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腹黒い大司教猊下っ

「……にゃは~♪」


 聖女様が何かして下さってる間、私は脳天気そうな女の子に匿われていました。


「にゃは~♪」

「あ、あの~」

「にゃは?」

「あ、貴女は一体……?」

「にゃは~、気にしない気にしない」


 え、えっと……何をする訳でも無く、隣でたまに「にゃは~♪」と呟くだけなんですけど……。


 ガチャ バタバタッ


 え? 誰か入ってきた?


「にゃは……誰も居ない筈の教会に入ってくるのって、侵入者以外に可能性無いねぇ♪」


 侵入者!?


「仕方無いなあ~……着替えるか」


 そう言って女の子は、ピンクの派手なワンピースを脱ぎ捨て、白い法衣のようなものを着だして…………って、え?


 バタバタッ ダダダッ


「あの部屋だな!?」

「よし、手早く拉致してズラかるぞ!」


 ら、拉致!?


「そのまま座ってて、メリーシルバーちゃん」

「え、で、でも」

「大丈夫だから」


 そう言って扉の前に立つ女の子。あれは、本物の法衣……?


 バァン!


「居たぞ……な、なあ!?」

「何だよ、サッサと……っ!?」


「サッサと……何だね?」


 部屋に侵入してきた男達は持っていた武器を捨て、その場に跪いて……え? え?


「「だ、大司教猊下、失礼しました!」」


 大司教猊……え、えええ!?


「この教会に何か用かね?」


 お、女の子の口から、威厳ある男性の声が……?


「は、はい、じ、実は……」

「君達は、主の教えに反する行為を行っているのだという認識は、あるのかね?」

「っ…………は、はい……申し訳ありませんでしたあ!」


 その声には、逆らう事のできない何かがあり、侵入者達は地面ひ平伏してしまいました。


「……全てを話してくれるかね?」

「はい! はい、勿論です! 俺達が犯した罪、全て話します!」


 ……侵入してきた賊をたった一言で観念させる、圧倒的なカリスマ性……。


「俺達は、万死に値する罪を重ねてきました! 今更許されるとは思えませんが、それでも……!」

「主は全てを許されます。貴方が罪を悔い、やり直そうと言うのであれば、私がそれを肯定しましょう」

「だ、大司教猊下……!」


 どんな罪人であろうと、慈悲を与えて再起を促す懐の深さ……。


「貴方を人の道に外れた行為に及ばせた方々の事も、お話し下さいますね?」

「はい! 大司教猊下の御下問とあらば」


 ……そして言葉巧みに黒幕を暴き出す強かさ……。


「これが……ルドルフ・フォン・ブルクハルト大司教なのね……」



 全ての懺悔を聞き終え、今後の事を指示し終えて戻ってきた大司教猊下は。


「……にゃは」

 バタッ


 ソファに倒れ込まれて、一気に行儀悪くなり。


「にゃはにゃはにゃは~」


 法衣をその場に脱ぎ捨てて、圧倒的カリスマ性から何から一緒に放り出してしまいました。


「疲れたよ~……お真面目モードはルドルフに任せたいにゃ~……」


「あ、あの、貴女がルドルフ大司教ではないんですか?」


「にゃは? 違うよ、アタシはルディ。ルーディア・フォン・ブルクハルトだよ」


「え……?」


「にゃは~、実は大司教は二人居るのだ~」


 だ、大司教が二人!?


「ていうか、メリーシルバーは知らなかったんだねぇ、アタシの事」


「え? わ、私が?」


「にゃは~、アタシが貴女の事を知らないとでも?」


 …………へえ。


「私の何を知っていると言うんですか?」


「にゃは~、メリーシルバーなんて分かり易い偽名、アタシには通用しないよ~」


「偽名? 何を仰るんですか。この名は両親から頂いた大事な」

「その両親が問題なんだねえ、にゃは~♪」


 っ!?


「マリーゴールド王女と対となる名前なんて、平民に許される筈無いよね、にゃは~」


 ……バレて……いたんですね。


「……いつから、気付いていたんですか?」


「最初から。リファっちに名前を聞かされた時から」


 ……っ。


「大丈夫だよ~、リファっちやリジっちは気付いてないから」


「……どうして、大司教猊下だけが?」


「んー、だってさー、国王さんから名付け親になってくれって頼まれたの、ルドルフだから」


 あ……!


「んーふふ、まさかルドルフ(アタシ)が貴女の名付け親だとは思わなかったでしょー?」


「……迂闊でした」


「にゃはは、まさかアタシみたいな小娘が名付け親だなんて思えないだろうしね、無理ないよ」


「あ、貴女は大司教猊下の何なのです!?」


「アタシ? ルドルフのドッペルゲンガーだよ」


「ドッペルゲンガー!? 同一の存在だと言うのですか!?」


「にゃはは、そういう事」


「……厳格な大司教猊下の半身が、こんなピンクな女の子だなんて……」


「女の子じゃないよ。もう女なんだな、アタシ」


「み、見た目どうりの歳では無いと?」


「にゃは…………」


 ゾクリッ

「っ!?」

「目上の者に対する礼儀を知れ。女性に年齢を問うなんて失礼千万」

「す、すみません」


 や、やはり大司教猊下の半身だわ。凄い威圧感……!


「……にゃはは、分かればいいのよ、分かれば。それより、君の事なんだけど」


「は、はい!」


 威圧感を解除して、ニッコリ笑い。


「君の事、リファっち達には黙ってあげる」


「……へ?」


「君、アタシの事を狡猾だとか、計算高いだとか考えてたでしょ?」


「えっ!? そ、そんな事は……」


 バ、バレてる。


「にゃはは、誤魔化さなくていいよ。どうせその通りだから」


 え?


「君、今日からアタシの直弟子ね」


 は!?


「君のその立場、アタシとルドルフの策略に利用させてもらうよ」


 えええ!?

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