首だけ令嬢の閑話
はいはい、リブラでございまーす。今回は謎に包まれた聖女様・リファリスの秘密に迫ってみたいと思いまーす。
まずはリファリスの部屋に。
「ふぁぁ……おはようございます、リブラ」
「おはよう、リファリス」
リファリス、寝る時は白い無地のワンピースを着ている。だけど基本的に寝室内でしか着ない為、意外とレア。
「……何をジロジロ見てますの?」
何でもありません。しっかりと身体のラインも透けるので、ガン見してただけ。
「それより朝の奉仕ですわ。行きますわよ」
「あ、ちょっと先に行ってて。探し物があるから」
「……? そうですか、分かりました。では先に行っています」
キイ……パタン
さあ。さあさあさあ。
起こしに来た振りをして、見事にリファリスの私室に入る事に成功致しました。
「んっふっふ、まずはリファリスが寝るベッドから♪」
……うん、普通のベッド。飾り気のまるで無い、鉄パイプで組まれたガッシリしたベッド。
「そう言えば、リファリスと【いやんばかん】した時も、ミシミシギシギシいわなかったわね」
リファリスらしい、実用的なベッドです。
「室内は……聖心教のモチーフが壁に飾られてるくらいなもんで、本当に何にも無いわねぇ」
ベッド、クローゼット、簡素なタンス、小さな本棚があるくらい。
「次に探索すべきは………クローゼットよね♪」
ギィッ
…………マジか。
「右から左まで、同じ作りの法衣がズラーリ……」
毎回破れたりしてるのにすぐ新しいのが出てくるなぁ……と思ってたけど、ストックがあった訳か。
「あとは……あ、いつぞやのビキニアーマー」
ちゃんと手入れがされてる。また着るつもりらしい。
「後は…………あれ、モーニングスターもあるじゃない」
しかも複数。聖女の杖と違って『不壊』がかかってる訳じゃないから、予備だろうな。
「他には…………う~ん、私服もシンプルなワンピースしか無いなぁ」
一度ドレスでも着せてみたいもんだわ。
「はあ、面白みが全く無いクローゼットより……タンスよねタンス♪」
タンスには、必然的に……♪
ガラッ
「おぅふ。やっぱり下着だわ」
色は白やグレーがメイン…………と言うより、それしか無い。
「デザインもシンプルなのばかり……本当に面白みが無い」
レースなんて高級品は流石に無いけど、もうちょっと大胆に、こう……。
「……ん、待てよ。無いんだったら……」
二枚程下着をサンプルとして頂戴し、早速ラブリのとこへ。
「ラーブリ♪」
「はふぇ!? お、おおおお姉様!?」
何かを必死に隠してるけど、そこは追及しない。それが双子のルールなのだ。
「ちょっと頼みたい事があるんだけどさ」
「お姉様の頼みでしたら、大司教暗殺でも請け負います」
止めなさい! 例えが物騒すぎるのよ!
「で、何をです?」
拝借してきたリファリスの下着を出し、ラブリに渡す。
「……シンプル。しかも安物ですね」
「そのサイズの下着を頼んでほしいの。高級でしかもカラーバリエーション豊富に」
「……聖女様の、ですか?」
「勿の論。お金は出世払いで」
「お姉様からお金は頂けませんわ。それより……」
ラブリの視線が私の胸に注がれる。
「……大きくなりましたわね」
「あ、分かる? まあ、使う機会が多いし」
「使う……機会?」
「リファリスも最近大胆だからー」
「んなっ……お、お姉様、ついに聖女様を陥落させましたの!?」
「まあねー。週に一回は足腰立たなくさせてるよ」
代わりに次の日は、頭を砕かれるけどね。
「ふぅ~ん……お姉様って聖女様みたいな方が好みだったんだ」
「あらあ、ラブリもちゃんと好きよ」
「えっ」
爆発するんじゃないかってくらい、顔が赤くなる。我が妹ながら、可愛いのよねぇ。
「で、でしたら私に万事お任せ下さい! 最高級の品質で、色々なデザインのものを教会から溢れるくらいにっ」
「数は程々でいいから!」
暴走するのが玉に瑕なのよね……。
「あふぁ……」
う~ん、よく寝ましたわ……最近忙しくて、リブラに起こしてもらうような体たらくでした。
「……少し汗っぽいですわね……軽く流してきましょう」
寝間着を脱いで法衣を羽織り、沐浴の為に替えの下着を…………………………はい?
「な、な、何ですか、これはあああああ!?」
「……あれ? 何か叫び声が聞こえたような」
リファリス、気付いたわね。
バァン!
ダダダダダダダダ!
「リィィブゥゥラァァァ!」
「はいはい、どうかしたの?」
「貴女ですわね!? わたくしの下着を全て取り替えたのは!?」
「だって、古くてボロボロのやつばっかじゃない」
「だ、だからって、あんな派手な……!」
「赤や黒くらい普通だって」
「ち、違います! ああいう派手なものですと…………白い法衣では透けてしまうのです!」
ああ、そういう事か。
「だったら大丈夫。あれは透け防止の魔道具でもあるから、心配要らないわ」
「え……そ、そうなんですの?」
「そう。だから説教の時に赤とか黒とかで攻めても問題無い」
ホッとした様子のリファリス。だけどあの下着、実は……。
「……魔道具発動、『摘まめ』」
きゅっ
「はああああああん!」
「『連続で摘まめ』」
きゅっきゅっ
「はん! はあああああああん!」
私の魔力にだけ反応して収縮する、特注品なのよね。
「リ、リブラアアアア!」
「『激しく摘まめ』」
きゅきゅきゅきゅきゅきゅっ
「はあん! はああああああん!」
これでしばらくは、私には勝てない……。
ブゥン! ドガァァン!
「あきゃはあ!」
モ、モーニングスター、忘れてた……がくっ。
明日から新章です。




