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罠を解除する撲殺魔っ

「では行きましょう」


「頑張って下さい、団長!」

「く……代わりに俺が行きたかったです」

「同じ気持ちですが……古傷が……」

「お、俺も以前に受けた矢傷が……」「体調が思わしくなく……」「頭が……」「膝が……」


 ズドドズゥゥゥゥン!


「黙りなさい」

「「「サーセン!」」」


「リファリス、自由騎士団(フリーダン)って皆の憧れなんだよ? それがこれでいいの?」


 わたくしに言われましても……。


「それより行こうぜ。相手にしてたら、いつまで経っても進めねえぞ」

「酸性……では無く賛成と思われ」


 そうですわね。地獄門を探索した後でも、この方々に鉄槌を下す事はできますものね。



「リジー、来た事がある、と言うのは間違いありませんか?」

「間違い無い無いある訳無い」


 ……?


「つ、つまり?」

「間違い無く来た事ある」


 あ、あるんですのね。


「確か『始まりの洞窟』とか言ってたわよね? つまり、かなり初歩的な?」

「うい。冒険者になった時に、習練用に最初に放り込まれるダンジョン」


 ダンジョン……ですか。


「そのようなものが存在するなんて、いまだに信じられません」

「初級のダンジョンの事?」

「いえ、ダンジョンです」

「あー……」


 まさか、勝手に地下深くに洞窟を広げ、魔物を住まわせて、冒険者を待ち構える生物(・・)が存在するなんて。


「私の居た世界には普通にあったから、ダンジョンが無いこの世界が不自然に感じた」


 リジーからしてみれば、そうなるのでしょうね。


「止まれ」


 先頭を歩いているモリーが、地面を凝視しながら立ち止まります。


「どうかしまして?」


「……罠だ。解除するから待ってろ」


 罠……本当にあるのですね。


「誰が仕掛けたのよ、こんなとこに罠だなんて」

「無論、ダンジョン自身」

「ダンジョンが?」

「ダンジョンにとって、侵入者は栄養源だから」


 栄養源って…………まさか!?


「侵入者を殺して餌にするんですの!?」

「後は殺されたモンスターなんかも、死体ごと壁に吸収される」


 わ、わたくし達も餌なんですのね。


「そんな危険なとこ、侵入する必要無いでしょ!」

「そうですわね。入口を閉鎖して、放置しておくのが一番ですわ」


「そういう訳にもいかない。ダンジョンはある程度成長すると、増えすぎたモンスターを外に出すようになる」


「え……それってつまり、放置したら無限に魔物……モンスターを吐き出し続けるって事?」

「そう。だからダンジョンは小さいうちに潰さないと、私が居た世界みたいになる」

「……つまり?」

「日常的に、モンスターが現れるようになる」


 日常的にって……魔物が地上を闊歩するんですの!?


「防壁がある町はともかく、柵くらいしか無い村は一溜まりもありませんわ!」

「村単位で恒久的な結界は必須になる」


 成る程……何故リジーの世界のダンジョンがここに現れたのかは不明ですが、放置しておけば確かに「世の終わり」ですわね!


「ダンジョンコア、とかいうものを破壊すれば良いのでしたね?」

「うい。それでダンジョンは成長しなくなる」


 分かりましたわ。ではサクサクと先に進みましょう!


 ザッ

「シスター!? まだ解除できてな」

 ガコンッ

 ザグンザグンザク!


 っ……地面から飛び出した棘が、わたくしを貫いて……。


「リファリスゥゥ!」

「大丈夫ですわ……はぁ!」

 バギィィン!


 杖で棘を全て叩き折り。


「『癒せ』」

 パアアア……


 傷を全て塞ぎます。


「ふぅ……モリー、これで解除された事になりますか?」

「え? あ、うん。一回発動したから、もう解除されたようなもんだな」

「でしたら、わたくしが先頭になり、身を以て解除しましょう」

「ダ、ダンジョンの罠相手にゾンビアタック?」


 手っ取り早いでしょう?


「普通は魔力を節約し、慎重に慎重に進むんだけど」

「慎重にって、どれくらい?」

「場合によっては一度戻るくらい」

「一度戻るって、外にか!?」

「回復アイテムや食料が少なくなったら、無理に進むのは危険」


 それはそうですわね。


「ですが、放置はもっと危険なのでしょう?」

「まあ……モンスター対策がされてないこの世界では、危険だと思われ」

「でしたらサクサク行きますわよ、サクサク」



 スタスタスタスタ

 カチッ

 ブゥン ドギャ!

「ぐふ……『癒せ』」

 パアアア……

 スタスタスタスタ

 カチッ

 パカッ ヒュウウウ……ビタァン!

「うぐ……『癒せ』」

 パアアア……

 スタスタスタスタ

 カチッ

 ビシュビシュ ドスドスドスドス!

「ぐぅぅ……『癒せ』」

 パアアア……


「リファリス、止めて! 見てて痛々しい!」

「俺達は確かに無傷だけど、何かゴリゴリ削られるんだよ!」


 そうですか?


「削られるのはわたくしの法衣だけですが」

「「外面じゃなくて内面!」」


「リファリス、罠はもう次で最後だから」


「分かりましたわ……………………え?」

「ん?」

「次で最後、とは?」

「言葉通りと思われ」

「ではなく、何故に最後だと知ってるんですの?」

「え? 最初に言った筈、来た事があるって」


 …………はい?


「つまり、このダンジョンは知っているのね?」

「だから、そう言った」

「当然、罠の位置も把握してるのね?」

「当然」

「それを早く言いなさいよ!」

「だから、最初に言ったと思われ!」

「じゃなくて、罠があるならあるって言いなさいっての!」

「言おうと思ったけど躊躇われて口を噤んだけど、やっぱり勇気を出して宣言するべきと思ったら、急にダンジョンの小石が跳ねて頭に当たったから止めうぐぎょべ!?」


 もう結構ですわ!

リジー、それは言うべき。

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