表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

235/428

聖女様を覗きっ

モリー視点。

「リブラ……愛してますわ」

「リファリス……私も」


(ん、おおお。始めやがったな)


 屋根裏に潜んで覗くゲフンゲフン、見守る事二時間半。どうやら待ちに待った時が訪れたようだ。


(ふああ……やっと始めた?)


 俺の側には、半分寝ぼけ眼なリジーの姉御が居る。どうせ誘ったところで来ないだろうと思ってたら、案外ノリノリで付いて来やがった。


「リブラ、綺麗ですわ……」

「リファリス、もっと綺麗……」


(おーおー、絡み合ったと思ったら、もうその展開かよ。思った以上に慣れてやがるな、シスターとリブラの姉御)

(え、え、うわあ……)


 俺にとっちゃ見慣れた光景だが、リジーの姉御はあまり免疫が無いらしく、耳まで真っ赤にして身悶えしている。


(リジーの姉御、あんまりゴソゴソしないでくれ。下手にバレたら、俺だけじゃ無くあんたまで撲殺刑だぜ?)

(む、撲殺は嫌。だからジッとする)


 まさかシスターが、セントリファリスの殺人鬼〝紅月〟だとはな。盗賊仲間でも有名だったが、よくシスターしながら殺人鬼してるもんだぜ。


「ああ、リブラ……!」

「リファリス……!」


 おおおっ! リブラの姉御の先制攻撃! シスターが押されっぱなしだ。


(う、うわうわ、うわあ……)

(……リジーの姉御、見てて興奮するのは勝手だが、頼むから静かにしててくれ)


 固唾を飲みながら見守る事、一時間。


(うおお、かなり長かったが、いよいよクライマックスかっ?)


「リファリスゥゥ、リファリスゥゥゥゥ!」

「リブラ……リブラ!」

 ドン!

「えっ」(えっ)(あ)


 クライマックス中のクライマックスで、突然シスターがリブラの姉御を押しのけ。


「もう我慢の限界ですわ!」

「リファリス、まさかっ」


 どこからか取り出したバット……じゃなくて聖女の杖を振り上げ。


「愛してる天誅!」

 バガッ!

「げぎゃ!」

「愛してる天罰!」

 ボガッ!

「ひぎぃ!」

「愛してる滅殺! 愛してる抹殺! 愛してる撲殺!」

 バガガガガッ!

「ぐ、ぐふぅ」

「愛してる『復活』!」

 パアアア……

「…………ふはぁ!? はあ、はあ、はあ……」

「……リブラ……愛してますわ……」

「あ、愛してるなら撲殺しないでよっ!?」


 ……マジで撲殺魔なんだなぁ、シスター……愛情表現が撲殺だなんて……。


(うっわ……)


 リジーの姉御は…………うん、完全にドン引きしてんな。まあ、気持ちは分からなくは無いが。


(リファリス、流石にあれは……)

(まあな。愛してるって連呼しながらの撲殺って、完全にイっちゃってるわな)

(ベッドの上ではいただけない。シーツに血が付く)


 いや、そこかよ。


(んなの洗えば済む話じゃねえか)

(甘い! 血の汚れは落とすのが難しい!)


 そうなんすか。


(タンパク質系の汚れは固まったら頑固だって、プロの方が言ってた)


 プロって誰だよ。


(墨汁のニカワぐらい厄介だって)


 どうでもいいよ。


「リファリス……」

「リブラ……」


 つーか、いつの間にか二回戦目に突入してるし!


(リジーの姉御が無駄話すっから、肝心なとこ見逃しちまったじゃねえか!)

(肝心なとこ?)

(撲殺からここまでの展開、興味無いのかよ!?)

(……そう言われてみれば、生死の境から命の営みまでの通過点、気にならなくも無くも無い)


 どっちなんだよ!


「リブラ、リブラァァァ」

「リファリスゥゥゥゥゥゥ!」


(……つーか……意外とリブラの姉御が攻めなんだなぁ……)


 撲殺するくらいの強烈な愛情表現するシスターの方が、ガンガンいくタイプに思える。


(確かに、リファリスが妙に受け身と思われ)


 リジーの姉御でもそう思うなら、やっぱイメージ的にも変だよな。


 ギシギシギシギシ


(再びクライマックスと思われ)


 確かにクライマックスだ。さっきと同じように……。


「も、もう無理ですわ!」

 ドン!

「えっ」(えっ)(あ、また)

「愛してる天誅!」

 ボガッ!

「うぎゃ!」

「愛してる天罰!」

 ガゴッ!

「あぎぃ!」

「愛してる滅殺! 愛してる抹殺! 愛してる撲殺!」

 バガガガガッ!

「ぐ、ぐふぅ」

「愛してる『復活』!」

 パアアア……

「…………ふはぁ!? はあ、はあ、はあ……」

「……リブラ……愛してますわ……」

「な、何度も言うけど、愛してるなら撲殺しないでよっ!?」


 ま、またかよ……。


(う、うわあ……)


 流石に二回目ともなれば、リジーの姉御も……。


(あれ、マットレスも血塗れで落ちない)


 そこかよ!


(だから、洗えばいいじゃねえか!)

(マットレスは洗えない! 丸洗い不可能!)


 はいはいはい、さいですか。もうどうでもいいや。


「も、もう許せない……!」

「リブラ?」


 あ、ついに我慢の限界か。そりゃ、二回も撲殺されればな。


「二回も撲殺を許してしまった自分が許せない……!」


 そこかよ!!


「リファリスが撲殺に及べないくらい、【ぴー】して【ぴー】して【ぴぴー】するんだから!」


 ちょ、リブラの姉御、神職してんだから卑猥な言葉を大声で叫ぶなよ。


「リファリス、覚悟ぉ!」

 ドシィン!

「ぐっふぅ!?」


(何で強烈なタックル噛ましてるんだよ!? シスターが一瞬白目剥いてたぞ!)

(ナイスタックル!)

(誉めるとこじゃねえよ!)



 ……チュンチュン


「……おはようございます」

「……おはよ」


 朝。少しお疲れ気味のシスターは、目の下に隈ができていた。ただ、肌は異様にツヤツヤだったが。


「いや、艶々か」

「はい?」


 あ、何でもありません。つーか……突っ込み疲れた。

明日から新章です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=529740026&size=200 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ