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子供達にも撲殺魔っ

「おら、待てよコラァ!」

「逃げんじゃねえよ!」


 ハア、ハア、ハア、ハア。


「ちぃ、また隠れやがった!」

「逃げ足ばっか早いんだから!」

「手分けして探そうぜ」


 ハア、ハア、ハア、ハア。


 ザッザッザッザッ……


 ハア、ハア…………い、行ったみたいだ。


「……ウグ、グス……」


 何で……何でボクばかり苛められなくちゃならないんだ……。


「グス、ヒック」


 ボクが何をしたって言うんだ……。


「ヒック、ヒック」

「あ、居たぜ」


 ビクゥ!


「こーんなとこに隠れてやがったのか」


 い、一番身体が大きくて、一番酷い事をしてくる奴に……!


「逃げた罰だ。たっぷり……お仕置きしてやんなきゃなあ!」


 ひ、ひぃぃ!



「お、居たのか」

「おーう、遅かったな」


 あ、あが……。


「お、お前、何をしてんだよ!?」

「何をって、もう逃げられないように、手足を砕いただけじゃねえか」


 ぐふ……げぶぅ。


「く、口から血を吐いて……お、おい、誰か大人呼んできてくれ!」

「な、何だ、何が…………ひ、ひぃぃ!」

「し、死んでる!?」

「だから、早く呼んで来いって!」

「おいおい、せっかく逃げられなくしてやったのに。これからまたボコるんだろ?」

「お、お前……!」


「呼んで来たよおお!」

「何があったんですの?」

「と、友達が……し、死にそうなんだ!」



 呼ばれて来てみれば、これは吃驚ですわね。


「誰がこのような真似を?」

「俺だよ」


 わたくしの問いに応えて前に出たのは、周りのお子さん達よりも一際大きい少年でした。


「こいつが逃げてばっかいるからさ、手足ぶち折ってやったんだ」


 確かに……手足は完全に砕かれてますわね。


「そしたら痛い痛いってピーピー五月蝿かったから、ちょっと痛めつけてやったんだ」

 

 ……ちょっと……ですって……?


「もう……息をしておられませんわよ」


「え……息してないって……」

「まさか……死んだ!?」

「ヤ、ヤバいよな、それ!?」


「ヤバいとか言うレベルではありませんわ。貴方達全員、警備隊に出頭しなさい」


「ええええっ!?」

「出頭って……捕まっちゃうの?」

「捕まっちゃったら……ママに叱られるじゃないかああ!」

「嫌だ嫌だ、うわあああああん!」


「あー、だったらさあ、このシスターも殺すか?」


「「「……え?」」」


 ……この子は……。


「……少しタガが外れかかってますわね……このままでは、殺人鬼へまっしぐら、ですか……」


 仕方ありません、子供相手にこういう事はしたくなかったのですが……この子の将来の為ですね。



 パアアア……


「……う……」


 真っ暗闇に落ちた筈なのに、明るい光に引っ張られて……。


「……気が付きましたか?」


 え? あ、あれ?


「ボク、一体何を……」

「シスター、もう大丈夫なのですか、彼は?」


 え、この声は…………うわあああああ!?


「はい、もう大丈夫ですわよ」

「良かった……俺、とんでもない過ちを犯してしまったけど、彼が生きて帰って来てくれて、少し救われた気がします」


 ……え?


「貴方達、まだ贖罪の道は始まったばかりですわよ」

「分かっています。シスターに散々諭された事ですから」

「俺達の愚行で、周りにどれだけ迷惑をかけていたか、よく分かりましたから」

「これからは奉仕に邁進し、今までの過ちを償っていきたいと思います」


 へ…………ええ??


「ではわたくしは行きます。後はよろしくお願いします」

「「「はい! ありがとうございました、シスター!」」」


 え……ま、待ってよぉ。ボクを置いていかないでぇ。ま、また、こいつらにぃぃ……。


「あ、あのさ」


 ビクゥ!


「も、申し訳ありませんでした!」

「「「申し訳ありませんでした!」」」


 ………へ?


「俺、もうちょっとで殺人鬼に堕ちちまうとこだった。本当にごめんな」


 は、はい?


「俺、聖女教に入信して、真っ当な人間になる。で、いつかシスターみたいな方になりたい!」


 はへ??


「よーし、早速教会へ行こうぜ!」

「明日から奉仕作業だー!」

「「「おー!」」」


 え? ええ? えええええええ??



「お待たせしましたわ」


「どこへ行ってたのよ?」


「少し怪我をしたお子さんの治療ですわ」


「少し? その割には法衣に血がベットリだぜ?」


「あら、少し返り血が飛んだのですね」


「…………返り血?」


「何でもありませんわ……それよりリブラ、新たに六人程信者を獲得しましたわ」


「新たに六人も?」


「ええ、全員素直なお子さんでしたわ」



「…………な、何をしとるんじゃ、シスターは」


 あの子供、確かに危ない道へと行きそうな状態じゃったが……。


「よくもまあ、あのような手荒な方法で更正したもんじゃ」

「旦那様~、私というものがありながら、また聖女様をご覧になってたのですか~?」

「これもワシの重要な仕事なんじゃ」

「ふ~ん…………だけど旦那様ぁ、私と二人っきりなんですよ、今は」

「そうじゃな……わぷっ!?」

「でしたら、する事は一つだけですわ!」

「ま、待つのじゃ! 昨日も朝方まで」

「うっふっふ、今夜も寝かせませんわよ♪」

「だ、誰か助けてくれぇ! シスター! 聖女様ああああああああああ!」



「……あら?」

「リファリス?」


 いえ、何故か獅子が綺麗な女性に足蹴にされているのが見えたのですが……気のせいですわね。

シスターと元メイドが何をしたかは、ご想像にお任せします。

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