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夢現つの元親分っ

 うーん……な、何だ、ここ……。


『目が覚めましたか、モリーよ』


 え、だ、誰だ?


『それとも、モブリゲスとお呼びしましょうか?』


 ぶっ!? な、何で俺の元の名前を……!


『何でもお見通しですよ。貴女が聖女の教えを聞いている間、大半は寝て過ごしていますわね?』


 うっぎゃああああああああっ!


『それに、女性の身体になってから、あれこれと試していますね?』


 っ!!!?


『先週は【ぴぴー】を、前々日は【いやんばかん】を』


 ごめんなさい。すいません。マジで勘弁して下さい。


『うふふ、目が覚めましたか?』


 あ、ああ。つーか、ここは一体?


『そうですね。冥府とかあの世とか、はたまた霊界だとか、様々な呼び名がありますね』


 冥府? あの世? ま、まさか、俺って死んだのか!?


『いえいえ、少しお呼びしただけで、まだまだお元気ですよ?』


 お、お呼びしたって…………つーか、あんたは一体……?


『私ですか? 私はプルパンテシア』


 は?


『今は「主」と呼ばれる事が多いです』


 主ねぇ……………………主!!!?


『はい。貴女が信仰しています聖心教の神、それが私です』


 し、し、失礼致しやしたああっ!!


『そんなに畏まらないで下さいな。神とは言っても、そこまで偉い者ではありませんから』


 お、そうか? だったらタメ口でいいか?


『…………貴女、なかなかに良い度胸してますね。まあ、構いませんが』


 構わないんなら呼び捨てしてもいいよな、パルプンテシアさんよ。


『プルパンテシアです! 何が起きるか分からない魔法みたいに言わないで下さい!』


 はあ?


『おほん! な、何でもありません。それよりモリーさん、貴女は聖剣を抜かれましたね?』


 ん? あ、ああ。抜いたと言うか、抜けちゃったって感じだったな。


『そのようですね。聖女が妙に負けん気を発揮して、私の術式を破りましたし』


 シ、シスター、やっぱり何かやらかしてたのか。俺が抜いちまうだなんて、妙だと思ってたんだ。


『大丈夫です。抜いたのは貴女に違いありませんから、貴女が正統な聖剣の後継者です』


 お、俺が、か。


『はい。ですが貴女はほとんど剣を使った事が無いご様子』


 あ、ああ。長剣よりはナイフとかの方が得意だな。


『それではいけません!』


 は?


『聖剣の後継者になった以上、聖剣を使いこなして頂かなければ困ります!』


 は、はあ。


『ですから、しばらくここで修行して頂きます』


 しゅ、修行だああ!?


『安心して下さい。貴女が修行している期間、向こう側の時間が進む事はありませんので』


 い、いや、ちょっと待て!


『因みに講師を引き受けて下さいましたのは、先代と先々代と先々々代と先々々々代の聖剣継承者さんです』


 そんなに居るのかよ!


『では皆様、よろしくお願いします』


 ちょ、ちょ、ちょっと待てっつってんだろがああああああ!!!!



 う、うう……な、何年経ったんだ……? 飲まず食わず、休む事もせずに剣を振り続けて幾星霜……。


『おめでとうございます。皆様から免許皆伝を頂きました!』


 そうかいそうかい……もう俺は剣を見たくもない心境だよ。


『さあ、では貴女を現世に戻しますよ。聖剣継承者として、聖女と共に活躍を……ああああああああああああああ!!!!』


 な、何だよ、急に叫んで!?


『ま、ま、まさか、聖剣を!? そ、そんな馬鹿なああ!』


 か、神様の馬鹿発言って不味いのでは?


『あんのクソ聖女、何してくれてんのよ!』


 クソ聖女発言はもっと不味いよな。まあ、突っ込める剣幕じゃねえから、何も言わずにおくが。


『負けん気を更に加速させて、聖剣を砕いちゃうなんて! あれ、滅茶苦茶力作だったのにぃぃ!』


 ちょ、待て待て待て! 聖剣が砕けただあ!?


『貴女のお師匠さん、聖剣と何故か張り合っちゃってさ』


 聖剣と何を張り合うんだよ!?


『で、最終的に聖剣に勝って、粉々にしてくれやがったのよコンチクショウ!』


 砕いた経緯が意味不明だし、コンチクショウ発言に突っ込める気もしねえし。


『と、とにかく、貴女が使う予定だった聖剣は、お亡くなりになられました』


 …………俺の幾星霜の苦労、アッサリと無駄になりやがったな。


『まあ、粉々とは言っても、結構大きい破片もあるから、再利用すればナイフくらいには』


 だったら幾星霜の修行、必要無かっただろが!


『あ、あははは……また力作ができたら送ってあげるから、さ』


 いつできるんだよ!


『まあ………………千年は越えないようにしとくから』


 せ、千年て……。


『ていうか、不平不満は全て聖女に! 私からも何らかの罰をしておくから!』


 って、おい!


『それじゃ、後はよろ!』


 よろ、じゃねえよ! 一体何だってんだよ!?



「こらああ、クソプルパンテシアアアア……あ?」


「プルパンテシアですって?」


 あ、あれ?


「目が覚めましたか?」


「シ、シスター?」


「はい。何やらうなされていたようですが、大丈夫ですか?」


 い、今のは夢だったのか?


「あー、ちょっと夢見が悪かったみたいだ」


「そうですか。それよりモリー、わたくしは貴女に謝らなくてはなりません」


「ん、何だ?」


「その……わたくし……あの……聖剣を……」


 聖剣をって……ま、まさか!?


「砕いちまったのか!?」

「ど、どうして分かったのですか?」


 まさか……本当に本当だったのかよ。


「それよりモリー」


「ん?」


「貴女、どうして主の御名を知っているのです?」


 え?


「聖心教内でもごく少数しか知らない、主の御名を、何故に貴女が知っているんですか?」


 そ、それは……。


「しかも御名の前にクソを付けて叫んでましたわよ」


 うっ。シ、シスター、怒ってる。


「それで、モリー」


「は、はい」


「罰当たり天誅」

 ボガッ!

「いってええええ!!」

主、初登場。

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