夢見る撲殺魔っ
少々【いやん】なシーンがあります。
「おほんっ! で、では、朝の奉仕を始めます」
「「よろしくお願いします」」
はああ……リラックス、リラックス。リブラは弟子、リブラは弟子、リブラは弟子……。
……よし、大丈夫ですわ。
「ではリブラ、貴女はゴミ拾いをお願いします。リジーは雑草を抜いて下さいな」
「「分かりました」」
わたくしの指示に従って、二人は早速作業を開始します。
「さて、ではわたくしも……」
「リファリス」
「はい?」
不意に名前を呼ばれて振り返りますと、そこには不満げな表情をしたリブラが立っていて…………え?
「な、何ですの?」
「リファリス、確かに私は弟子だけど、今はそれ以外に強固な絆があるよね?」
そう言ってわたくしの肩を掴みます。
ビクッ!
身体全体が震えるように反応してしまいます。
「きょ、強固な絆って……あ」
背後に回り込んだリブラの唇が、わたくしの項に触れ……ああ。
「リファリス……」
「だ、駄目ですわ……あああ」
リブラの手が、法衣の襟元から内部へ侵入し、双丘の頂点へ…………はあああああああああん!
「リファリス……」
ドサッ
そのまま芝生に押し倒され、産まれた時と同じ姿にされ、リブラに弄ばれ「ひぃああああああああああああ!!!!」
ガバッ
「は、はあ、はあ、はあ……」
ゆ、夢……?
「はあ、はあ、はあ…………はああああっ」
わ、わたくし、欲求不満なのでしょうか……リブラに……される夢ばかり見るなんて…………。
「はあ、汗でびしょびしょですわ。夜遅くですが、水浴びしてきましょう……」
バシャアッ
「ふぅぅ……サッパリしました」
冷たい水で汗を洗い流し、夢の余韻も忘れる事ができたようです。
「いけませんわ、わたくしがこのような不安定な状態では、リブラやリジーに師事できません」
堂々と、二人に対しては、常に堂々と。そう自分自身に言い聞かせて、浴場から出ます。
ガラッ
「リファリス……」
「ひうっ!?」
何故か脱衣場には、一糸纏わぬリブラが立っていて……!?
「リファリス……」
「い、いけませんわ!」
後ずさりするわたくしを、角へと追い詰め……。
「リファリス……」
「ひゃう! い、嫌ああっ」
力無く抵抗するわたくしを、リブラは無理矢理「ひぃあああああああああ!!!!」
ガバッ
「は、はあ、はあ、はあ…………」
周りを確認します。はい、ここは脱衣場では無くわたくしの部屋です。
「服も……着てますわね」
リブラも……周りに居ません。
「……はぁぁ。夢のまた夢だなんて、質が悪すぎますわ……」
一度目に目覚めた時と同じように、再び汗だくになっています。
「……水浴びしたいのですが……あんな夢の後では、少し気が引けますわね……」
仕方ありません、魔力の無駄遣いな気はしますが……。
「『我が身体の不浄を清めよ』」
パアア……
浄化魔術で身体と寝間着を濡らしていた汗を霧散させます。
「サッパリしましたわ。これでようやく寝れま」
コンコンッ
「ひうっ!?」
こ、こんな真夜中に、一体誰が……?
コンコンッ
「は、はい、何方ですの?」
「私、リジー」
…………ほっ。
「リジーですか。何ですの、こんな時間に」
ガチャ ギイッ
「なーんちゃって♪」
……え?
「リファリス、つっかまえーた♪」
「えええ!?」
リ、リブラ!?
「私を警戒してるみたいだから、リジーの振りしちゃった♪」
え、えええ!?
「リファリス……いっただきまーす」
「え、え!?」
いつの間にか寝間着を剥ぎ取られたわたくしは、そのままベッドに押し倒され、魅惑の世界へと「ひぃああああああ!!!!」
ガバッ
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
……周りを見渡し……わたくしの部屋ですわ、間違い無く。
「リブラは……」
……居ませんわね。
「服は……」
……着てますわね。
「…………も、もう、勘弁してほしいですわ」
夢の夢の、そのまた夢だなんて……。
「……今は……現実ですわね」
今度は誰も侵入できないように、ドアを結界で封印。これだけ魔力を込めれば、流石のリブラも侵入できないでしょう。
「それと、誰に呼ばれても開放しないように……」
わたくし自身の周りに、消音結界を施して……。
「さあ、これでゆっくり寝られますわ」
明日は休息日ですから、多少はゆっくりしても、大丈夫………………すぅ。
……ドンドンドンッ
……あら……わたくし、いつの間にか眠って……。
ドンドンドンッ
「……あ……消音結界、朝には消えるように設定してましたわね……」
ドンドンドンッ
「リファリス! リファリス!?」
この声は……リブラ!?
「また夢ですの!?」
……っ……もう、我慢できませんわっ。
「もう夢に振り回されるのは懲り懲り……!」
聖女の杖を手にし、封印されたドアへと近付きます。
ドンドンドンッ
「リファリス、朝だって! いい加減に起きなよ」
ドアを開け……いえ、これも夢なのでしたら、開けたらリブラの思うつぼ……!
「ならば……!」
夢の中でしたら、遠慮はいりませんわね!
「天誅天罰滅殺抹殺撲殺! はあああっ!」
全魔力を杖に込め、ドアに向かって。
「一撃必殺一発昇天!」
振り下ろします!
ばっがああああああん!
「うっぎゃああああああああああ!!」
「……リファリス……寝ぼけて教会を破壊するのは、如何なものかと……」
「リブラ、リブラ、しっかりして下さい!」
「ブクブクブクブク……」
……どうやら、今回は現実ですわね……。
わたくしの部屋に大穴が空き、リブラが半死半生の状態になっているのですから。
「リファリス、聞いてる?」
「あ、はい、申し訳ありません」
リジーに叱られるなんて、夢としか思えない気分ですが……。




