5 海外進出
マリエールは海外進出を決めた。南では大きな成果を上げた。砂糖、カカオ、果物、様々な生き物だ。十分な成果だ。
5 海外進出
始めは魔導人形を東西南北に飛ばしてみた。魔導人形にはある距離以上は情報交換が出来ないし、その距離を超えて、情報を得て戻って情報伝達する事はリスクが高い。判る範囲で貴重と思える情報を元に出かけて行って対応するのが良さそうだ。
最初に貴重な発見があったのは南だ。砂糖やカカオの発見だ。予想はあったとは言えこの発見は大きい。今までなかった食材だ。複製して、菓子作りを始める。普通の料理のレパートリーはあまりないが菓子の記憶はやたらと多い。前世は菓子職人だったのだろうか。王家の夕餉のデザートでケーキが出るのが普通になった。マリエールは出かけている事が多いが王家の夕餉には戻ってケーキを振る舞う。王城の厨房でもケーキは作るがマリエールのケーキは格別だと言われて悪い気がする筈がない。
第1王子のハリスに、
「今回の南の海外進出は成功だったな。こんなに美味いものがあったなんて知らなかったよ。」
こんなに称賛されると照れくさい。
「止めて下さい。照れくさいじゃないですか。」
家族皆が称賛してくれる。ケーキの美味しさは並じゃない。
砂糖やカカオだけじゃない。様々な果物が手に入った。生態系も複雑で珍しい生き物が多い。食材になる物も少なくない。
西や北は捜索が難しい。大陸を超えて探査するのが困難だからだ。それに南ほど魅力的な物が見つかる見込みが薄い。西や北の捜索は取り敢えず諦めた。
ある程度十分に南の幸を手にした我々の目標は東だ。南ほど食材に期待は出来ないだろう。見知らぬ島や大陸があるかも知れない。新たな発見があるかも知れない。転移使えば定期的に帰ってこられる。不安はないわけではない。魔導人形はマリエール以外の命令は
聞かない。臨機応変な対応が出来ない。一定範囲から外れたら新たな命令が出来ない。緊急事態が起こっても魔導人形は動かない。一番怖いのは、反乱、動乱、敵襲だ。魔導人形のお陰で人間の兵隊は育っていない。簡単な治安維持なら対応出来ても、大掛かりな戦には対応出来ない。マリエールの長期不在は命取りになりかねない。従って遠征も途切れ途切れだ。少しづつしか東に移動出来ない。今だ大陸は発見出来ていない。あまり目新しいものにも出会ってない。やはり東では何もないのかと不安が広がった時、大陸発見の報が飛び込んだ。
陸地に入って500km陸地が続いたら大陸と考えると言うルールを作った。不確定な決め方だ。ただの大きな島かも知れない。でも調べる根拠が欲しい。遠征隊を集めてこの大陸らしい場所の調査を開始した。マリエールは母国とここを往復しながら、自らも調査した。陸地の先はまた陸地だ。5000km陸地が続いている。大陸で間違いないだろう。
魔導人形から連絡があった。大きな魔力反応があると。直ぐに向かうと連絡を返した。邪悪な存在かそうでないのか考えた。どちらにしても対峙しなければならない存在である事は間違いない。マリエールは魔導人形が残した痕跡を辿って転移した。
東に向かった。成果もあまりなく日数だけが過ぎていく。やっと大陸を見つけた。大きな魔法感知があった。