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血達磨の撲殺魔っ

 やっぱり平和には終わらんのう。しかも今回の撲殺相手は、花も恥じらう美少女じゃ……元じゃが。性格に難があるとはいえ、流石に今回は見辛いのう……ワシは遠慮しとこうかの。



 隊長様とフレデリカさんを町長室から出し、わたくしだけが残ります。


「町長様ぁ。少おおおしだけ、おいたが過ぎましたわね」


「シ、シスター!?」

「何よ、この女?」


 明らかに動揺する町長様と、わたくしを睨みつけてくるロロさん。


「ロ、ロロ、止めなさい! この方はロードだぞ!」


「ロードォ? 何よそれ」


 ……え?


「ロードだか何だか知らないけど、私のパパは町長様なのよ? この町で一番偉いのよ? たかがシスターが何をデカい面してんのよ!!」


 ……これは……。


「……町長様……貴方はどのような教育を施されたんですの……」

「…………っ」


 流石に何も言い返せない様子で、町長様が俯いてしまわれました。


「ちょっ、パパ、何か言い返してよ! 私を馬鹿にしてんのよ、あの女!」


「わたくしはシスター・リファリス。この町の教会をお預かりしています。これで分かりますわね?」


「この町の教会……シスター・リファリス…………え、まさか、あんたが聖女!?」

「……そう呼ばれていますわね」


 ここは敢えて否定せずにおきます。


「聖女って事は坊さんの一種じゃない。何でそんなのがパパに偉そうな態度してるのよ!」


「……この国では聖心教が政治に深く関わっている事はご存知ですわね?」


「それくらい知ってるわよ」


「地方自治体も例外では無く、首長・議会・ロードによる三権力の分立が基本となっています」


「え、首長はパパよね。議会は議会で、ロードが……えええ!?」


「つまり、わたくしが三権力の一角なのですわ。お分かり頂けました?」


 少したじろいだものの、再び毒を吐き始めます。


「な、何を言ってんのよ! あんたの言う通りだったら、パパとあんたは同格じゃないの!」


「ですわね、普通でしたら」


「それに議会にはパパの味方が多いんだから! あんたがデカい面できる相手じゃないんだから!」


「……お馬鹿さんには一から説明しないと分かって頂けないのですね……宜しいですか。今回の貴女の要求を、議会が承認なさるとお思いで?」


「え……」


「町長様が裏で根回しして、議会に知られぬ前に処理したのならば、可能でしたでしょう。しかしわたくしに知られてしまった以上、それが許されると思われますか?」


「……っ」


「当然ながら、わたくしは反対致します。議会も……賢明な方でしたら、わたくしに賛同なさいますわね」


 ロロさんの主張に賛成する事は、己の政治生命を自ら終わせるようなものですから。


「く……パ、パパ! 何とか言ってよ!」

「シ、シスター! いくらロードとは言え、職権乱用が甚だしいですぞ!」


「それを貴方が仰いますの? ちなみに貴方は今日の議会で弾劾される予定ですので、そのおつもりで」


 今日の町長様への用事は、弾劾の件を通告する為だったのです。


「だ、弾劾!? この私が!?」


「先程町役場入口で叫ばれていた件は、わたくしだけでは無く議員の皆様も聞いておられましたわ。証拠が無い、とは言わせませんわよ?」


「……くっ……」


「それと、諜報部隊長の部下の方が、貴方が行ってきた違法行為の証拠を掴んでましてよ?」


 それを聞いた町長様は流石に観念なされた様子で、椅子にガクリと座り込みました。


「さーて、頼みの綱であるお父様は諦めました。貴女は……どうなさりますの?」


「っ…………だ、だったら!」


 ロロさんは町長様の杖を掴むと。


 ブンッ! ガッ


 わたくしに振り下ろしたのです。


「……何のおつもりですの?」


 額から血を流しながら、ロロさんに問います。


「聖女だか何だか知らないけど、あんたが死ねばっ」

 ガッ

「あんたが死んじゃえば、パパがまた一番なんだからっ」

 ガッ

「だから、死ねっ」

 ガッ ガッ ガッ

「死ねっ、死ねっ、死ねっ」

 ガッガッガッガッガッガッガッ

「死んじゃえ死んじゃえ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねえええ!」

 ガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッ

 パシッ


「……気が済みまして?」


 血達磨になりながら、ロロさんが振り下ろした杖を受け止めます。


「な、何で、何で死なないのよ!?」

「貴女の殴り方が下手くそなんですわ」


 痛くもありませんし、その都度回復すればダメージはありませんし。


「な、なら、これだったら」

 シャッ

 杖から刃を引き抜きます。


「仕込み杖ですの。町長様、物騒なものをお使いですわね」

「はあああっ!」



 バギィィン!



 ……ロロさんの手には先が折れた仕込み杖が握られたまま。


「あ……あ……」


 折れた刃は、わたくしの額に刺さったまま。


「……この程度の刃物、回復魔術を応用して、骨を硬化すれば受け止められますわ」


 ズッ……カランカランッ


 抜いてすぐに回復。傷口はすぐに塞がり、残ったのは流れた血だけ。


「うふ、うふふふ……わたくし、血達磨ですわね……」


 一歩わたくしが進むと、一歩ロロさんが退かれます。その目には殺意は無く、完全に怯えに変わっていました。


「わたくしに対する暴行は明白……でしたら」


 聖女の杖を取り出し。


「わたくしと同じ目に遭って頂かないと」


 振り上げ。


「不公平ですわねえ」


 ブウンッ ガスッ!

「ぶぎゃ!」


 わたくしの杖がロロさんの側頭部を陥没させ、血が身体を濡らします。


「あははははは、わたくしと同じ血達磨! あははははは、わたくし以上に真っ赤ですわね! あはは、あははははは、あはははははははは!」


次回、血祭りフィーバー。

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