表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

183/428

忠犬ジジイと撲殺魔っ

「グルルルル……」


 ゾンビとなった変態ジジイ様、白目であちこちキョロキョロとしています。


「にゃは~……怖いね」


 確かに、怖いですわね。


「よーしよしよしよし」

「グワワワ!」


 リジーが頭を撫でると、涎を垂らしながら頬を擦り付けてきます……そして。


「グワワッ!!」

 ガチィィン!

「わっ!? か、噛み付いてきた!!」


 素早くリジーの腕に歯を立ててきたのです。まあ、全身フル装備のリジーに、歯が立つ筈が無いのですが。


「にゃは、本当に食欲一辺倒になっちゃってるねえ。普段が性欲の固まりみたいな人だから、余計に気味が悪いねぇ」


「や、やっぱりゾンビだから、噛まれたら同じようになっちゃう!?」


「リジーは同じ闇属性ですから、噛まれてゾンビ化する事はあり得ませんわ。わたくしやルディは毒を治療できますから問題ありませんし」


「え? 同じ闇属性なら、ゾンビ化しない?」


「……リジー、前にも説明しましたわよ。同じ属性同士の状態異常は無効化されますわ」


「あーうん、そだったそだった。思い出したなーうん」


 ……絶対に忘れてましたわね。


「リジー、また座学は一からやり直しですわよ」

「ええええっ!?」


 当然です。


「……それよりリファっち。試さなくていいの?」


 何がですの?


「だから、本当にアタシ達の言う事を聞くかどうか」


 あら、言われてみればそうですわね。まずは試運転してみて使えるか、そこからですわね。


「でしたら……公爵様、『千里眼』をお願いします」

「グワワ!」


 ……どうやら……無事に使えているようですわね。微弱ながら、魔力の流れを感じます。


「でしたら公爵様、セントリファリスの方向を見て下さい」

「グワワワッ」


 身体ごとその方角へ向き直りました。言う事は聞いているようです。


「その町にある教会……中に誰か居ますか?」


「グワワワ……ヒ、ヒトリ、ヒトリオンナイル、オンナ」


 ……ここまでは合ってますわ。


「その女性の特徴を仰って下さい」


「グワワ……オンナ、ニンゲンジャナイ……ワシトオナジ、ゾンビゾゾンビ……」


 リブラをデュラハーンだと見抜きましたか。


「オ、オンナ、オンナアアア……フクキテナァイ……」


 え?


「グワワワッ、ミズ、アビテル、カラダ、アラッテル、グワワワッ、オンナ、オンナ、オンナアアア!!」


 真面目に沐浴をしていたのですね、リブラ……。


「オンナオンナオンナオンナオンナオンナアアア!!」


「ちょっと、暴れないで下さい。ああもう、やはり公爵様は変態ジジイ様ですわね」


 ゾンビ化の際に欲望のベクトルが調整された筈ですのに、実際に女性を見るとこうなってしまうという事は、それだけ元の色欲が凄まじいのでしょうね。


「……ふーん……私の言う事は聞くかな?」

「グワワワッ! ガルルル!」

「……お座り」

「グワワワワワッ!?」

 ……ザッ


 あら、座りましたわね。


「……お手」

 サッ

「お代わり」

 サッ


 同じ闇属性だからでしょうか? わたくしの時より、素直ですわね。


「……ルディっちの下着の色は?」

「グワワ、クロ」


「え゛っ」


「へー、黒なんだ」

「……黒なのですわね……」

「うっぎゃあああああああああ!! リジっち、何て事をさせるのよ!?」


「ふーん……なら、次はリファリスの下着は?」


 え、わたくし?


「グワワ…………ナイ」

「え?」

「ミエナイナイ、ハイテイナイ」


「それは、まあ……ビキニアーマーですから」


「……言われてみれば、そだねー」

「なーんか拍子抜けー、にゃは~……」


 それより。


 ガシィ

「ひえ!?」


「特殊能力を妙な事に使うなんて、主がお許しになると思ってまして?」


「え、いや、あくまで実験」

「実験ですか、そうですわね、実験ですわね……公爵様」

「グワワ?」

「わたくしの言う事は、聞いて頂けますか?」

「プィッ」


 同じ属性のリジーは認めても、反対属性のわたくしには従うつもりは無いのですね?


「でしたら…………公爵様ぁぁぁぁぁ」

「グワワ!?」


 わたくしの背後から日の光が照らし、顔を暗く染めます。


「あは、あははは。わたくしの言う事ぉ、聞いて頂けますわよねぇぇぇぇ?」


「ギィィィ……グワグワグワ!」


 完全に怯んだ様子の公爵様を、一気に畳み掛けます。


「では公爵様ぁ、どうなさいますかぁ? わたくしに従うか、逆らって……撲殺されるか♪ あは、あははは、あはははははははは!!」


「シ、シタガウ、シタガウ。マオウサマニチカキモノヨ」


 魔王に近いって……。


「……まあ良いですわ。では公爵様……リジーの下着の色と柄を具体的に」

「え゛!?」


「グワワワッ……イロハウスイグレー」

「いやあああああっ!!」


 どうやら当たっているようですわね。


「ガラハイタッテシンプル」

「見ないで見ないで見ないでえええ!!」

「…………ムッ。パンツノマンナカニハ、カワイラシイクマノモヨウガ」

「うっぎゃああああああああっ…………がくっ」


 それが止めとなったようで、リジーはそのままひっくり返りました。


「グワワ?」


「……公爵様、その力はわたくしの指示があるまで、使ってはいけませんわよ?」


「グワワッ、ワカタ」


 ……何とかとハサミは使いよう、とは言いますが……ここまで扱いが難しいとなりますと……はぁぁ。

変態ジジイはゾンビになっても変態ジジイ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=529740026&size=200 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ