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次期団長の撲殺魔っ

「あはははははははははは!」

 ゴキャ! ボゴッ! グシャア!

「あらあ? また死んでしまいましたか……『最低限修復・汚らしき魂、戻れ』」

 ゴギギッ メリメリメリッ

「…………くはあ! も、もう止めてくれええええっ!!」

「まあだまだですわよ♪ あそーれ、天誅」

 ボガッ!

「ぎゃああ!」



 ……まだ殺っておるのう。これで二桁の後半に差し掛かっておるか。

 今回は相当シスターも頭に来ておるようじゃな。まあ、あの男には同情する余地は無いからの、当然と言えば当然の末路じゃが……。



「滅殺! 抹殺! 撲殺!!」

 グシャア!

 ブシュウウ……ビチャ

「あはははははは! 元自由騎士団長の赤い噴水ですわ! 汚らしくて汚らしくて、可笑しいったらありゃしない! あは、あはは、あはははははははは!」



 ふ、噴水……ワシ、しばらく公園行くの止めようかの。

 む? 何か聞きたい事があるのじゃな……何々、これだとシスターが紅月なのがバレバレなのではないか?

 そこは心配無用じゃ。そこに居らぬ狐娘が一生懸命頑張っておるからのぅ。



「リファリスー、まだー?」

「もう一回だけですわ」

「そろそろ幻で誤魔化すのも限界だと思われ」

「大丈夫ですわ、防音結界は完璧でしてよ」

「じゃなくてー……仕方無い、リファリスとクズ男の戦い(美化)をリピートするしか」



 シスターが追い詰められて、止めを刺されそうになった時、奇跡の光が降り注いで大逆転劇が始まる……と言う内容じゃな。この幻をリピートしたら、不自然さが半端無いような……。



「『穢れし魂よ、戻れ』」

 メリメリメリメキメキ

「が、は、あが、がああああああっ!」


 わざと痛みを伴わせながら生き返らせます。


「も、もう嫌だああ! 頼むから、一思いに殺してくれえええ!」


「あらあ、まだ死にたいんですのぉ? ならば」


 杖を振り上げたわたくしに対して、フリード様は文字通り泣き叫びました。


「違う、殺さないでえええ!」


「もう、どっちですの?」


「だ、だから、殺しても生き返らせないでくれ! も、もう耐えられないい!」


「あらあら、まだ三桁にも達していないのに情けないですわね。あはははは!」


「も、もう許してぇぇ……」


「まあいいですわ。貴方の顔も見飽きましたし……後は正規の裁判で裁かれなさいな。どちらにしても、貴方の今後は死んだ方がマシなくらい、惨めなものになりますわねぇぇ」


「ううぅ……」


 最早反論する気力も無いようですわ。


「ならば……聖女の戒『茨』解除」

 バラバラ ブチブチ

 バタンッ


 フリード様を縛り付けていた呪が消え、そのまま倒れ込まれました。


「リジー、もう宜しくてよ」

「わかった、解除する」


 リジーが幻を解除するのと同時に、防音結界も解除します。


「さあ、再びわたくしの演技力が光りますわよ」



 ……この後、シスターの絶妙な演技により、この男は奇跡の光によって大人しくなった、という事になったそうじゃ。様々な罪を背負っておったからの、爵位や地位は全て剥奪され、南の大陸から遥か東の孤島へ終生遠島となった。

 さて、これで今回の一件は無事に解決したのじゃが……それで済まなかったのじゃよ。



「リブラ、リジー、お茶が入りましたわよ」

「ありがとう」

「サンキュー」


 産休? 相変わらず妙な事を口走りますわね。


「さて、と……じゃあリファリス、聞かせてもらいましょうか」


「何をですの?」


「武術の究極の一、『無痛剣奏』よ」


 あら、リブラは知っていたのですね。


「よくご存知で」


「私だって剣の腕前は国内で五本の指に入る、と称されていたのよ。武術の究極なんて知っていて当然だわ」


 まあ、武家の元当主ですしね。


「何それ?」


「あら、リジーは知らないんだ。情報通だから、知ってるとばかり思ってたけど」


 異世界人ですから、知らないのも無理ありませんわ。


「なら教えてあげるわ。さっきも言った通り『無痛剣奏』は武術の究極の一であり、目指すべき極地よ」


「名前から察するに、痛みを感じないって事?」


「まあ……近いっちゃー近いかな。痛みを感じないって言うより、痛みを克服するって言うべきね」


「い、痛みを克服!?」


 白湯を飲みながら、わたくしは苦笑いしました。


「わたくしも長く生きていますから、様々な経験をしたのです。その内の一つの経験がきっかけで、わたくしは意識すれば痛みを感じなくなる術を身に付けたのですわ」


「……痛みを感じない武術家……正に理想の一つ」


 痛みを感じなければ、どんな攻撃を受けようが怯みませんし、力を加減するリミッターも外れますから、限界を越えた怪力も奮えます。


「でも、そんな状態を続けたら、身体自体が耐えられなくなっちゃうんじゃ?」


「『無痛剣奏』をしながら回復魔術も使ってますから、何ら問題ございませんわ」


「うわー……身体が限界超えて壊れても、また再生するんだ……うわー、無敵じゃん」


「だねえ。無敵で最強なんだから、騎士団長にはうってつけじゃない?」


 止めて下さい、わたくしはまだ受諾してませんわ。



「聖女様あああっ!」



「あ、噂をすれば」

「また来たね」


 また副団長様ですの!?


「わ、わたくしは何も聞こえませんわ!」


 副団長様と騎士の皆様のお声が、今日も教会周辺に響きます。



「聖女様あああっ! どうか、どうか、我等自由騎士団を率いて下さい!」

「どうか、新たな団長に就任して下さい!」

「自由騎士団自治領をお導き下さい!」

「「「聖女様あああっ!」」」



 わたくし、何も聞こえませんわ!



 ま、この調子では、シスターが自由騎士団長兼自治領主に就任するのは、時間の問題じゃな。

高評価・ブクマを頂ければ、閑話をはさんで新章です。

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