表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

212/428

モブリーな元親分っ

 元親分さんが(無理矢理)加入してから、わたくし達の周りは少し騒がしくなりました。


「ご飯ですわよ」

「何でえ何でえ、こんな精進料理で我慢しろってのか!?」

「シスターですので」

「あ、成る程……つーか、俺はシスターじゃ無いだろ!?」

「立ち位置は微妙ですわね」

「だろっ!?」

「つまり、同行者かどうかも怪しい次第ですわ」

「…………あ、ありがたく頂きます」


 と言うように、見た目は美少女の割にこの口調ですので、いろいろと新鮮と言いますか、楽しみと言いますか。


「こらこら、元親分。リファリスを困らせちゃ駄目よ」

「べ、別に困らせてねえよ。ただ言いたい事を言ってるだけで」


 ニコニコと笑いながら近付くリブラに、ジリジリと後退りする元親分さん。少し前の採寸後、どうもリブラとリジーから距離を置いているような……?


「んふふふ……ちゃんとあのブラを着けたのかなー?」


「ぶふぁ!? な、何を言いやがる!?」


「あらあ、まさか着けてないのかしらー♪」


 真っ赤になってたじろぐ元親分さん。うふふ、反応が見ていて飽きませんわ。


「つつつ着けてるよ!」

「なら、確かめてみようそうしよう」


 ぎゅむっ


「ひゃはああん!? リ、リジー!?」

「この感触……着けていないと思われ」

「あらああ? まさか、まだ着け方が分かってないのかしら?」

「ち、違う! 着け方はちゃんと」

「ちゃんと着けるのが約束だったよね?」

「うぐっ」


 リブラとリジーがニコリ……いえ、ニヤリと笑い。


「仕方無いなあ、また実践ね、実践♪」

「ななななちょっと待ってくれ!」

「リブラがお手本を見せてくれるそうだから、しっかり見ておくように」

「え、また私? 今度はリジーが見せてあげなさいよ」

「…………嫌」

「別に同性なんだから、躊躇する必要無いでしょ?」

「待って。これ、中身男」

「確かに中身男だが、自分もこんな身体になった以上、別に何とも思わねえよ!!」


 うふふ、賑やかですわね。


「ふぅ~ん……何とも思わねえ、ねえ……」


 リブラはニヤニヤしたまま、元親分さんににじり寄り。


「その言葉、二言は無いわね?」

「な、何がだよ!?」

「何とも思わねえっての」

「あ、ああ。二言はねえ」


 そのままわたくしに向き直り。


「だったらさ、今度はリファリスが教えてあげてよ」


「何をです?」


「お・ん・な・の・ひ・み・つ♪」


 ……はい?



「下着の着け方が、何故に女の秘密なのでしょうか……」


 ちょうど水浴びしたいと思ってましたので、効率を考えて引き受けさせて頂きました。


『え……じょ、冗談だよ、冗談』

『リファリス、嫌な事はしなくていいと思われ』

『え? 同性なのですから、何か問題ありますか?』


 ……何故かリブラとリジーが慌てていましたが……どうしたのでしょう。


「まままままま待ってくれシスター! いくら何でも」


「あら、下着の着け方を知る為には、実際に着けるところを見るしかありませんわよ」


 そう言いつつ法衣を脱ぎ、一旦胸の谷間(空間魔術)に収納します。


「あひゃあ!?」


 元親分さん、真っ赤になって向こうを向いてしまいました。


「いけませんわ。貴女はこれから女性として生きていくのですから、こういう状況も普通にあり得るのですよ」


「ひゃ、ひゃい!?」


「つまり、慣れなさい」


 そう言って『茨』を発動させ。


 ピシュルッ

「ひゃええ!?」


 物理的強制的にこちらを向かせます。


「良いですか? 下はただ履くだけですから、難しくありませんわ」


「くるけえええ!?」


「但し、上はそう言う訳には参りません」


「きゃぴいいい!?」


「こう、寄せて、入れて……ちゃんと見てますの?」


「けるぴいいい!?」


「何なんですの、その意味不明な叫び声は?」


 プチン ぶるんっ


「は、は、はぎゃふぃいいい!!」

 ブシュウウウウ!!


 あ、あら? 鼻血の噴水?



 ……チャプン


「し、死ぬかと思ったぜ……」


「申し訳ありませんでした。元盗賊という来歴を鑑みて、女性の身体は見慣れているものとばかり」


「お、俺は女を手込めにするようなゲスじゃねえ!」


「……どちらかと言えば、女性の免疫が無い方ですわね?」

「うるっせええっ!!」


 あらあら、意外と純情だったのですね。


「それにしても出血多量で死にかけるくらい鼻血噴くだなんて、やっぱりリファリスのは強烈なのね」


「……それは否定しない」


「私の見ても、顔赤くなる程度だったのに…………微妙に複雑」


「それは……まあ……気持ちの問題って言うか……」

「「あ~……」」


 何を納得し合ってるんですの?


「そうだ、リファリス。こいつも弟子にするんだよね?」


「ええ。出自が特殊すぎますから、まずはわたくしが面倒を見ますわ」


「だったらさ、名前はどうするの?」


「名前……」


 元親分さんに視線を向けます。


「んあ、名前か? 俺はモブリゲスってんだ」


「「「モブリゲス……」」」


 流石に女の子の名前としては、ちょっと……。


「だったら女の子っぽくして、モブリーとか?」

「リブラ、それは止めてあげて」


 リジーがモブリーに異を唱えます。


「だったら何がいいのよ」


「せめてブを取ってモリーとか」


「「……モリー……」」


「……まあ……モブリーよりは……」


「では、モリーで決定ですわね」



 こうして、わたくしに新たな弟子が増えました。元盗賊の親分で、元男性のモリー。面白くなりそうですわ。

モリーに決定。元の候補のモブリーは流石に……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=529740026&size=200 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ