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第二回・水着で説教会の撲殺魔っ

「では、本日も始めたいと思います」


 四日目。前回の説教会が大好評だった、との事でしたので、二回目を開催致します。


「えー、主の威光とは……」


 一回目の説教会の後、日向ぼっこでリブラと色々ありました。それが切っ掛けとなり、今回のテーマは主の威光……つまり日光と聖心教の関わりについて語ろうと思います。


「今日も良いお天気です。主の威光が降り注ぐ中での説教会も宜しいかと思い、今回はプールサイドをお借りして開催する事に致しました」


 会場を結界で覆って強烈な紫外線はカットしていますし、風を循環させる事で気温も上がりすぎないように調整しています。

 それにプラスして。


「「「……ゴクリ……」」」


「……前の男性の方々。わたくしの身体を舐めるように見るのは止めて頂けません?」


「「「え……し、失礼しました!」」」


 ……リブラ、やはり水着での説教会は上手くいかないのではないでしょうか……。



「ほらね、前回以上の出席率じゃない」

「確かにそうだけど……男性陣、明らかに集中できてない」

「女性陣もやっかみやら妬みやらが溢れ出て、異様な空気になってきてるぞ」


 そりゃそうでしょうよ。歩く度にブルンブルンと震える凶器に、男でも女でも目を奪われるのは当然だわ。


「うん。絶対に説教の内容、右から左だと思われ」


「いいのよ。いくらリファリス……聖女様主催の説教会だって言ったって、堅苦しい内容が続けば出席率は下がる。だけどこういうスパイスで偶に味付けすれば、否応無しに出る人は増えるわ」

「いやいや、邪な気持ちを前面に出されたら、いくらシスターでもやりにくいだろ」

「大丈夫よ、大司教猊下から許可は貰ってるから」

「許可? 何の?」

「それは……」


 ジャララッ ズズゥンッ!


「えっ!?」

「モーニングスターの携帯許可よ」

「あ、何人か下敷きになった」



「「「…………」」」

「先程警告はしましたわ。が、その上で愚行を繰り返した方には、モーニングスターのプレゼントがございますので、努々お忘れ無きよう」

「「「は、はいぃ!」」」

「……宜しい。では続きを」


 ジャララッ


 モーニングスターを回収しますと、滴り落ちる血肉から鉄の匂いが会場全体に充満します。


「う、うぇぇ……」

「おい、吐くな。吐くなよ」

「き、気持ち悪い…………う、う【リバースゥゥ】ええ!」

「うっわ、汚いなあ! 吐くんなら向こう行けよ!」

「す、すみません……うぇ」

「だからあっち行けっての!」


「あらああ、気持ち悪いんですの?」


 顔色が悪い女性に近付きますが、短い悲鳴をあげながら後ずされます。


「大丈夫ですわ、回復魔術をかけるだけですから……『癒せ』」

 パアアア……

「え……あ、あれ、気持ち悪くない……?」


 続きまして、吐いてしまわれたものを処理します。


「『浄化』『消臭』」

 パアアア……

「え、汚物が……」

「匂いも消えた……」


「……これで大丈夫ですわね。立てますか?」

「え、は、はい」


 手を握ると、真っ赤になってしまわれます。うふふ、可愛い。


「見たくないものを見せてしまった事、謝罪致しますわ。本当に申し訳ありませんでした」

「い、いえ、聖女様、頭を上げて下さい!」

「……許して頂けますの?」

「は、はい! 気にしてませんから!」


 それは良かったですわ……が。


「この女性に厳しい言葉を浴びせた、貴方」

「あぁ?」

「悔い改めなさい」

 ジャララッ ズズゥン!

「ぐべぇ!」


 新たにペチャンコになられた方は『視覚阻害』と『消臭』で覆い、周りからは見えなくしておきます。


「さて、再開します…………主は仰いました、汝の肩には」


 再び説教を始めたわたくしの背中に、ポ~……と見つめる女性の視線を感じましたが、指摘するような馬鹿な真似はせずに壇上に戻りました。



「あー……天然同性たらし、発動」

「同性限定なのか?」

「異性からは高嶺の花すぎて、見られるだけでいいのよ。しかも水着姿を拝めちゃってるんだから、尚更」

「同性はたらしちゃうの?」

「まあ……リファリス自身、その辺りは隙だらけだしねえ」

「「それは違いない」」



「……そろそろ日も傾いてきましたので、今日はこれでお開きにしたいと思います。ご拝聴ありがとうございました」

 パチパチパチパチ!


 やっかみや妬みの視線は消えましたが、男性の欲にまみれた視線より強い何かが、女性から注がれている気がします。


「では最後まで聞いて下さった皆様に……『癒せ』」

 パアアア……

「ああ、聖女様の回復魔術だ……」

「ふう、スッキリするなぁ」


 長い説教でお疲れでしょうから、細胞の隅々まで届くくらいの癒やしを。


「あ、あれ? 傷めていた膝が……」

「肘が動く……?」

「ふ、古傷が消えた!?」

「じ、持病のリウマチが!?」


 深く深く、浸透するように……。


「シ、シワが!?」

「弛みが!?」

「シミが消えたわ!」


 更に、更に、深く深く……。


「わ、若返っていく!?」

「は、二十歳の頃のお肌だわ……」

「い、いえ、十代と言っても差し支え無いくらい……」


「……ふう。皆様、疲れは取れまして?」


「「「数十年蓄積した疲れが、全て取れました!」」」


 そんなオーバーな……。



 これが切っ掛けでシスターの説教会は若返り説教会(アンチエイジング)と呼ばれるようになったそうじゃ。

出席率100%越え。

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