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聖なる四姉妹と撲殺魔っ

 ズギャアアン!

 ビクゥ!

「にゃに!?」

 ズギャアアン! ズギャアアン!

 ミシミシ……パラパラ……

「て、敵?」

 ズギャアアン! ズギャアアン!

 バッカアアン!

「と、扉が……!」


 コツ コツ コツ コツッ


「……ゴクリ」


 コツリッ

 

「……話がありますわ、ルディ」

「リファっちかよ!」

「……どうかしまして?」

「どうかしまして、じゃないよ! 何で扉をぶち破ったのさ!?」


 ああ、それは……。


「ただ単に不機嫌だっただけですわ」

「不機嫌なだけで扉をぶち破らないでくれる!?」

「? 不機嫌じゃなければ、扉をぶち破る理由はありませんわよ」

「扉をぶち破る事自体がいけない事なんだよ! 大体どんなシチュエーションだったら、そういう状態になるのさ!?」

「……立て籠もり事件の突入時」

「うっ!」

「古くなった家のリフォーム・または解体時」

「た、確かに…………じゃなくて!」


 ですから、何が言いたいんですの?


「一体何の用なのさっ!」


 ああ、それでしたわ。


「千年祭からハブられた者同士、仲良くしようと思いまして」

「……………………へ?」



「……そう、リファっちが……」

「理由に関しましては、わたくしサッパリですの」

「いや、サッパリわかんないよ、にゃは……ルドルフは何を考えてるの?」


 それをわたくしに聞かれましても。


「ちょっと待って、直接聞いてみる」


 そう言って一旦わたくしから離れました。


「…………あれ、おかしいな。出ない」

「出ない、とは?」

「にゃは、本体とドッペルゲンガー同士は、念で会話ができるんだ」


 念話……というものですか。


「だけど、呼び出しても全く出ないって言うか……」

「無視されてますのね?」

「平たく言えば、そうなるかな」


 ふむ……。


「出したらルディ、わたくしの念を貴女を介して送れます?」

「え? できなくはないけど」


 では……ルディのおでこに、わたくしのそれをくっつけて。


「いきますわよ…………!!!!」

「っ!? 念が強すぎ……!」


 ブウウウウンッ

『クソジジィ!!!!』

 バシィ! ビリビリビリッ


「……伝わりましたか?」

「ル、ルドルフ、頭抱えてひっくり返ったよ!?」


 ざまあ見ろ、ですわ。



 今後の事をルディと話し合います。


「ようやく半分、と言ったところですわね?」


「そうなるかな……リファっちは出た事あるんでしょ?」


「前回です。わたくしは祈りの巫女の中心でした」


「祈りの巫女の!? 流石は聖女だね、にゃは~」


「そのわたくしをハブってまで中に入れなかった、と言う事は……?」


「単純に考えると、外の対処をリファっちに頼みたい、って感じ?」


 外の対処と言われましても。


「それは騎士団や警備隊の役割でしょう?」

「だねぇ。自由騎士団(フリーダン)を中心に編成されてる筈……………………あ」

「何ですの?」

「それだ」


 はい?


「リファっち、よくよく考えてみれば、フリーダン団長でしょう」


 ………………あ。


「そう言えばそうでしたわね……但し、ほぼ名ばかりですが」

「名前だけだろうが何だろうが、団長がこういう時に陣頭指揮をしなくてどうすんのさ」


 わ、わたくしが陣頭指揮!?


 コンコン


「ん? 誰だろ」


 わたくしが陣頭指揮? わたくしが陣頭指揮? わたくしが陣頭指揮ぃ??


「リファっち、リファっちったら!」

「え、あ、はい!」

「リファっちにお客様だよ」


 わ、わたくしに?


「お久し振りです、聖女様……いや、団長とお呼びすべきですね」


「あ、貴方は……副団長様!?」


 ずっと団長代理を務めていて下さった、フリーダン副団長様です。


「あ、あの、何か?」


「千年祭にて、我等フリーダンが中核を担う事になりました。それはご存知ですね?」


「あ、はい」


 先程知りました。


「で、このような誉れと呼べる出陣ですから、正式な団長が陣頭に立つべきと考え、こうして参上した次第です」


 や、やはり、そういう事ですのね。


「ち、ちなみに、この事を大司教猊下に?」

「はい、奏上しました」


 それですわあああああああああ!


「で、結果は」

「許可を頂きました」


 そうならそうと言ってほしかったですわああああああ!


「で、なのですが」


 まだありますの!?


「聖女様は個の武には優れていらっしゃいますが、軍を率いた経験は皆無ですので……と申し上げました」


 その通りですわ! ですからわたくしには無理ですわ!


「すると大司教猊下は、聖女様に三人の副官をつける、と」


 へ? 三人の、副官?


「貴女様のお弟子さんを副官とし」


 そうなりますのね!


「四人を〝聖なる四姉妹〟(フォーリーズ)と呼称する、と」


「…………は?」


「以上です。待機しておりますので、早々にご準備をお願いします」

 ギィ バタン


「フォー……リーズ?」

「にゃは!? ルドルフ、それを正式呼称にしちゃったの!?」


 ……ルディ……。


「貴女が噛んでますわね?」

「あー、うん。別に深い意味は無いんだけど」

「では、説明して頂けますわね?」

「いいけど……怒らないでね」


 怒るような事ですの?


「フォーリーは、聖なる(ホーリー)とかけて」


 それは分かります。


「で、四人だからフォー」


 はいはい。


「で、リー」

「……はい?」

「四人とも名前に『リ』が入ってるでしょ?」


 ええ、まあ。リファリス、リブラ、リジー、モリー。


「だから四人のリー」


 それでフォーリーズ!?


「何の意味がある呼称ですの!?」

「……特には」

「…………」


 怒る気にもなりませんわ。

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