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生まれ変わる撲殺魔っ

 ガスン!

「がは!」


 突然の後頭部への一撃……油断していましたわ。


「ぐぅっ」


 脳を揺さぶられ、意識が朦朧と……。


「あ、貴女達……な、何故……」


「何故って! その人は私の友人です!」


 ゆ、友人?


「貴女が今まで殺めてきた人の中に、どれだけ私達の知人友人が居たか分かりますか!?」


「ぐっ……な、なら、何故に言わなかったのですかっ」

「言える筈がありません! だって、貴女は殺人鬼だから!」


 殺……人鬼?


「いつか私達にまで刃が向けられるって、皆毎日恐怖してたんだから!」

「わ、わたくしが、貴女達に、手を上げる筈が、ありませんわ」

「そんなの、分かんないし!」


 そう言ってそれぞれに武器を手にしたメイド達が、わたくしに近付いてきます。


「……ああ……前言撤回しますわ…………今の貴女達になら……遠慮無く刃を振れますのに」


 ガヅン! ガスン! ガッ! ガッ! ガッ!



 パアアア……


 う……っ。


『リファリス・リフター伯爵夫人』


 だ、誰……?


『リファリス・リフター伯爵夫人』


 誰……ですの……?


『目覚めなさい。もう痛いところは無い筈です』


 痛いところは…………そ、そうですわ、わたくしは!


 ガバァ!


「あ…………こ、ここは?」


 周りは……薄いモヤに覆われていて……全体的に明るい雰囲気がします。


『目が覚めましたか、リファリス・リフター伯爵夫人』


「あ、貴女は……?」


 見るからに神々しい女性は、わたくしの前に屈み込むと、ニコリと笑い。


『初めまして。私、パルプンテシアと申します』


 パルプン……テシア?


「……聞いた事がありませんわね」

 ビシャアアアン!

「ひぅ!?」


 わたくしの一言で、何故か突然雷が轟きました。


『…………知らない……ですって?』


 な、何故か顔が黒く染まり、目だけが煌々と光って……。


『私を知らない? 私を知らなあい? わあたあしいををしぃぃるぁああぬぁああいいい?』


 怖いですわよ!


「も、申し訳ありませんが、全く欠片程も存じ上げませんわ」


『か、欠片程もって……そんな、そんなあああああ!』


 あら、今度は突っ伏して。


「おーいおいおいおい。びえええええっ! うえええええん!」


 泣き始めました。一体何なのでしょうか。


「あ、あの……?」

『この私が! 私自らが創造した世界なのに! その住人が私を知らないだなんて……おーいおいおいおいおいおい!』

「おいおいって、何の鳴き真似ですの?」

『泣いてんのよ!』


 あら、それは失礼。


「それより気になったのですが、創造した……と聞こえた気がしたのですが」

『聞こえて当然よ! 私が聞こえるように言ったんだから!』


 聞こえるようにって……なかなか面倒臭い方ですわね。


「つまり、貴女は自身が創造神だと仰りたいのですね?」

『だからそうだっつってんのよ!』

「……口の悪い創造神ですこと」

『悪かったわね!』


 しかし創造神ですか。


「わたくし達ハイエルフが一番古い種族ですが、パルプンテシアという名は伝わってませんわよ?」

『そ、そんな馬鹿な………で、では世界はどのようにできたと伝わってるのよ!?』

「……自然に、でしょうか」

『は、はへ?』


 そもそも世界がどのようにできあがったかなんて、誰も論じていませんわ。


『し、自然にできる筈ないでしょうがあああああ!』

「わ、わたくしに言われましても」

『ち、ちっくしょう…………だ、だったら、私が創造神だって今から訴えてやる!』


 訴えるって。


「誰にですの?」

『無論、この世界の住人に決まってるじゃない! 全員の夢枕に立って、納得するまで訴えてやるんだから!』


 それ、間違い無く、誰も信じませんわよ。



『おーいおいおいおい……だったら、どうすればいいのよおおおお……』


「……そうですわね……やはり地道に信者を増やす事ではないでしょうか?」


『地道に……信者を?』


「ええ。南大陸には多様な宗教がありますから、それを統一して貴女が唯一神として君臨すれば良いのでは?」

『宗教を統一って……簡単に言ってくれるわね』

「そんなに難しくはありませんよ。要はある程度大きい宗教を乗っ取って、それを主軸として勢力を拡大していけばいいのです」

『ある程度大きい宗教を……』

「最近発展が目覚ましいのは…………サルバドルを拠点に展開している聖心教でしょうか」


 この時のわたくしは、そこまで真剣に考えていた訳ではありませんでした。正直、他人事のアドバイスでした。

 が。


『確かに……それは良いですね!』

「ええ。ですから頑張って」

『でも乗っ取るとなると、それなりにカリスマ性のある人をトップに据えなくては』

「そうですわね……わたくしのお爺様くらいのカリスマ性が」

『あんたのお爺さん……ハイエルフの族長ね。よし、洗脳しよう』


 はい?


「ちょっと待って下さい。洗脳するって」

『安心して。急に私への信仰心に目覚めるだけで、根本的に変わりは無いから』

「いえ、お爺様が宗教に荷担するなんて有り得ない」

『聖心教の連中は…………何これ、欲にまみれて私服肥やすのばっかじゃない! 教祖からしてロクな奴じゃないわ』

「あの、聞いてます?」

『こいつらを洗脳したって、どうせまた悪事に走るだろうし…………よし、お爺さんに早速入信してもらって、速攻宗教改革よ』

「ですから、わたくしのお爺様を洗脳しないで下さい」

『ああ、とりあえず私を唯一神としなくちゃね。行くわよ~……「洗脳」』


 ほ、本当に洗脳しやがりましたわ……!


『ああ、言い出しっぺの貴女にも、当然協力してもらうから』


 はいい!?

聖心教躍進秘話がっ。

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