念入りに撲殺魔っ
最初からクチャやらビチャやらな描写だらけです。苦手な方はスルーして下さい。
「……う……うう……」
「あらあらあ、目が覚めましたかしらぁ?」
ロロさんは周りの景色が変わった事に、さぞかし驚かれたのでしょう。目を剥いてキョロキョロなさっています。
「な、何で!? ここはどこ!? 一体何なのよ!?」
「ここは聖リファリス礼拝堂ですわ。ようこそ、我が家へ」
ニヤリと笑うわたくしを見て、ロロさんはビクリと身体を震わせます。
ザクッ チクッ
「痛っ! な、何よこれ!?」
「何よって、ロロさんは茨をご存知で無いんですの?」
「い、茨ぐらい知ってるわよ! 私が言いたいのは、何で茨が私に巻き付いてるのかって事!」
「ああ、そういう事ですの。でしたら簡単ですわ、わたくしの魔術で茨を巻き付かせているのですわ」
聖女の戒『茨』ですわ。
「あ、あんたが犯人なの!?」
「犯人だなんて……人聞きが悪い言い方なさらないで下さいまし。貴女には拘束される理由がありますから、拘束されているんですのよ?」
「な、何で私がっ」
あら、至極簡単な理由ですわ。
「拘束させて頂いた方が、撲殺しやすいからに決まってます」
「撲殺って……まさか、私を殺すの!?」
はい? 今更何を仰っているのやら。
「貴女、既に一度撲殺されたじゃありませんか」
「わ、私が殺された!? い、いつ!?」
「先刻ですわ。町役場の町長室で……覚えてらっしゃないんですの?」
自分は殺されたはずなのに、まだ意識があって会話もしています。その事実が受け止められないのでしょう。
「ならば実演して差し上げますわ。モデルとなるのは、この方で」
そう言って『茨』によってロロさんの前に引き出されたのは……。
「パ、パパ!?」
「……ロロ……」
ロロさんの実の父親、そしてもうすぐ「元」が付く事が確定している町長様です。
「パ、パパをどうするのよ」
「あら、今言ったばかりではありませんの。ロロさんが陥った状況を、町長様を使って再現するのですわ」
町長様の身体を『茨』によって座らせて、その後ろにわたくしが立ちます。
「よく見ていて下さいねえ…………いきますわよ」
聖女の杖を振り上げて、ロロさんにニッコリ笑います。
「え、待って、まさか」
「はい、天誅!」
ブウンッ バガッ!
「ぐぎゃ!」
脳天から割られ、血が吹き出します。
「パパーーーーッ!」
「あははは、娘さんの悲鳴が鎮魂歌だなんて、幸せですわね……天罰!」
ブウンッ メキョ!
「ぐぶべっ」
頭の半分は陥没した町長様。吹き出す血が花みたいになって、とぉぉっても綺麗ですわよぉ?
「あははははは! 滅殺! 抹殺! 撲殺!」
ゴギャ! グジャ! メシャア!
ブシュウウゥゥ……ゴトッ
頭が砕け散った町長様は、そのまま床に倒れました。
「嫌ぁ! 嫌嫌嫌ああああああ! パパ、パパーーーーッ!」
泣き叫ぶロロさんに、再びニッコリと微笑み。
「あははははは、その悲しみとさようなら……ですわね。『迷える魂よ、己が肉体に戻りなさい』」
わたくしの魔術によって砕けた頭が再構築され、物言わぬ抜け殻となっていた身体に生気が戻ります。
「…………ひゅっ……かひゅ、かひゅ、ひゅー、ひゅー、ひゅー……は、はあ、はあ、はあ」
「パパ!?」
死んだ筈の父親が生き返り、絶望から希望へと表情が変わっています。
「お分かりですか? これが貴女の身に起きた事です」
「パパ、パパァァ……え?」
これが、自分の身に? ようやく理解したロロさんは、希望から再び絶望へと叩き落とされるのです。
「町長様は二回目ですわね。でしたら次はロロさんの三回目、いってみましょうか♪」
「……え? わ、私?」
「はい。今回は町長様が観客役で……ロロさんが爆砕役ですわ」
再びニッコリ微笑むわたくしを見て、ロロさんも町長様も表情を凍り付かせました。
「それでは町長様、ちゃんと特等席をご用意しておりますわ♪」
手足の『茨』を解き、ロロさんの近くに移動させます。
「い、嫌、嫌だ、死にたくない。死にたくないよぉぉ……」
泣き叫ぶ寸前のロロさんを地面に固定し、憤怒の形相の町長様の前で、素敵な素敵な撲殺ショーの開始ですわ!
「始めますわよ! では緩~く天誅♪」
ブンッ バギャ!
「ぎゃあああああ!」
「ロローーーーッ!」
死なない程度の強さで殴られたロロさんは、涙と鼻水以外に、赤い赤い液体を垂れ流します……うふふふふ、あはははははははは!
「きぃ、貴様ああああああああ!」
愛する娘への暴力に耐えかねた町長様が、殺意を鮮明にしながらわたくしに駆け寄ります!
「よくも、よくも娘をおおおおおおおおっ!」
ビィン!
「ぐわっ!?」
ズザザッ!
「あらあら、足元はちゃんと注意していなくてはいけませんわよ! あはははははははは!」
「な……い、茨が!?」
倒れた町長様の右足には、わたくしの『茨』が巻き付いていたのです。チクチクと痛いでしょうに、倒れる寸前まで巻き付いた『茨』に気付かないなんて……。
「貴方、お馬鹿さんですわね……あはははははははは!」
再び杖を振り上げて。
「止めて! 止めてくれええええ!」
「もう一度、緩く天誅♪」
ブンッ ゴギャ!
「ぐぎゃああああああああああ!」
「止め、止めろ! 止めてくれええええ!」
「はいはい、緩く天誅天誅天誅♪」
バギャバギャバギャ!
「いだああああああああい!」
「ぐぅぅ! 鬼が! 悪魔が! 娘から離れろおおおおおお!」
「あはははははははは! 可笑しいったらありゃしない! 右足に食い込んだ『茨』に文字通り足を取られて、愛する娘の元にも辿り着けないなんて! 見物だわあ、最っ高の見物よ! あはははははははは! それそれそれ!」
ゴギャゴギャグチャグチャゴチャア!
「がああああああ! うぐぅあ、ああああああ!」
「糞がああああああ! 殺してやる! 絶対に殺してやるぞおおおおお!!」
この繰り返しが二桁に差し掛かった頃、お二人共に正気を失われました。ああ、可笑しかった……♪