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episode 4.-past Day4-

トントントントン………ジュージュー……………

「よしっ!」



ガララッ

「ふわぁ~、、…おはよ、」

「おはよう、詩音くん。まだ眠い?」

「んー、、、」

「朝ごはん作ってみたんだけど、…一緒にどうかな?」

「これ花鈴ちゃんが…?? 目覚めた! 食べる!!」




昨日、突然のハプニングで詩音くんのお家に泊まらせてもらう事になって。

今朝は少し早く目が覚めたから、お礼も兼ねて朝ごはんを作ってみた。




「美味しい!! 花鈴ちゃん、料理上手なんだね! お店のやつみたい!!」

「流石に大袈裟だよ(笑) でも、喜んで貰えて良かった!」




普段から趣味で料理やお菓子作りはするけれど、詩音くんに食べてもらうのは初めてだったから

内心ドキドキしていた胸をそっと撫で下ろす。


そういえば、昨日は緊張していてあまり気づかなかったけれど

詩音くんの家は引っ越して来たばかりとはいえ、あまり生活感がなくて、準備されていた調味料も必要最低限って感じで使われた形跡もほとんどなかった。




「…あのさ! 詩音くんって、」

「あ、花鈴ちゃんちょっと待って。」

「へっ、…? …っ、!」

「はい、いいよ。これほっぺたに付いてた。(笑)」




まだまだ詩音くんに慣れないことも多くてドキドキさせられっぱなしだし、単純かもしれないけれど

昨日の夜、お互いの話をしたおかげもあってか前よりも距離が縮まって、恋人らしくなってきたような気がしてる。




「そうだ、僕花鈴ちゃんに聞きたいことがあったんだ!」

「聞きたいこと?」

「仕方なかったとはいえ、ご両親にちゃんと説明もせずにうちに泊めちゃったでしょ? だから、せめてお菓子とか持って行こうかなって。ご両親の好きなものってあるかな?」

「そんな、わざわざいいのに…! むしろ、泊めてもらったのは私なんだから。」

「それでも、自分の彼女のご両親にはちゃんとしておきたいんだよ。あ、そうだ花鈴ちゃん昨日お姉さん(・・・・)が居るって言ってたよね! お姉さんが好きなものでも、」

「お姉ちゃんの分は要らない。」

「えっ?」

「あっ、いや…、えっとお姉ちゃん、大学生だしあんまり家に帰って来ないからさ、、! ほら詩音くん、買い物行くなら早く朝ごはん食べないとだよ!」




変…だって思われただろうか。

でも詩音くんの前では、お姉ちゃんの話題は避けたくて、誤魔化してしまった。





「詩音くん、わざわざ家まで送って貰っちゃってごめんね?」

「ううん、送るなんて言って、結局僕が行きたかったカフェにも付き合って貰っちゃったしね(笑)」





朝ごはんを食べたあと、すぐに帰る予定だったけれど

なんだか離れがたくなって、結局私たちはカフェに行ったりショッピングモールで買い物をしたりして。

気がつけばすっかり夕方になっていた。




「今日は楽しかったなぁ~、花鈴ちゃんの手料理も美味しかったし! …また花鈴ちゃんの手料理が食べたいって言ったら、迷惑かな?」

「ううん、そんな事ないよ。そう言って貰えて嬉しい。何作っろか! 詩音くんのリクエストは『…花鈴?』

「…っ、!」

「やっぱり花鈴だ! 隣にいるのは彼氏? 花鈴男の子と話せるようになったんだね!」

「えっと、、花鈴ちゃんこの人は?」

「私の…お姉ちゃん。」

春野蘭(はるのらん)です。妹がいつもお世話になっています。」

「僕は、花鈴さんとお付き合いさせて頂いてます! 立花詩音です。」

「やっぱり付き合ってるんだね! あ、そうだ詩音くんちょうど今作った肉じゃががあるんだけど持っていかない? 私の自信作なの!」

「いいんですか? 僕肉じゃが大好きです!」

「ほんと?! じゃあ今取ってくるから、ちょっと待っててね!」






…何が起こってるの、、??

さっきまで、詩音くんと一緒で楽しくて、幸せで。

それなのに…





「花鈴ちゃんのお姉さん、凄く綺麗な人だね! それに、料理も出来るなんて」

「…………って。」

「え、?」

「ごめん詩音くん、今日はもう帰って…?」

「え、ちょっ、、! 花鈴ちゃん…!!」






目の前に映る、詩音くんとお姉ちゃんが楽しそうに話す姿。

こうなるとわかっていたから、お姉ちゃんの話題は極力避けていたのに。

感情がぐちゃぐちゃで、自分でもどうしたらいいのかわからない。




戸惑う詩音くんをおいて、私は家の中に入る。

せっかく見つけた私の居場所。

私が唯一心を許せる男の子は、詩音くんだけなのに。



ただただ胸が苦しくて、どうしようもなくて。

私は泣くことしか出来なかった。






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