肩書きに元が付く撲殺魔っ
保護者のAさんは、こう語っておった。
『私、前々からあの園長先生はどうなのかなぁ、と思ってたんです。いつもバットみたいな杖持ち歩いてるし、たまに怖い笑い方するし』
(プライバシーに配慮して、一部音声が加工してあります)
また、Bさんはこう語ったのじゃ。
『子供がねぇ、子ども園に行きたがらないんですよ。怖いお話ばかりする先生がいるからって。夜なかなか寝なくなっちゃって……そろそろ転園も考えています』
(プライバシーに配慮して、一部音声が加工してあります)
「だから、あれはリジーが毎回毎回あんな事をするからですわ!」
ですから、わたくしがリジーを捕まえていたのです!
「……その時に殺人鬼のような表情をし、聖女の杖を振り回していたのではないのかね?」
「うっ! ……た、確かにそうだったのかもしれませんがっ」
「だが、それが大きな要因の一つであった事には違いあるまい」
うううっ!
「自らの責任は感じているのか、君は」
「も、勿論ですわ! わたくしの監督不行き届きで」
「違う。監督責任では無く、君個人の責任でもある、と言っている」
「うぅ…………た、確かにそれは……………………はい、わたくしの責任です」
他にも、このような証言が確認されておる。まずはCさん。
『私は園長先生は好きでしたよ。ですがリ○ラ先生がねぇ……。あの人、外で遊ぶ事が多かったんですが、いつも子供を限界まで走らせ続けて、クタクタにしちゃうんですよ。そのうち怪我でもしちゃうんじゃないかって、毎日ヒヤヒヤしてたんですから』
(プライバシーに配慮して、一部音声を加工してあります)
次にDさんじゃ。
『何なの? あのリ○ラって人、一体何なの? うちの娘と追いかけっこをして遊んでいた時、首がポロッて取れたんですよ!? 捕まえようとしてポニーテールを掴んだら、首がポロッて落ちたんですよ!? あの人、人間じゃありませんよ……』
(プライバシーに配慮して、一部音声が加工してあります)
「次にシスターリブラ。君に関しては、子供を外で遊ばせ過ぎだ、という苦情がある」
「ま、待って下さい! 私はちゃんと皆の様子を見ながら遊ばせてました!」
「……確かに熱中症で倒れたり、怪我をしたという報告は無い」
「ほらね! だから私は無実」
「その代わり、何度か慌てて飛び出していったシスターリファリスが目撃されているが……まさか治療の為ではあるまい?」
「違います! 主に誓ってそのような事はありません!」
ああ、あれは確か……そう、追いかけっこの際に。
「それは首がポロリと取れたから、かね?」
「ギックゥゥゥ…………な、何の事やら」
「……我が君の正体に気付いていないとでも?」
「え゛っ」
あら、やっぱりルドルフは気付いてましたのね。
「シスターリファリスの監督下ならば問題無いだろうと、我の権限で不問にしてある」
あ、そうでしたの。
「た、助かりましゅ……もう狙われたくないですし……」
「そう考えているのなら、もう少しちゃんと首を固定したまえっ」
「すいませんすいませんすいまっせん!」
そう言えば、このような証言もあったのぅ。
『うちの子、マメが潰れて痛いって言うんです。何でだって聞いたら、素振り五百回やったからって言うんです。あの子ども園、一体何をさせているんですか!?』
(プライバシーに配慮して、一部音声が加工してあります)
「……素振り五百回……」
「あ、いや、それは、その」
「……幼気な子供に素振り五百回……」
「え、えっと、そ、その子の将来の夢が、剣士になりたいっだったから……」
「だから、素振り五百回させたのかね?」
「あー……えっと……」
……もっとやらせてましたわよね、あれ。
次の苦情は……Eさんじゃの。
『何故大司教代行が先生なんですか!? 正直、そんなお偉い人が居るなんて、気を使う以外の何者でもありません! 子供が何かして怪我でもさせてしまったら大変だって、気が気じゃありません!』
(プライバシーに配慮して、一部音声が加工してあります)
「これは……仕方無いだろう」
「うんうん! アタシもそう思う!」
む、続きがあるの。
『代行ともあろう方が、ピンクの派手な服着て、語尾ににゃはにゃは付けて恥ずかしくないのでしょうか』
(プライバシーに配慮して、一部音声が加工してあります)
「…………コロス」
「これ、我が半身よ」
「…………コロス」
「殺す等と、軽はずみに言うものでは無い」
「大丈夫、リファっちに生き返らせてもらうから」
「なら良かろう」
よくありませんわ!
最後に……一番多い苦情がこれじゃ。
『何なの!? 何なのよ、あの先生! 男好きするような身体しちゃってさ! うちの旦那、子供の迎えに率先して行くようになったと思ってたら、思いっきり鼻の下伸ばしてやがったのよ!』
『うちの子、ママより園長先生の方が綺麗だとか抜かしやがって……』
『一緒にお風呂入るの、もう嫌になりました。園長先生の方がおっきいだの、その割にお腹は引っ込んでるだの……』
『何であんなスタイルの良い先生方ばかりなんですか!?』
(プライバシーに配慮して以下同文)
「それは……どうしようも……」
この苦情……ほぼ言い掛かりですわよね。
こんな事が重なり、約半年で子供達が来なくなり。
あっさり閉園に追い込まれました。
「新しい肩書きに『元園長』追加」
リジー、五月蝿いですわよ。
明日は閑話です。




