3 外交
外務大臣は頭が痛い。相手はマリエールの要所要所での合意を求めてくる。いきなり合意を求められても判断が難しいだろうから、時々経過説明に職員を派遣する。
3 外交
12歳のマリエールは、別に積極的に外交に関わる必要もないわけだし、10歳未満の頃は外国語が判る珍しい少女としてマスコット代わりにされていたけど本題に関わってはいなかった。10歳であんな事になり、単独で国を滅ぼすほどの軍事力の保有者だと知られ外交に不可欠な人物になってしまった様だ。
外務大臣も頭が痛い。マリエールは異質な存在だ。こちらの切札として居てくれるだけならいいが、それ以外ははっきり言って邪魔だ。本人は積極的に関わらいつもりの様だが、相手側がマリエール抜きに事を進める事に警戒感を抱く。要所要所で出席が求められる。出席させられないと言うのも変だ。マリエールは聡明な少女だが、外交問題の要点をいきなり言われて理解しろとは言えない。途中経過を説明しておく必要がある。それが王族に伝わる。国王陛下に質問される。悪循環だ。マリエールには外交テクニックは無縁だ。そんな所に王族が絡むとややこしい。向こうにとっても爆弾だろうが、こちらにとっても爆弾だ。
マリエールにとっても外交問題は戦争が絡んでいなければ、別に興味がない。輸出入品目とか量はあまり関係ない。ないものならともかく、あるものは複製すればいい。渡航の決まりとか制限とかはああそうという感じだ。同盟問題も同盟を組んで何処かと対立するなら嫌だし、同盟を結ばないなら攻撃するというなら魔導人形を派遣すればいい様な気がする。
問題はこの国の国益だろう。こちらのいう事聞かないなら相手の王城で魔導人形を暴れさすと言えば、いう事を聞く国とだけ同盟関係を単独で結べばいい。一昨年の問題はこの国以外の5ヶ国が同盟を結びこの国の攻撃を狙った事だ。何も全部と同盟を結ぶ必要はない。分断こそ最善だ。王家の夕餉の時これはと思う国とだけ同盟を結ぶ提案をした。国王もハリス第1王子も賛成してくれた。外交問題の説明に来てくれた外務省職員にその案を説明した所、どの国と同盟を結ぶのですかと聞いてきた。どの国と同盟を結べばこの国の国益になるか外務省としての考えはないのかしら、と聞いた。外務大臣と相談してみます。と言って帰った。マリエールは直ぐに国王宛書簡を送った。翌日国王と外務大臣の会議が持たれた。
結局、西の国との同盟関係を模索する事になった。この国と接する範囲が最大で交流や交易が最大だ。一番馴染み深い国だ。同盟を結ぶならこの国だろう。マリエールも妥当な選択だと思う。と感想を抱いていたら国王陛下に呼ばれ、
「西の国には、マリエールに行って貰う事になった。良い日に行ってきてくれ。同盟の申し込み書も用意した。得意だろう。」
どうしてそんな事になった。何のための外務省だ。
「ちなみに私が行く理由はなんでしょうか。」
国王はしてやったりという顔して、
「他の者が行っても断られるのが目に見えている。相手は、全部と同盟を結べと言っている。単独の同盟は選択肢にない。お前が魔導人形数体と共に出かけ、嫌ならこの魔導人形を暴れさせるぞと脅せば締結するさ。」
マリエールは暴力団か。
同盟は個別にして、5ヶ国の分断を図るべきだ。王家の夕餉で提案すると了解される。西の国が選ばれたが、どうしてかマリエールが行く事になった。