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対決するおっぱい神様っ

「……何も出ませんわね」


 ガッチャガッチャ

「ふう……ふう……」

「は、はあ、はあ」

「お、重…………くない」


「……お辛いのでしたら、鎧を脱いだら如何ですの?」


「い、いえ、大丈夫」

「こ、これはいつもの事だから」


「いつもの事、の割には慣れていらっしゃらないご様子で」


「う…………こ、この鎧は、修行用の重い作りの鎧なのさ」

「そ、そうそう。普段はもっと軽いの」

 ブゥン! ズゴォン!

「「「な、何でもありません……」」」


 ……再びメイスを地面に叩きつけると、一気に静かになりました。


「わたくしにビキニアーマーを着させたいが故の下心、ですわね?」


「い、いえ、違います」

「我々は、そんな不純な動機に突き動かされて、着慣れない鎧を装着したりする軟弱者ではっ」

 ブゥン! ズゴォン!

「軟弱者ですっ! すんませんしたっ!」


 一人白状しました。


「く……す、すいませんでした」

「ビキニアーマー……見てみたかったんだよぉ……」

「野郎ばかりの職場に、花が一輪欲しかったんだよぉ……」

「憧れだったんだ……だけど現実は、ビキニアーマー着てるのって絶滅危惧種に近いし……」


「……居ない事は無い、と思われ」


 え?

「え?」「え?」「え?」


「ビキニアーマー以外には着たい物は無いってくらい、ビキニアーマー好きな人も居る」


「ま、まさかっ!?」

「どこに……いや、どちらにいらっしゃるんですか、その御方は!?」


「……違う世界」


「くぅ……主よ! 何故その御方と同じ世界に生まれさせてくれなかったのだ!」

「聖女様、違う世界へと飛ぶ方法は無いものか!? どうか教えて下さい!」


「ありませんわよ……リジーも野暮な事を仰らないで下さいな」


「……本当なんだけど……」

「……ねえ、その人って……変な人なの?」


 リブラがその話題に乗っかりました。


「……変な人じゃなければ、四六時中ビキニアーマーを着たりしない、と思われ」

「……確かに」


 …………ブゥン

 ひゅ~~……さくっ

「ひぎゃあ!?」


 え?


「リ、リジーにナイフが降ってきましたわね……」


 頭頂部に刺さったまま、リジーは呟きました。


「じ、次元を超えた突っ込み?」



 結局ほとんどの方が鎧を脱ぐ事になりました。


「そんな動きにくい状態で赤月が襲ってきたら、撃退できないんじゃないの?」


 リブラのその一言で、踏ん切りがつかなかった方々が鎧を脱ぎ始めたのです。


「……そう言えばリブラにリジー、貴女達は鎧があったのですね」

「「自前」」


 リブラは元々騎士ですから鎧はお持ちでしょうし、リジーは鎧が普段着みたいなものですし。


「うぁ、しまった!」

「ど、どうすんだよ!?」


「どうかなさいました?」


「ぬ、脱いだ鎧をどうするか、考えてなかった」


 ……この方々は……。


「はぁ……リファリス、空間魔術で預かってあげたら?」


「……仕方ありませんわね……自分の物かどうか判別ができるように、目印を付けておいて下さいね」


 そう言って胸の谷間(空間魔術)に鎧を押し込んでいきます。


「お、おおおっ! 我が鎧が、おっぱい神の祝福を!」


 おっぱい神って……。


「た、確かに祝福だあ!」

「聖女様、いや、おっぱい神様! どうか私の鎧に祝福を!」

「オ、オレの鎧にも祝福を!」

「オレもお願いします!」

「おっぱい神様!」


 誰がおっぱい神様ですの!?


「……リファリス……胸の谷間を起点にしたりするからだよ」

「うっ、た、確かに……」


 ……今回の件が片付きましたら、新たに空間魔術を構築し直しましょう……。



 ……真夜中に差し掛かった頃。


「……一度詰所に戻り、休憩しましょうか」

「そうだな」


 わたくしも歩き疲れましたわ。


「賛成。どうせ長丁場になるんだから、初日から無理する必要は無いっしょ」

「酸性と思われ」

「……リジー、何か違くない?」

「あー……参政と思われ」

「大事な事っぽいけど、それも違う」

「なら、三世と思われ?」

「……泥棒っぽいわね」


 ……何をしてるんですの?


「よーし、じゃあ戻ろうかぐぎゃあ!!」


 っ!?


「ぐ、ぐぅぅ……て、敵襲ぅぅぅぅ!」


 頭を押さえてうずくまる警備兵さんが、必死に叫びます。


「うふ、うふふふ、赤月さーんじょー」


 自ら名乗っているのですから、この方が偽者で間違い無いでしょう。

 ……それにしても……。


「……何というか……」


 格好が……あまりにも……。


「リファリス、普段からあんな血塗れの法衣着てたっけ?」


「着ませんわよ。ちゃんと洗濯しますし、魔術でシミも落とせますから」


「なら、あんな仮面着けてる?」


 ……目と口を簡略化し、笑ったように見せてる三つの赤い月があしらわれた仮面は、わたくしをイメージしているのでしょうか……。


「……貴方……その格好は何なんですの?」


「この格好? それは勿論、伝説の殺人鬼〝紅月〟のコスプレぶごへっ!?」


 リジーは黙ってなさい!


「うふふふ、うふふふ……殴り殺しちゃうぞ、殴っちゃうぞ」


 ……どうやら、撲殺したいという気持ちしか、共通点は無さげですね。


「ついに見つけたぞ、赤月!」

「殺られた仲間の恨み、今日こそ晴らしてやる!」


 そう言って警備隊の皆様、わたくしの背後に回り込み。


「「「ではおっぱい神様、よろしくお願いします!」」」


「おっぱい神じゃありませんわ! それよりも自分達で戦う気概はありませんの!?」


「ありません!」

「痛いの嫌です!」

「死にたくないです!」


 潔いですわね!


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