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やっと本題の撲殺魔っ

 やれやれ、説教も何とか終わりました。


「お疲れ様、リファリス」

「お疲れ様でござーる」

「おつ。で、シスター。終わったばっかで申し訳無いが、来客だぜ」


来客ですか? どなた様でしょうか。


「聖女殿、大変胸に響く説教でしたぞ」


 げっ……で、では無く、えっと……。


「こ、これはこれは市長陛下、ご無沙汰しております」

「ええ、随分どご無沙汰でしたな。私が予約していた宿屋に居なかった時は、誰かに拉致されたのではないかと心配しましたぞ」

「え、えっと、住民の皆様と交流の場を設けたくて、はい」

「それは結構。市民も喜んでいた事でしょうな、はっはっは」


 め、目が笑ってませんわ……。



 本来の目的である初代市長の復活について、詳しくお伺いします。


「まずはシスター、着替えて来てください」


 ……あ。まだ水着のままでしたわ。


「貴女達も……あ」

「もう着替えてるわ」

「当たり前川のクラッシャー」

「流石に街中歩くなら、着替えるさ」


 わ、わたくし、街中を水着のまま……!


「し、市長陛下も早く教えて下さいな!」

「いやあ、良い眺めでしたので」


 市長陛下の方が上背がありますから、バッチリと胸の谷間が……!


「痴漢退散天誅!」

 バゴッ!

「ぐふぁ……せ、聖女殿!?」

「変態撲滅天罰!」

 ベギィ!

「ぐああ!!」

「強姦魔は滅殺! 抹殺! 撲殺!」

 バガッグチャゴシャアン!


「「「あ……」」」


 え……あ、あああ!?


「市長陛下!?」

 ピクピク……


「うん、間違い無く絶命してるわね」

「脳みそ出して生きてたらゾンビ並み」

「まあ、頭が砕け散ってる時点でねえ……」


 し、しまっ、やってしまいましたわ!


「『た、魂よ、急いで肉体に戻れ』」

 パアアア……


「……………」


 ……あら?


「肉体は戻ったのに、生き返らないわね」

「あれ、リファリスが失敗?」

「まあ、猿も木から落ちるって言うしな」


 そ、そんな、まさか!?


「『魂よ戻れ』」

 パアアア……

「『お願い、戻って』」

 パアアア……

「な、何故ですの!? 『魂よ、本来の肉体に』」

 パアアア……


「エフェクトはちゃんとあるのに、生き返らないわね」

「ここまでだと、何かが邪魔してる可能性が高い」

「何かが邪魔、か。場所が場所だから……初代市長が関連してる、とか?」


 い、言われてみれば、建物の奥から魔力の流れを感じます。


「初代市長陛下、貴方が妨害なさってるんですの?」


 ギィィッ


 わたくしの問い掛けに応えるように、扉が開け放たれました。


『如何にも。聖女殿に頼みたき議があって参上した』

『離せ! 離してくれ! あれは私の肉体だ!』


 あ、現市長陛下の霊が初代市長陛下の霊に捕まってます。


「成る程、何度復活魔術を使っても、それでは生き返りようがありませんわ」


 ホッとしました。わたくしのミスでは無かったようです。


『こら、クソ聖女! 早く私を生き返らせろ! 急に撲殺してきた件は、絶対に許さないからな!』

「故意に女性の胸をガン見するような輩、あと百回は撲殺されるべきです」


 弟子が三人とも大きく頷きます。わたくしには心強い味方が居るようです。


『大司教猊下に抗議して、お前達全員処罰してやるからな!』


「リ、リファリス、やりすぎだよ」

「ちょーっとオーバーだったかも」

「過剰防衛だぜ」


 あ、貴女達は……!


『何を言うか、新米が』

 ガシィ

『ひう!? しょ、初代様!?』

『お前の行いはずっと見させてもらっていた。殆ど私利私欲の為にしか行動してないではないか』

『し、私利私欲で動いて何が悪い!? 市長とは私腹を肥やす為にあるのだろうが!』


「……どうしようもありませんわね……」


 霊体の時は、普段考えている事が面に出やすいのですが……それにしても、これは酷いですわ。


「ゲスだな」

「クズと思われ」

「腐れ外道」


『貴様らああ! 絶対に許さんからな! 我が権力で二度と世に出れないようにして』

『黙れ』

 ギュッ

『うごおおおおお!?』


 初代様に締め上げられて、現市長陛下が何も喋れなくなりました。と言うより、もう喋って頂かなくて結構です。


『このまま霊体を消滅させてやっても良いが……』

「霊体が消滅しますと、完全に生き返れなくなりますが?」

『そ、それは駄目ぐぇぇぇぇぇぇぇ!』


 こんな市長陛下でも、死んでしまうのは不味いでしょうし。


「初代様、動けない程度になさって頂きます?」

『ほう、このような者にまで慈悲をかけるか……流石は今代の聖女だな』

 シュルルッ

『うぐ、はあ、はあ、はあ……』


 さて、ここからが本題ですわね。


「遅くなりましたが、初めまして。わたくしはシスターリファリスでございます」

『うむ。我は初代市長であるマーリン・マリーナである』

「建国の父と謳われるマーリン様が、何故生き返りをご希望なのですか?」


 それを聞いた途端、再び現市長陛下を強く締め上げられました。


『ぐ、あ、あ……』

『二代三代までは許せた。だが、それより後はこのクズのような輩ばかりが市長になり、私腹を肥やす有り様。このような状況、見過ごす事はできぬ』


 成る程。再び市長に返り咲き、市政を立て直したいという事ですか。


『そこで適当な理由を付けて、聖女殿をこのクズに呼んでもらったのだ』


「分かりました。ですが、マーリン様の肉体は既に」


『うむ、土に還っておろうな。だから』

『うぐぅぅ!』

『この愚か者の肉体に、我を入れてもらいたいのだ』


 ……はい?

クズ市長さん、なにげに可哀想。

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