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説教する撲殺魔っ

 ゴッキュゴッキュゴッキュゴッキュ!


 ま、また頭をかち割りおった……こ、このワシの頭を! あのシスター、どれだけ常識外な事をしでかすのじゃ……!


 チャポンッ


 いかん、アムリタがそろそろ無くなりそうじゃ。早めに買いに行かねばな……あのシスター見守るの、やっぱ止めた方がいいじゃろか。



「『迷える魂よ、戻れ』」

 パアアアア……


 生き返っていく男性陣は、わたくしを見る度に顔を赤くしてひれ伏していきます。


「お顔を上げて下さいな」


 そう促しますが。


「「「滅相もございません」」」


 と全員が声を重ね、一向に顔を見せようとしません。


「……はあ。分かりましたわ、ではそのままて宜しいので、わたくしの話を聞いて頂けますか?」


「「「はい、喜んで」」」


 ……こんなにやり難い説教は初めてですが……道を踏み外しかけている方々を正す重要な局面です。心を込めて、誠心誠意説教しなければ。



 冷静になってみると、今回の男達は九割は巻き込まれただけなような気がするのじゃが……。

 まあ、シスターのありがたい姿を拝めたのじゃ、撲殺されても本望じゃったろう。

 そ、それにしても……や、やっぱりシスター見守るのは辞められんわい。



「……と言う訳で、主は如何なる罪であろうと、必ず許して下さるのです」


「「「ははーっ」」」


 ……ちゃんと聞いて頂けているのか、よく分かりませんわね。


「お願いしますから皆様、頭を上げて頂けませんか?」


 ……ザワザワ

 ヒソヒソ


 ひれ伏したまま、何か相談を始める男性陣。何故そのままの状態で会話するのでしょうか。


「あ、あの、聖女様」


 話がまとまったようで、一番前でひれ伏していた男性が代表でわたくしに話してきました。


「はい、何でしょうか」


 聖女では無いのですが……ここで否定しても話が進みませんので、このまま話を聞く事にします。


「その…………私共の穢れた心で……聖女様を直視するのは……その」


「何を仰るのですか! 貴方達の心は穢れてなどいませんわ!」


「あ、いえ、その……」


 顔を上げかけた男性は、わたくしを見ようとして……再び伏せました。何故か鼻を押さえていたような……?


「や、やはり直視できません!」


 ……わたくしは溜め息を吐き、譲歩する事にしました。


「分かりましたわ。ここの後始末はわたくしが引き受けましょう」


「後始末、ですか?」


「はい。壁を壊してしまったり、床を汚してしまいましたので、わたくしが補修と掃除を」

「な、なりません!」


 男性は再び顔を上げかけて……再びひれ伏しました。


「わ、分かりました! 私達で補修も掃除もしますので、聖女様はどうかお帰り下さい!」


 帰る訳にはいきませんっ。


「わたくしには貴方達の行いを見守る義務があります。このまま引き下がれませんわ」


「っ…………しょ、少々お待ちをっ!」


 ザワザワ

 ヒソヒソ


 また会議を始めましたわね。


「わ、分かりました。聖女様の仰る通りです。私達が後始末をする、聖女様はそれを見届ける。それで宜しいのですね」


「はい。ご理解頂けたようで幸いですわ」


「但しっ」


 ……はい?



 ゴシゴシゴシゴシ


「湯船、掃除完了しました!」

「よーし、確認しろ!」

「……綺麗です!」

「ならば隊は半分に分かれ、壁の補修と床掃除の応援を!」

「「「了解!」」」


 ……サクサクと進んでいきますが……。


 ゴンッ

「痛っ! き、気を付けてくれ!」

「わ、悪い! 前が見えないもんだから」


 何故、大半の方が目隠しをしているのでしょうか?


「床掃除、終わりました!」

「よーし、確認しろ!」


 確認をする方は目隠しを外しますが、何故かわたくしの方を見ようとしません。


「まだ血痕あり!」

「やり直しだ! そんな状態では、聖女様にお許し頂けないぞ!」

「「「了解!」」」


 わたくしは監督している訳では無いのですが……。


「壁の補修はどうだ?」

「もう少しです……が……」

「ま、魔力が足りない……」

「誰かああ! 魔力回復薬を持って来い!」

「はっ!」


 この方々、妙に連携が取れていますわね。


「……よし、一気に仕上げるぞ! 『修繕』!」

「「「『修繕』!」」」


 壁の補修を担当されていた魔術士の方々が魔力を一局集中させ、新品同様に直していきます。


「壁の補修、完了しました!」

「確認しろ!」

「……大丈夫です、完璧です!」

「ならば最終確認だ! 湯船!」

「……コンプリート!」

「よし、床!」

「……コンプリート!」

「よし、壁!」

「……コンプリー……いや、ひび割れあり!」

「何だと!? ちゃんと補修しろ!」

「「「了解!」」」


 いえ、あれくらいのひび割れ、元々ありましてよ?


 パアアアア……

「……補修完了!」

「確認!」

「……大丈夫です! コンプリート!」


 それを聞いた代表らしき男性がわたくしの方を向き、目隠しを外し……急いでひれ伏し。


「聖女様、ご確認下さい!」


 確認も何も、ずっと見ていましたから、後始末が完璧だったのは分かっていますわよ。


「シスター・リファリスの名において、今回の贖罪がなされた事を宣言致します」

「は、ははーっ!」



 こうして贖罪を終えた皆様は、各々の居るべき場所へ戻っていきました。

 ですが、何故わたくしを一切見ずに出ていかれたのでしょうか?


「あー、いいお湯だった」


「リジー、帰りますわよ」

「……リファリス、素っ裸で男湯で何をしてたの?」


 え…………。



「きゃ、きゃあああああああああああああっ!!」



「あ、やっと気付かれたんだな、聖女様」

「あれ、天然でやってたのかよ……」

「直視したら出血多量で即あの世行きだぜ……」


「……あれが……聖女リファリス、か」



 む。男達をまとめておった男、何やら剣呑な光を目に宿しておるの。

素っ裸のシスターに説教されたい方は、高評価・ブクマを頂ければ、ついでに撲殺が付いて来ますのでよろしくお願いします。

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