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毒牙にかかる撲殺魔達っ

「つ、つまり、リファりんはここを出た瞬間に」

「この記憶を全て失い、おそらくは『恐怖と戦った』という感覚だけが残るのでしょう」

「いや、恐怖だな。この記憶が常となれば、下手したら心が壊れかねない」


 そうですわね。


「実際のところ、パルプンテシア様もそれを危惧なさっていたようです」

「ま、そやそうやろなあ。せっかく優秀な手駒が手に入ったのに、急に使えんくなるんは大変やしなぁ」

「それもパルプンテシア様は仰ってみえましたわね……」


 完全に手駒としてしか見ていらっしゃいませんでした。


「…………あれ? ウチら、どうなるん?」

「はい?」

「ウチらもリファりん通して、世界の秘密知ってもうたんやで」

「あ……そういやそうだな」


 ……あ。


「この結界内の効果はウチらには無縁なんやろ? やったら、ここでの事は」

「あ、バッチリ覚えたままじゃねえか!」


『その心配は無いわ』


「「……え?」」


 く……や、やはり出ましたか……!


「封印されりケダモノ……!」

『ケダモノとは失礼な。一応、聖心教の最高にして、唯一の女神なんだけどなぁ』


 いえ、ここに戻った以上は、貴女は主でも何でもありませんわ!


「今回こそは貴女の思い通りにはなりませんわよ!」


 聖女の杖では無くモーニングスターを構えます。


「え、戦闘態勢?」

「シ、シスター?」


「貴女達はそこに居なさい。これはわたくしの……問題ですわ!」

 ジャララッ

『へえ、杖だけじゃなく、モーニングスターも扱うようにしたんだ』

「はい。全ては、貴女様の毒牙から逃れる為!」


 モーニングスターはまっすぐパルプンテシア様に飛んでいき。


 バガァァン!


 当たる直前で粉々に砕けます。

 が。


 ブワッ

『な、め、目眩まし!?』

「砕かれる事は分かっていました。ですから内部にある粉を混ぜておいたのです」

『ある粉って、これ、毒蛾の……ゲホゲホゲホ!』


 流石のパルプンテシア様でも『神殺し』と呼ばれる猛毒には、身体が反応しない筈がありません。


「つまり涙・鼻水・くしゃみが止まらなくなります」

『ひっくし! ゲホゲホゲホゲホはっくし!』

「これ以上に大きな隙はありませんわ! はあああ!」


 今回こそは、勝たせて頂きます!


「神殺しの天誅!」

 ブゥン! ゴギャッ

「神殺しの天罰!」

 ブゥン! ガギャッ

「神殺しの滅殺! 神殺しの抹殺!」

 ゴッ! ゴッ!

「神殺しの、撲さ」

『ざーんねんでした♪』

 がしぃ!


 くぅ!?


『戦法は良かったんだけどね、その後が難ありだったかなぁ』

 ぐいっ


 し、しまった!


『うふふ、今回も、美味しく召し上がろうかなぁ♪』

「そ、そんな簡単に召し上がられません」

 キュッキュッ

「はあああああああああん!」

『あらあら、いつも以上に艶っぽい声出しちゃって♪』


 く……ま、まさか、パルプンテシア様までレベルアップしてるなんて……!



『は~あ、スッキリ!』

「…………」


 ま、また、負けましたわ……!


『ますます成長、ますます感度アップ、大変に宜しい!』


 よ、良くありませんわ!


『さーてさてぇ♪ 今回はお楽しみが二倍三倍なのだぁ!』

「「えっ」」


 ……申し訳ありません、二人とも。わたくし、もう腰が……。


「ウ、ウチの身体はリファリス様のもんや……ちゅーて、リファりんとちゃうで」

「俺は元男だぞ! そんなのに手ぇ出すつもりかよ!」

『そーいうのが良いんじゃないのよ♪』

「「え゛っ」」


 あああ、パルプンテシア様の生粋の可愛い娘好き、ますます磨きがかかって……。


『じゃあ、まずは盾ちゃん!』

「盾ちゃん言うなや!」

 キュッキュッ

「はあああああああああああん!!」

『あらあ、弓なりに反応しちゃって♪』



「…………」


 エリザがノックアウトされてから、モリー。


『さあ、おっ待たせえ』

「待っとらんわ!」

『さあさあ、捕まえてあげますからねぇ♪』

「くっ、捕まってたまるか!」

 スルリッ

『あら、案外すばしっこいですね』

「へへ、捕まってたまるかよ!」



『待ちなさーい』

「ま、待ってられるかよ、はあはあ」


 モリーが逃げ回っている間に回復しましたたので、エリザと一緒にお茶を飲む事にします。


「く、屈辱や。あんな変態神さんに、あそこまでされるやなんて……!」

「全く同感なのですが、相手は仮にも主なのですから」

「ウチは聖心教徒やあらへん」


 そう言われてみればそうですわね。


「そう言やリファりんは、毎回こんな感じなんか?」

「……聞かないで下さいまし……」

「ああ、つまりは毎度の事なんやな…………あんな神さんよう信仰するわ」


 贖罪でもなければ、とっくに改宗してますわ。


 がしぃ!

『つーかまーえた!』

「くっそお、離せええええええ!」


 あら、ついにモリーが捕獲されましたわ。


『うふふふ、新鮮だわぁ♪』

「ちっくしょおおおお、離せええ!」

『大人しくしなさい♪』

 キュッキュッ

「いてて、何しやがる!」

『あらあ、これじゃ駄目なの。なら、こうかしら』

 キュムッ

「いってええええええ!」

『むむ、まさか、こう?』

 キュウウッ

「はあああああああああん!?」


 モリーも陥落しましたわね。


「なあ、リファりん、今から助けに入れるとちゃうん?」

「わたくし達に興味が移ったら、どうしますの?」

「え」

「パルプンテシア様の事ですから『抵抗するシチュエーション……燃えるっ』とか、なりかねませんわ」

「うっ、それは流石に……」


「たあああすうううけえええてえええ!」

『うふふ、叫び声が喜びの声に変わる瞬間が、堪らないのよ♪』


 ……はああ……やはりパルプンテシア様は……生粋の変態です……。

エリザやモリーまでっ。

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