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あの世の撲殺魔っ

『な、何じゃ、何故にシスターがここに居るのじゃ』


 こ、ここは……?


『ほれほれ、早くあちらに戻るが良い。シスターが来るには、まだ早いのじゃから』


 わたくしが来るには、まだ早い?


『ここは現し世と常世の中間に位置する、狭間とでも言えば良いかの』


 うつしよ? とこよ?


『お主等が居る虚ろなる世界と、ワシが居る常なる世界じゃ。まあ、平たく言えば、この世とあの世じゃな』


 この世……あの世……わ、わたくし、死んでしまいましたの!?


『いや、死んではおらぬよ。じゃならこの狭間に留まっておるのじゃ』


 そ、そうですの…………ん?


『何じゃ?』


 いえ、そちらの部屋から邪悪な気配が……。


『んなっ!? ま、待つのじゃ! ワシのプライベートルームじゃぞ!?』


 プライベートなんて知った事じゃありません。


 ガチャッ


 こ、ここは……!


『ひゃ、ひゃあああああ! 許して下されええ!』


 わ、わたくしの……絵? いえ、絵にしては現実のわたくしに似すぎているような……?


『それはじゃな、写真という技術じゃよ』


 しゃしん?


『原理を説明しても、理解は難しいじゃろな。要は念写のようなものじゃ』


 念写ですの? あれは相当な時間を要する筈ですが。


『別の世界では、それを一瞬で行う技術があるのじゃ』


 成る程、興味深いですわね。しかし。


『な、何じゃ?』


 何故わたくしのしゃしんばかり、しかも……。


『あ、えっと、その』


 水着だったり、下着姿だったり、入浴中のしゃしんばかりですの?


『そ、それはじゃな……』


 しかも、わたくしに気取られずに、どうやってこのアングルで?


『アングルとは、何故専門用語を知っておるのじゃ!?』


 そのような無意味な追求、どうでも宜しいですわ。女性の身体に異常な執着を見せる貴方は、邪神で間違いありませんわね!


『な、何故ワシが邪神認定されねばならぬのじゃ!』


 邪神ならば成敗せねばなりません!


『せ、聖女の杖!? ま、待て、待つのじゃ!』


 待てません。では、天誅!

 バギャ!

『うぎゃああああ!』

 天罰!

 メコッ!

『ぶぎゅぅえええ!』

 滅殺! 抹殺! 撲殺!

 メキャバキャグチャア!

 ドチャ……


 邪神成敗しましたわ! あはははははははは! ほら、見てごらんなさいな! 邪神の割に、あの情けない死に顔ったら! あっはははははははははははは!


『……う、うぐ……や、やはりシスターは危険じゃな……』


 え? まだ生きてますの?


『身体は最高なのじゃが、この撲殺癖が厄介じゃのう』


 あら、あらあらあら。また邪神を撲殺できる機会を頂けますのお?


『違うわい! やはり危険じゃ、現し世に戻るが良い……強制送還じゃ!』


 え?



「……ぅ……」

「私がやるの!」

「いや、私がやると思われ!」


 ……あら……邪神が何故か、可愛らしい女の子二人に……?


「リファリスの人口呼吸は、経験者である私の方が打って付けなのよ!」

「経験者!? 場数なら私が上と思われ!」

「場数って、リファリス以外に浮気しまくってた訳?」

「違う! それはそれで本気であーる!」

「本気で浮気してた?」

「ちっがーう! 浮気はしてない!」

「なら場数って何よ、場数って!」


「う、五月蝿いですわよ」


「「え……」」


「何を争っていたのかは分かりませんが、寝ているわたくしの側で騒がないで頂けます?」


「リ、リファリス気が付いたんだね!」

「良かったああ!」


 わっ。ふ、二人が突然抱きついてきました。


「……わたくし、心配かけてしまったのですね……申し訳ありませんでした」


「ううん、そんな事無いよ。それより」

「リファリス、アレを何とかして」


 え? アレって……。


 キシャアアアア!


「な……テ、テンタクルス!?」


 そ、そんな。『過剰回復』が効いてなかったんですの!?


「あー、リファリス、あのテンタクルス、ゾンビ化してるのよ」


 ゾンビ化!?


「テ、テンタクルスのゾンビだなんて聞いた事がありませんわよ!」

「うん、私も始めて見た」

「私も、と思われ」


 わたくしの『過剰回復』により、生きたまま腐っていったのが良くなかったのでしょうか。


「それよりさ。ゾンビだったら、リファリスの敵じゃないでしょ?」

「ちゃっちゃと片付けてを希望」

「え? あ、ああ、そうですわね」


 ゾンビを浄化するのに、大小関係ありませんもの。


「『迷える魂よ、朽ちた肉体より離れ、天に帰りなさい』」


 パアアアア……


 テンタクルスゾンビを聖なる魔方陣が包み込んでいきます。


 ギィィィアァァァ!


 やがて腐った身体がボロボロと崩れていき。


 ア……ヴォ……ゥゥ……


 留まされていた魂が解き放たれ、テンタクルスは真の意味で滅ぼされました。


「はい、これで宜しいですわね」


「さ、流石は聖女様……」

「聖属性が苦手なゾンビとはいえ、一瞬で……」


 見ていた方々は感心されたようで、口々にわたくしを讃えて下さいます。


「大した事はございませんわ」

「「「いやいや、充分に大した事ですから」」」


 リブラやリジー達もウンウンと頷きます。


「修行をすれば誰でもできるようになりますわよ」

「リファリス、サラリと無茶言わないで!」

「流石にそれは無理と言うべきと思われ」


 そんな事はありませんわよ。


「リブラにも、このくらいはできるようになって頂かないと」


「だから無茶言わないで!」

「あははは、頑張れリブラー」

「ひ、他人事だと思って……!」


「あら、リジーにも修行して頂きますわよ?」


「……え゛?」

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