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五人目と撲殺魔っ

 死体を回収し、今度こそお昼ご飯です。


「さっきの猛毒ご飯よりは、リファリスの料理は全然マシだわ」


「…………どういう意味ですの?」


「あっ!? え、えっと、そういう意味じゃなくて」


「でしたら、どういう意味ですの?」

 ジャララッ


「リ、リファリス、モーニングスター仕舞って! 話せば分かる! 話せば分かるから!」


「そうですか……でしたら、せっかくのスープが台無しにならないように、少し退かしておいて下さいな」

「リファリス!?」

「血が入ったらもう飲めませんわよ?」

「うぅ……撲殺確定なの……?」


 観念して目を瞑ったリブラ。


「ではいきますわよ……」

「ううぅ、今更ながら我が口を呪うぅ……」

「はぁぁ! 撲殺……」

「ひぅぅっ」

「……じゃなくて悶絶!」

 きゅきゅっ

「はあああああああんっ!!」


 想像もしていなかった刺激に、両胸を抱えて床に突っ伏すリブラ。ふふ、やりましたわ。


「十分後に出発しますわ。それまでに食べてしまいなさい」

「く……こ、この刺激、倍にして返してやるんだから……!」



「……何だ、今の妙に艶っぽい叫び声は?」


「さあ……ただ、その様子ですと〝壁〟も失敗したようですな」


「たくっ、どいつもこいつも口ばかりだな」


「……旦那様、では次は私めがお相手して参りましょうか?」


「お前がか? ふむ……どうやら相手は相当な手練れのようだが、大丈夫か?」


「お忘れですか、旦那様。私めは既に滅んだと言われている魔人の末裔。魔術に関しましては、右に出る者は居りませぬ」


「そう……だな。確かに魔術でお前が遅れをとる事はあるまい…………分かった、任せよう」


「ご信頼頂きありがとうございます。必ずやご期待に応えさせて頂きます…………ホウキよ、我が手に」



「……あら?」


「ん? どうしたの?」


 食堂を出て二階に上がる階段を探していましたら、窓の外からの視線を感じました。


「これは……空を飛んで……?」


 …………ヒュヒュン!

 ドスドスドス!

「うぐぅ!?」


 突然飛来した氷柱が……わたくしの胸を……貫いて……ぐぶっ!


「リファリス!?」

「だ、大丈夫ですわ……『癒せ』」

 パアアア……

「ふう……」


 傷を塞いで物陰に隠れます。


「空に浮く魔力反応、そしてわたくしを貫ける魔術……まさか」


 すると、再び魔力反応が。


「っ!? 『守って』」

 ビキビキビキッ!

 ゴオオオッ!


 わたくし達が潜む物陰まで届くように、強烈な火球が投げ込まれまたようです。結界が間に合い、今回はダメージはありませんでしたが。


「なかなか戦い慣れてますわね」

「これって……もしかしたら、魔人の?」

「空を飛びながら魔術を放っている時点で、魔人さん以外にあり得ませんわ」


 当然ながら飛翔魔術は存在します。しかしそれを維持したまま他の魔術を使う事は、不可能と言ってもいいくらいの難易度なのです。


「飛翔魔術以外の方法で飛んでいる……つまり飛翔魔器、ホウキに乗っているのですわ」


「魔人のホウキが現存してるだけでも驚きなのに、魔人ご本人まで現存だなんて……」


「あら、わたくしも貴女も立派な希少種でしてよ?」


「魔人程じゃないでしょ。私達が絶滅危惧種だったら、向こうはとっくに絶滅した種だからね」


 どちらにせよ、敵対している以上、容赦する必要は全くありませんが。


「ですが敵が魔人さんだと分かっていれば、どうとでもなりますわ」


「どうするつもり?」


「簡単ですわ。魔人さんが経験した事が無い事を、経験させてやれば良いのですから」



「……今の『火球』で仕留めたかしら」


 手応えはあった。


「……ん? 魔力反応?」


 何か私の後ろに……これは。


「お嬢様。私めが飛翔中は、お相手しかねますと何度も」

「わたくし、お嬢様と呼ばれる立場では無くってよ?」


 っ!?


「な、お前は!?」


 後ろに居たのはお嬢様では無く、随分と露出度の高い鎧を着た女だった。


「わたくし、リファリスと申します。魔人さんにお会いできて光栄ですわ」


「リファリス…………お前、聖女か!」


「はい。わたくしに相応しい呼び名ではありませんが、巷ではそう呼ばれてますわね」


 聖女相手では分が悪い……だが。


「いくら聖女とは言え、飛翔魔術を使っている以上、他の魔術は使えまい!」


 しかも飛翔魔術は素早い動きができない。つまりは……。


「恰好の的でしか無いんだよ! 行け、『火球』『氷柱』!」


 爆発する『火球』に、無数の『氷柱』だ。避けようがあるまい。


「ふう…………『防げ』」

 ボフゥン!

 キィンキィンキィン!


「な、何ぃ!?」


「飛翔魔術しながらでも、結界くらい張れますわ」


 ば、馬鹿な!? 飛翔魔術と同時に、他の魔術が使える筈が……!


「他の方には不可能かもしれませんが、わたくしには朝飯前ですわ…………『浄めよ』」

 パアアア……


「浄化魔術だと?」


 一体何を……?


「ホウキは飛翔魔器。つまり、魔の器。でしたら立派な浄化対象でしてよ?」


 ピキ……ミシミシ……


 ま、まさか、我がホウキを!?


 バキバキ…………バリィィィン!


「な……うわあああああああああ!」

「ほら、飛翔魔術で飛ばないと」

「く……『飛翔』!」

「はい、ではこれは防げますか?」


 ジャララッ


「モ、モーニングスターなんて、飛びながら防げる訳無」

 ごぶしゃ!

「げぴぃ!」



 虐殺砦の十三人、あと八人。

魔人は間違い無くこの世界でトップクラスの魔術士です。ただ、リファリスが桁違いなだけで。

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