしか用がない。
エレベーターに乗って上へ向かう。エレベーターって乗っているとき少しだけ不思議な感覚がするからまぁまぁすきだ。
エレベーターの到着の合図が鳴る。ゆっくりと間を開けてくドアが開ききる前にこの箱から出ていく。少し早歩きで書庫の扉に向かう。
記録書庫、「梟の間」と呼ばれているようにその扉にはフクロウの絵が彫られている。
焦りをそのままにドアノブに手を掛け、捻……れなかった。
「……鍵かかってる」
扉が開かない。管理人は不在のようだ。彼女はいつもここにいるから不在なんて考えたこともなかった。
早く彼女を探さなければ。それか鍵の場所を。
何処を探せばいい?
もう一度、一階のホールに戻るか?
この建物にまだ残っているであろう人で頼れるのは……。 金扇さんか天威夫妻、それか望みは薄いが 賭 さんも探す価値は--。
考えるのは後だ、すぐにエレベーターに向かう。
エレベーターが四階に来るまでの間にも少しづつフラストレーションが貯まっていく。ああ、何で思い通りにいかない。
きた。苛立ちを隠しながら、すぐに中に入ろうとする。
「わぁっ!」
人にぶつかった。しまった、焦りすぎた。
ぶつかってしまった彼女の肩を支える。
「!、っすみません。急いでしまって。大丈夫ですか?」
「あっ、いえ、大丈夫です!こちらこそ、ごめんなさい 。」
「…………って、あれ?ねぇ、つづき君……よね!?どうしたの!?もしかして、……書庫に用!あった?」
「えっ。あっはい。」
勢いがすごくて押されてしまった。目の前にいる彼女をよく見る。つり目がちな黒目、腰まで伸ばした黒髪に紺色のジャンパースカート。間違いない。彼女が梟の間の管理人 [小花衣蕾夏] だ。
「最後にあったの、二年前だっけ?背伸びたね!」
「あぁ、ごめんごめん。すぐ鍵開けるから!」
「……ありがとう、ございます。」
とりあえず、書庫には入れそうだ。
「この書庫って燐が解体したからさ、もう必要なくなっちゃったんだよね。」
自分に関する記録を探していると、ふいに小花衣さんが言ってきた。なにも言わずに耳を傾ける。
「つまり、私がここにいる意味もないんだ。」
この記録書庫の管理人になるには、書庫にある記録全てを記憶し、保管場所を正確に覚えていなければならない。そうなると、今まで彼女が覚えていたことはなんだったのだろう。
「……もう辛いんだよね。覚えてるの。」
「忘れたいって思ったんだ。辛いこと 、楽しいこと全部消したいなって。」
忘れたい、か。
「……僕は、忘れたくないですね。」
「確かに目を背けたくなる程辛いこともあったし、今が惨めに思えるぐらい楽しいこともありました。」
「けれど、僕はあの光景に焼かれ過ぎました。残った火傷が時が経って消えてしまうのが、堪らなく不快に思うくらいに、僕はあの火に執着しています。あれはあまりに忘れがたい現実だ。」
あの火に出来るならもう一度。
「そっかぁ、なら都合が良いね。」
小花衣さんの目をいつの間にか見ていた。
彼女は僕のすぐ後ろを見つめていた。
「ねぇ、ならここの管理を君に任せて良いかな。大丈夫、天威さん達には私から話しておくよ。けじめ、つけたいしね。」
目線をずらし今度は僕を見て言った。
「……僕は、書庫の管理人を任せられる程の人間に見えますか?」
「ううん。まったくない。」
「けどね、自分の興味があること、自分と関連することには周りが手がつけられない程執着する。」
「この書庫はね、君の興味を惹くものでいっぱいだよ。君が数えきれない程の物語がある。そして、全く同じものなんてない。人も、出来事も。」
「……どうする?惟芽 胤 君。」
「これでも結構、君のこと口説いてるんだよ?」
彼女はいつの間にか僕の目の前に来ていた。
「また、火に飛び込む気はある?」
差し出された手には、鍵があった。梟の鍵。
「……今度は燃え尽きちゃいそうですね。」
鍵を確かに握りしめる。
夏の終わりの出来事だった。
人物紹介
全体の主人公
惟芽 胤 (ゆいが つづき) 現 18歳
見た目
真麻色の髪に柳鼠の目
前髪の左側を一部編んで耳に掛けている。
柳染のセーターと白いシャツ、ループタイ。
性格
デリカシーというものが欠除している。
興味がないことは見向きもしない。
表情に感情が基本でない。
記録書庫の元管理人
小花衣 蕾夏 (こはない らいか) 現18歳
見た目
黒髪長髪の女の子。黒目に紺のジャンパースカート。ロングブーツ。
性格
明るい子。記憶力が良い。
胤の後ろにいた霊
關悟沁 遘狗セ ( 繧ゅ∴縺 縺ゅ″繧 ) 行年?歳
見た目◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️。
性格
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