新たに仲間は盾メイドっ
むっ! むむむむむ! な、何とぉ!
「あのキツネ娘以上のナイスバデー! 何故入れ替わったのかは分からんが、あのような可憐な美少女が現れようとは!」
最近は色々と忙しく……本当に忙しく、なかなか覗き見る事ができなんだが……。
「むっふっふ、今夜辺りが楽しみじゃわい。風呂の時間は要チェック」
「だ・ん・な・さ・ま~? ふーっ」
はあああああああああん! み、耳は駄目じゃあ!
「何をなさってるんですかあ? 私という可愛い新妻がありながら、また『千里眼』してたんですかあ?」
「ま、まあ、色々とあってのぅ」
「ぶーぅ、私を寂しがらせた罰です。今日は朝まで寝かせませんよ?」
「ま、待て待て待て! もう三日目じゃぞ!? 頼むから今夜は寝かせて」
「さあ、ハッスルハッスルですわ!」
も、もう無理! 無理じゃあああああ!
「どうぞ」
コトッ
「ありがとうございます」
「いえいえ、リファリス様の御為でしたら、このエリザ命懸けで」
待って下さい。
「わたくし、貴女に様付けされる覚えはありませんわよ?」
「申し訳ございません。リファリス様には誠心誠意お仕えする癖がございまして」
癖なんですの!?
「それより、お早くお飲み下さい。せっかくの紅茶が冷めてしまいますよ」
あ、はい。
「えーっと、エリザさんだっけ? ついでに私にもくれないかな」
「あ、俺も」
「冗談は大概にせいや。何でウチが入れなあかんねん」
「拒否られた!」
「しかも強烈な拒絶!」
「え? いや、拒絶したつもりは……お互い名乗ってもおらへんのに、馴れ馴れしいのはどんなんやって思うただけや」
「「それ、拒絶だから」」
「そ、そうか? ならウチから歩み寄るわ。エリザベス・リフターや」
「「それは聞いた」」
「なら、あんたらの番や。名乗りいな」
「え、ええ。私はリブラ。リファリスの一番弟子よ」
「モリーだ」
「リブラんにモリりんやな」
「リブラん!?」
「モリりん!?」
「あだ名で呼べば親しさ百倍やろ?」
「「…………」」
な、なかなか、個性的な方ですわね。
「エリザさん」
「呼び捨てでお願い致します、リファリス様」
「……えっと、エリザ」
「はい、リファリス様」
「その……わたくしにも、普通の話し方で結構ですわよ?」
「ですが……」
気のせいかもしれませんが、話し方が変わると目つきまで変わっているような……。
「取り敢えずリファリス様、お弟子様にお茶を入れて参ります」
「え? あ、はい」
「ほなリブラん、モリりん、入れたるわ」
「「……別人みたい……」」
「昔はそうやったな。やけど伯爵夫人業やっとるうちに、入れ替わりも自在になったわ」
「「はい?」」
よく意味が分かりませんが……わたくしだけ丁寧な扱いなのは、やはり気が引けますわね。
「あっつあつ入れたるさかい、ありがたく飲みぃや」
「「は、はい」」
何か……いい手は無いでしょうか……。
「ありがとう……っとと」
ポロッ
「うひゃああああ!?」
「あ、ごめんごめん。思わず首が外れたわ」
「あ、あんさん、デュラハーンかいな!? 頼むで、ホンマに」
「あはは、ごめんね」
「心臓に悪いわ……」
そ、そうですわ! 吃驚させれば、反動で普段の言葉遣いで返してくれますわ!
「一度そうなれば、後はなし崩し的に……」
これですわ!
「……ソロリ、ソロリと……」
背後から「わっ!」と。古典的ですが、効果抜群ですわ。
「ソロリソロリ……」
ケンッ
「きゃっ!?」
段差につまづいて……!
「わっわっわ、きゃあ!」
ボスッ
「ひあ!? な、何や!?」
ムギュッ
「あひゃあ!?」
や、柔らかい何かに掴まって……あら、何やら硬い突起が。
キュッキュッ
「はあああああああん!」
あ、あら?
「な、何すんねん、このチカンヘンタイゴーカンマアアアア!!」
ずべしぃ!
「はみゃ!?」
た、盾が目の前に迫ってきて…………あ、意識が……。
「リファリス! リファリス!」
う、ううん……。
「なかなか目が覚めないな」
「つい力が入ってもうた……大丈夫やろか」
「気絶してるだけよ……だったら同じ手で」
お、同じ手?
キュッキュッ
「はああああああああああん!」
「あ、気ぃ付いたな」
「な、何をなさるんですの!?」
「堪忍してや……やったんはリブラんやで」
でしょうね。絶妙な力加減でしたもの。
「それより、エリザ。口調が」
「ああ、何かよう分からへんけど、普通に喋れるわ」
「よう分からへんって……」
「リファリス様はウチの絶対的はご主人様やさかい、違いが分かれば態度も変わるで」
そ、そういうものなのですか。
「それよりや。ウチ、元の世界に戻れるんやろか?」
そ、それは……。
「ズバリ、分からへんのやな」
「そ、その通りですわ。リジーも実際、半分くらい諦めていたくらいですもの」
「そっか……ならしゃーないな」
しゃーないって……随分と軽いですわね。
「リファりん、ウチもリジーみたくお世話になってええかいな?」
「リファりん!?」
「駄目か?」
「だ、駄目ではありませんわよ?」
「よっしゃ! なら頼むで。元メイドやさかい、家事は得意や。役に立つでえ」
は、はあ。
「ならよろしゅう頼むで、リファりん」
キュッキュッ
「はああああああああああん!」
「ありゃ、ホンマにこれ弱点なんやなぁ……力加減はこんなもんか?」
キュッキュッ
「はあん! はあああああああん!」
「いやはや、ホンマに敏感やな……楽しみやわ、これ」
た、楽しみにしないで下さいまし!
エリザ加入。何者かはビキ殺参照。




