4 西の国との同盟
西の国には、マリエールの本気も見せ同盟に辿り付いた。東の国は殲滅して併呑した。北の国とは同盟、他の2ヶ国は属国とした。
4 西の国との同盟
翌日通い慣れた西の国に魔導人形と共に出かけた。馬車は用意して居ない。顔見知りの門番が対応してくれた。門番に同盟申し込み書を渡した。門番は奥に行った。間もなくマリエールは奥に通され、宰相の部屋通された。宰相は、
「これはこれはマリエール王女殿下。同盟を申し込まれるという事は5ヶ国との同盟と解釈して宜しいか。」
宰相は嫌味ぽくいう。
「あなたと言い合いしている時間はないわ。魔導人形を暴れさせてから聞けばいいのかしら。生きていればだけど。死んで居たらこの国を占領するしかないわね。魔導人形は手加減は判らないからどれ程死ぬか判らないけど。」
マリエールは魔導人形に指示を与え始めた。宰相は慌てて、
「国民を救うために、電光石火の交渉したマリエール王女殿下が、人殺しを命じられる筈がない。」
マリエールは笑った。
「私、自国民のためなら幾らでも交渉するけど、西の国の人が幾ら死のうが関係ないの。何なら更地にした方がいいかしら。」
宰相はマリエールが本気である事を覚った。
「判りました。国王の所にご案内します。」
宰相はマリエールを国王の間に案内した。普段着のままの国王がそこにいる。宰相に耳打ちされ驚愕の表情でマリエールを見る。マリエールは紙を一枚出して国王に渡す。
「これがあなたの書く文面よ。王印も忘れないでね。」
西の国の国王はマリエールに言われるがまま同盟を締結した。各国は国民に周知して他の4ヶ国にも知らせた。単独の同盟が成立した。
マリエールは帰国した。国王に報告して提案した。
「東の国に宣戦布告して下さい。このままではブラフと思われます。実力のある事を示さないと舐められます。」
東の国に宣戦が布告され戦争が始まった。とは言え、一方的なマリエールの魔法人形による蹂躙である。元々人口の少ないこの国は消滅して、マリエールの国が併呑した。この国に雨を降らせなかった北の山脈は消滅した。北の国とは同盟を組んだ。他の2ヶ国は属国にした。
かつて、5ヶ国でこの国を脅した国々は2ヶ国と同盟、1ヶ国を併呑、2ヶ国は属国とする事で結着が着いた。
一躍大国になったこの国は産業、事業が盛んで特に海洋開発には熱心だ。西の国、この国、東の国は海に面しており、特に東の国の海は東の面も海面で寒冷な場所の海産物が取れる。北の国でも同様だ。
一段落した頃の王家の夕餉だ。マリエールは13歳になっていた。ハリス第1王子はマリエールに尋ねる。
「マリエールにあれだけの力があるなら、始めからやっつけて於けば手間がなかったのじゃないか。」
という。マリエールは応える。
「個別に当たらなければ、こちらに被害が出るでしょう。ハリス兄様もしっかり構想を持たないと痛い目に会うわよ。」
マリエールの言葉にハリスは驚いたようだ。
「マリエールに構想があったのか。何時も行き当たりばったりだと思っていたのに。」
失礼な奴だ。
「どうせ、行き当たりばったりですよ。でもその時の最善は選択してきたつもりよ。」
その言葉は重い。
ハリス第1王子からそれほど力があるなら、始めから5ヶ国を攻撃すれば良かったと言われた。マリエールは構想があると言った。嘘だけど。