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タコと壷と枢機卿っ

「こんちはーっ、聖女様」

「また説教聞かせてくだせえ」

「「是非とも水着姿で!」」

「ま、また考えておきますわ……」


 男性とすれ違う度に、視線が顔から下に感じるようになりましたわ……。


「あ、聖女様!」

「ま、また説教を聞かせて頂けませんか?」

「次回はお風呂で、女性限定で如何です?」

「は、はい、考えておきますわ……」


 女性とすれ違う時も、似たような視線を感じますわ……。


「はぁぁ……」

「あれ、リファリス? ため息吐いてどしたのよ?」


 ……貴女の企みが原因なのですが……決断したのはわたくしですから、責任は問えません。


「……何でもありませんわ」

「……? 何でもないんだったらいいんだけど……それよりリファリス」

「はい?」

「次の説教会、もう一回水着か、女性限定でお風呂か、どっちがいい?」

 ガタタッ

「え、リファリス? 何でコケてるの?」


 ま、まさか身近な方が、同じような事を考えていたなんて……。


「全力で拒否させて頂きます」

「え、何で? 水着はともかく、お風呂だったら女性限定だよ?」


 同性の方が怖いと思えます、今日この頃です。


「……はは~ん……」

「な、何ですの?」

「リファリスったら、同性だらけだと」

 きゅっ

「はあああああああああああんっ!」

「こんな事されたりするかもって、思っちゃってたり?」


 …………撲殺決定。


「え、何? 何で聖女の杖を……じょ、冗談、冗談だからね?」

「実行した後で冗談だと言ったところで、信憑性は皆無ですわよ?」

「え、いや、あははは、それは出来心ってヤツでして」

「でしたらわたくしも出来心で、撲殺」

 バギャバギャバギャバギャバギャバギャバギャバギャア!

「ぎいああああああああああああっ!!」



「……相変わらず容赦無いねえ、リファっち」

「容赦する必要がありまして?」


 スプラッタな惨状のリブラを見ながら、ルディは口元を押さえています。


「あら、吐きそうですの?」

「吐きそうだよ。こんなにゆーらゆーらって……ウップ」


 あら、船酔いの方ですの。


「『癒せ』」

 パアアア……

「ウプ……はああ、ありがとう」

「とは言え、一時的ですわよ? 船酔いは三半規管の異常が原因ですから、船に乗っている限り再発しますわ」

「つ、つまり、浮いていれはいいのかな?」


 …………さあ?


「船酔いのメカニズムについて教えてくれたのはリジーですから、本人に確かめてみては?」

「ううぅ、そうする……」


 そう言ってヨロヨロと船内に戻っていきました。


「……ですが、呪具無しで教えてくれるでしょうか?」


 リジーはその辺りはシビアですから。



 一時間程して。


「シスター、シスター」


 あら、モリー?


「どうかしまして?」

「ちょっと来てくれ。枢機卿猊下が大変なんだ」


 ルディが?


「分かりましたわ、すぐに参ります」


 法衣に手を通し、髪を整えてから部屋を出ます。


「ルディはどちらに?」

「甲板に居る。大司教猊下もお待ちだから」


 大司教猊下まで?


「余程の事態ですわね」

「ああ、余程の事態だ。リジーの姉御がやらかしてくれたんだ」


 リジーが?



 駆けつけた先に居たルディは。


「しくしくしくしく……」


 何故か壺を被っていました。


「ル、ルディ?」

「リファっちぃぃ……何とかして」


 な、何とかしてと言われましても……。


「大司教猊下、どういう事ですの?」

「どうやら、聖騎士殿がルディに壺を被せたらしいが」


 はあ?


「リジっちに、船酔いについて教えてって頼んだら、呪具を寄越せって言われた」


 やっぱり。


「で、無いって言ったら、ならば実験体になれって言われて、この壺を」


 被せられた、と。


「その壺、呪具ですの?」

「うん……呪われたタコ壷だって」


 タコ壷が呪われたんですの!?


「ど、どんな呪いですの?」

「被ったら外れなくなる」


 肉付きの面みたいなものですわね。



 さあさあ、解説解説じゃ♪

 肉付きの面とはのぉ、一度身に付けたら外せなくなる、恐ろしい面の事じゃ。

 肉付きとはつまり「肉まで剥がさないと取れない面」、つまり「面の内側に肉が付いている」から肉付きの面なのじゃよ。怖いのう、恐ろしいのう。



「でしたら『浄化』してしまえば」

「それができるならば、ルディ自身がしておる」

「……何か問題でも?」

「この呪具、肉体だけではなく魂にまで巻き付いておる」

「魂にまで?」

「うむ。だから『浄化』しようものなら、魂に傷をつけかねん」


 それは……不味いですわね。


「魂に何かあれば、復活もかないません」

「その通りだ。故に、今は手の施しようが無い」


 ……ならば、逆転の発想で……。


「でしたらルディ、しばらく共存なさいな」

「共存んん!? 無理無理無理! 一日中タコ壷被ってろっての!?」


 それは……確かに嫌ですわね。


「でしたら、リジー!」

「は、はい……」


 罰として下着以外没収されているリジーが、恥ずかしげに返事します。


「呪具と意思の疎通は図れますか?」

「は、図れます」

「でしたら『ルディの命令に従う限りは、浄化しない』と伝えて下さい」

「あ、うん。えーっと、ジュグジュグジュグノロワーレ」

 

 はい?


「ジューグー、ノロワーレ……分かりましたって」

「な、何ですの、そのジュグノロワーレと言うのは」

「呪具語」


 そんなのありますの!?



 結果として、しばらくタコ壷と共存する事になったルディは。


「タ、タコ足」

 にゅるる~!


 触手が二本生えました。

 

ルディのパワーアップ回?

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