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聖女様の次回予告?

 次回! 世直し聖女様は。


『聖女様、お助け下さい!』

『一体、何が起きてるんですの?』


 再び聖女様に牙を剥く、闇の組織。


『ちょっと、大丈夫ですの?』


『触るんじゃねえ! お前さえ、お前さえ来なければ!』


 平穏な町に蔓延り出した陰謀に、聖女様の杖が煌めく!


『いやあああ! お願い、それ以上は!』

『へっへっへ、これは絶品だぜい……頂きぃ!』

 ズチュン!

『いやああああああああああっ!』


 バアン!


『待ちなさい……くぅ、遅かったですか!』


 来週も乞うご期待!



「……もしも時代劇調だったら、こんな感じかも……と思われ」


「リジー、いつまで入ってるの?」


「ウププププ、面白い」


「リジー? どうかしたの?」


「テレビは無いから実際には難しいけど、劇だったら可能かも……?」


「リジー? 逆上せちゃったの?」


 ガラッ


「リジー?」


「ウププププ……」


「リジーったら!」


「ププププ~♪ フンフンのフ~ン♪♪」


「…………えい」

 きゅっ

「はあああああああんっ!!」

「あ、ようやく反応したわ」

「な、何をするの、リブラ!」


 入浴中の私にイタズラしてきたリブラは、呆れた様子で立ち上がった。


「あのさ、どんだけ待たせる気よ?」

「……何が?」


 はあ~……と大きなため息を吐くリブラ。


「あのねえ、お風呂の順番、皆が待ってるのよ」


 …………………………あ。


「そうだった、温泉なんて久し振りだったから、ついつい長風呂を」

「この湯船、一人しか入れないから、皆待ちくたびれてるのよ。早くして」

「ういうい……ふはぁぁ」


 ザバアアッ


「……ちょっと。早くしてって言ってるでしょ」

「ふはぁぁ」

「ちょっと」

「ふはぁぁ」

「……わざとね! わざとでしょ!」

「ふはぁぁ」

「……ふんっ!」

 きゅっ

「はあああああああんっ!!」

「もう許さない!」

 きゅっきゅっ

「はあああん! はあああああああんっ!!」


 バタバタバタッ!


「い、一体何事ですの!?」

「あ、リファリス」


 リ、リファリス?


 きゅっ

「はあああああああんっ……た、助けてえ!」


「聖女様、お助け下さい!」

「一体、何が起きてるんですの?」


 ……ん?


「その娘が温泉を独占してしまっていて、皆並んで待ってるんです!」


 ……あれ?


「はぁぁ……わたくしの仲間がご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません」

「聖女様!? どうか頭を上げて下さいっ!」


 今の台詞、どこかで……。


「……リジー。さっさと出なさいな」

「私も待ってるんだからさ、早く」


 ……あれぇ? もしかしたら……。


「仕方ありませんわ、引き摺り出しますわよ」

「わかった」


 ガシ ザバアアッ

 ズルズルズルズル


「……妄想が現実になった?」

「何か譫言を言い始めましたわね。湯当たりかもしれません」

「このまま部屋まで引き摺ってこ」


 ズルズルズルズル

「すいません、急病人ですわ」

「ちょっと退いて」


「お、おい」

「うっわ、ナイスバディ」

「これは……ありがたや、ありがたや」


「え、私裸で……いやああああああああああっ!」


 な、何で素っ裸で引き摺られてるぅぅ!?


「あら、正気に戻ったようですわね」

「大丈夫か、リジー?」


「いやあああ! 布か何か頂戴よおお!」


「あら、忘れてましたわ。はい、タオル」


 タ、タオル一枚だけじゃ……!


「タ、タオルだけで身体を隠して……ハアハア」


 へ、変なのが居るぅぅぅ!


「リファリス、流石に可哀想かも」

「……ですわね。リブラ、何か羽織るものはありません?」

「ちょっと待ってて」


 早くしてぇ!


「チラッと加減が何とも……ハアハア」

「この、変態!」

 バキィ!

「ぐっはあ!?」

彼女(わたし)というものがありながら……最低!」

「え、ま、待って!」

「待たない! もう終わりね、さようなら!」

 スタスタスタ……

「あ、あああ…………うわああああああああああああ!!!!」


「ちょっと、大丈夫ですの?」


「触るんじゃねえ! お前さえ、お前さえ来なければ!」


 …………んん?


「触りませんわよ、穢わらしい」

「穢わらしいって、酷くないっすか!?」

「それよりも、早く彼女さんを追いかけては?」


 あ、あれえ?


「あ、そうだった! 失礼します!」

 ダダダダダ……


 ……正夢ならぬ、正妄想?


「ほら、上着で良ければ」

「ありがとうございます……ほら、リジー」


 ……ああ、そうだった! 早く羽織らないと!


「そう言えばリファリス、部屋の魔冷庫に入ってたプリン、誰のか分かる?」


 あ、そうだった、プリン!


「私の、私の!」


「リジーのか…………モリーが狙ってたわよ」


 はぅあ!?


「あれ、期間限定の栗いっぱいプリン!」


 楽しみにとっておいたヤツ!


「早くしないと食べられるわよ」


 のおおおおおおおおおお!!


 ダダダダダッ!

「ちょ、リジー! 羽織ってた上着が」


 プリンプリンプリン!


 ダダダダダッ!

「プリンンンン!」

 ガラッ


「んぁ、リジーの姉御!?」


 わ、わ、私のプリンンンン!


「それ、私の!」


「あ、これ姉御の? 美味そうですぜ……パクッ」


「いやあああ! お願い、それ以上は!」

「へっへっへ、これは絶品だぜい……頂きぃ!」

 ズチュン!

「いやああああああああああっ!」


 バアン!


「待ちなさい……くぅ、遅かったですか!」


 プリンがぁぁ……って、あれ?


「一気食いしたんですの!?」

「プリンは大口開けて吸い込むのが醍醐味だからな」

「わ、わたくしも一口頂きたかったのに……!」


 ま、まさか、ここまで妄想通りに?


「ゆ、許せませんわ! 期間限定でもう手に入らないそうですわよ!」

「え、そ、そのモーニングスターはっ」

「天誅!」

「うぐわはぁぁ!?」


 あ、成敗されるとこまで同じだった。これ、本当に正妄想?


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