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またまた旅立つ撲殺魔っ

「さあ、エリザ、モリー」

「そやな、行こか」

「リフター伯爵領へ」


「って、ちょっと待ちいや」


「何ですか、エリザ」

「行こか言うたけど、馬の繋がれてない馬車で何したいんや!?」


 ああ、その事ですの。


「勿論手は打ってありますわ。もうそろそろ来る頃だと思いますが……」

「シスター、ちょっと」

「はい?」


 モリーに急に引っ張られ、馬車の陰に連れて行かれます。


「何ですの?」

「ちゃんと説明したのか? 俺もそうだったけど、アレに普通に遭ったら、魔物と間違えるぜ」


 ああ、確かにそうですわね。


「でしたら、わたくし達で連れて来れば良いですわ」

「その方がいいな。流石に俺達と一緒なら敵認定されないだろ」


 でしたらエリザには、少しの間待っていて頂いて……。



「……連れて来るってどないやねん」


 リファりんとモリりん、二人してウチを置いていってしもうた。


「ただでさえ日程遅れてるいうのに、まーた待ちぼうけかいな」


 どないしよ……今更教会に戻って暇つぶしに掃除やなんて訳にもいかへんし……。


「しゃーない、盾の手入れでもしてよ」


 魔道具でもあるタワーシールドは、ペンダントくらいに縮小できる。やから気軽に持ち運びできるんや。


「大きゅうなーれ」

 ブブゥン!


 ウチの言葉に反応して元に戻った盾三枚、最近よう使うたから汚れてたんや。ちょうどええ、磨いとこ。


 ゴシゴシゴシゴシ


「やっぱ持つ方が傷み激しいわぁ」


 両手に一つずつ、背中に一枚背負って戦うんが三盾流や。元々はリファリス様をお守りする為にウチが開発したんやけど、最近は三枚目まで取り出して使う事は無かった。やから背負い盾は綺麗なもんや。


「スパイクはどうやろ。モードチェンジ」

 ブブゥン!


 三枚ともスパイクシールドモードにチェンジできる。盾で殴るだけじゃなかなかダメージが通らん相手も、これならイチコロや。


「スパイクは異常無し。流石は一流の魔道具やで」


 手入れといっても磨いただけ。後は錆止めになる油を薄く塗って完成……。


 みゅうん?


 へ? みゅうん?


 みゅーん……。


「……ほへ?」


 く、熊さん?


 みゅん!


 みゅん!? 熊ってこんな可愛らしい鳴き声か!?


「って、それどこれやあらへん!」


 街ん中で熊出没って、よう考えたら超危険やないか!


「へやぁ!」

 バィン!

 みゅうん!?


 シールドバッシュで熊をぶっ飛ばし、距離を空ける。


「……つーか、なんちゅー可愛らしい熊や」


 見た目も人を襲う雰囲気は全くあらへん。託児所で子供らと戯れてる方が、よっぽど絵になりそうや。


「やけど野生の熊には違いあらへん。可哀想やけど駆除させてもらうで、はあああ!」


 両手盾を前に構えて、そのまま突撃!


「三盾流、猪突の舞!」


 要はタワーシールドの重さ利用して、敵に体当たりするだけなんやけどな。


 みゅーん!


 熊もやる気になったみたいで、鋭い爪をウチに向ける。


「だあああっ!」

 みゅうううん!

 ギャギィィン!


「ぐぬぅぅぅ……!」

 みゅううううん!

 ギャリリリ……


 さ、流石は熊や。馬鹿力もええとこやで……!


「ぐぅぅ……ぃやああ!」

 ギャリン!

 みゅん!?


 盾の丸みを活かして、熊の体勢を崩させる。今や!


「スパイクモードからのシールドバッシュ!」

 

 スパイクの分だけやや小型化した盾やけど、熊に致命傷与えるには充分や!


 みゅーん!

 バガギィ!

「な、何やて!?」


 体毛を逆立たせてスパイクを防いだ!?


「そんなハリネズミみたいな熊、聞いた事が…………いや、待てよ。そういやウチらの世界に居ったな、ニードルベアっちゅうんが」


 いくらこの世界にはモンスターが居らへん言うても、例外はいるもんや。


「突然変異とか言うたな……どっちにせよ、厄介な相手や」


 こんなん野放しにしてたら、リファりんの街が大変な事になってまう。当然、狩るべきやろな!


「おもろいわ。なら、ウチの本気見せたる……三盾流の本領発揮やぁ!」


 背負い盾を装着し、両手にタワーシールド。これこそが三盾流!


 みゅーん!


 熊もウチの本気を悟ったようで、口を開けて牙を剥き……。


 グガアアア!!


「えええ!? めっちゃ顔が狂暴化してきて……えええ!?」


 グガアアア!!


「いや、怖いって。めっちゃ怖いって」


 ガアアアアッ!


「ちょい待ちいや。怖いんやて。さっきまでの可愛らしい姿に戻ってえな」


 グガアアア!! ガアアアアッ!


「いやいやいや、待って待って来んといて。可愛くないのはノーサンキューや」


 ガアアアアッ!

 ブンブンブン!


「あかんあかんあかんあかん! これじゃ一方的やん!」



「……あら?」


 ガアアアアッ!

 ブンブンブン!

「助けてぇやあああ!」


 あれは……エリザとベアトリーチェ?


「ベアトリーチェ、何してますの?」


 グガアアア……ガ!?

 みゅーん!


「どこへ行ったのかと思って、探してましたのよ?」

 みゅんみゅん! みゅんみゅーん!

「うふふ、よしよしよし」


「な、何なんそれ!?」


「ああ、あれか? シスターのペットだ」

「ベアトリーチェという名前ですわ」


「そ、そこやなくて! 可愛かったり狂暴やったり、何なんや!?」

「ああ、ファンシーベアだからな」

「ふぁ、ふぁんしーべあって」


 うふふ、ベアトリーチェ、可愛いですわ。


「ファンシー化現象は永きに渡る謎なんだよ」

「……ファンタジーやな……」

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