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引き籠もりの撲殺魔っ

「わたくしなんか……わたくしなんか……!」



「ちょっとー、出てきなさいよ、リファリスー!」



「もう結構ですわ! わたくしなんか、この部屋で一生引き籠もって朽ち果てた方が世の為なんですわ……!」


 ……何なんだってんだよ、真っ昼間から。


「姉御、何かあったのか?」


「モリー。大変なのよ」

「リファリスが急に『セントリファリスには帰らない。ここで未来永劫、永久に引き籠もります』って」


 はああ?


「何で急にそうなったんだよ?」


「私達が聞きたいわよっ」

「朝ご飯の後から様子がおかしかったから、気になって見に来てみたら……と思われ」


 朝ご飯の後? 別に変わった事は無かったと思うが……。


「リブラの姉御、昨日の夜襲ったのか?」


「襲うだなんて人聞きの悪い事を言わないでよ! 目眩く夢の世界へ誘おうと」

「つまり、襲ったんだな?」

「う…………は、はい。一応」


 一応で襲うんじゃねえよ。


「……ヘンタイ」

「ゴーカンマ」


「ど、同意の上での行為よ!」


「姉御、シスターがヘソ曲げそうな要因、それ以外にあんのかよ?」


「え…………あぁ……で、でも、昨日はリファリスもノリノリでぱぐしゃ!?」

 バタン!


 ど、どうやらドアの隙間から、モーニングスターが飛んできた模様。器用だな、シスター。


「けど、このリアクションを見るに、それが原因じゃ無さげだな」

「え、リアクションから察するに、それ以外無いと思われ」

「本当にそれが原因なら、リブラの姉御はとっくに撲殺されてるだろ」

「あ、確かに」


「い、いだいぃ……」

 ピクピク……


 一応生きてるし、加減はしてるよな。


「そうなると……原因は他にあるのか」

「私では無い。断じて無い」

「いや、まだ聞いてねえんだが」


 とは言っても、リブラの姉御じゃねえんだったら、リジーの姉御か俺の二択だよなぁ。

 いや、俺は違う。断じて違う。これだけ個性的な面子が集まったパーティ内で、唯一の常識人を自認している俺じゃあない。


「あーっと、仕方無い……シスター」

 ドンドン

「聞こえてるよな、シスター。つーかよ、聞こえてると思って勝手にしゃべるぞ」


 リブラの姉御を退かして、リジーの姉御を立たせて……。


「モリー、何なん?」

「気にしない気にしない…………シスター、リジーの姉御が今回の原因だってんなら、さっきみたいにモーニングスターでよろしく」

「な、何を言ってぶげしゃあ!?」

 バタン!


 間違いねえ。今回の原因、リジーの姉御だ。



 会話できるくらいにまで回復したリジーの姉御から、詳しく事情を聞く事にする。


「で、何をしたのよ。大人しく白状しなさい」

「知らぬ」


 何故かクソ狭い部屋に入り、カツ丼片手に聴取を始めたリブラの姉御。


「何でカツ丼?」

「事情聴取には暗くて狭い部屋、そしてカツ丼って相場が決まってんのよ」


 どういう相場だよ。


「つーか、カツ丼はどっから出てきたんだよ?」

「頼んだらリファリスが作ってくれたわ」

「…………引き籠もってんだよな?」

「ドアの隙間から飛んできたわ」


 シスター……あんたも何かと謎仕様だぜ……。


「それよりリジーの姉御、何があったか話してくれ」

「知らぬっ」


 ……はあ、たく。


「姉御、指開いてテーブルに乗せて」

「はい?」

「いいから早くっ」

「あ、うむ」

 ピタッ


 ナイフを抜いて。


「え゛、ま、まさか」

 ドスッ!

「ひい!?」

「まずは親指と人差し指の間」

 ドスッ!

「ひう!?」

「次は人差し指と中指の間」

 ドスッ!

「ひゃい!」

「んで、中指と薬指の間」

 ドスッ!

「けひ!?」

「最後に、薬指と小指の間っと」

 ドスッ!

「で、戻るっと」

 ドスッドスッドスッドスッドスッドスッ!

「え、待っ」

「行ったり来たり、行ったり来たり」

 ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス

「怖いって! マジで怖い!」

「更に高速化!」

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドスッ!

「ぴぎゃあああああ!」

「あーあ、手元が狂ったら指サックリだな! まあ五本あるんだから、一本くらいはいいか」

「良くない良くないって良くないですごめんごめんなさいすいませんでしたあ゛ーーーーっ!!」

 ピタッ

「……なら吐くか?」

「は、吐きます! ごめんなさい! もうしませんからぁ!」


 よし、落ちた。


「……モリー……それ、良いわね」


 リブラの姉御、大剣ではやるなよ?



「んじゃ、吐け」


「あ、うん……実は……今日の朝、朝ご飯の準備を手伝ってた」


 ああ、そうだったな。前回の騒ぎ以降、両姉御は定期的にシスターを手伝うようになったんだ。


「その時、リファリスの髪の先に、ご飯粒がくっ付いてるの発見」


 …………。


「それで取ろうとしたんだけど、もう固まってて取れなくて」


 ……まさか。


「仕方無くチョキンと」

「「切っちゃったの!?」」

「あー……うん」


 そりゃ怒るわな!


「シスター! どのくらい切られたんだ?」


「…………ほぼ」


 ほぼ!?


「切った先から紅く染まっていくから、どれだけ紅くなるのか気になって」


 チョッキンチョッキンとか?


「……首の辺りまで……」

「姉御ぉぉぉ!」

「そりゃ出てこなくなるわよ!」

「ごめんなさいいい!」


 ま、まあ、それは置いといて。


「シスターも何で黙って首元まで切られたんだよ」


「りょ、料理に集中してましたの」


 料理してても髪の毛切られてるって事ぐらい気付けよ。


「つーかさ、回復魔術で切られた髪を戻せないのか?」


「…………あ」


 戻せるのかよ!


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